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2021.04.14

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.18

雨野さん家のたねとまめ|まめとありんこ

吾輩はたねである。さっきからずっと窓の前をうろちょろしている黒いのはまめ。好奇心はどんどん成長するばかりの奴である。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第18話です。

庭にはまだまだ楽しいものでいっぱい!

モンシロチョウ

まめが気を取られているのは、庭を飛んでいる1匹のモンシロチョウ。あっちに行ったりこっちに行ったりふよふよ飛んでいる蝶々を、まめもあっちに行ったりこっちに行ったり追い掛けている。

「ありゃ、まめちゃんお外行きたいの?」

「わん!」

そんな様子を見かねた妹ちゃんが声を掛けると、まめは返事をするみたいにひと鳴きした。妹ちゃんはまめをよしよしと撫でて、今度はお父さんの方へ向き直る。

めげない妹ちゃん

「おとーさーん! まめちゃんそとにだしてもいーい?」

「ええ?外なあ…外はまだ花粉がなあ…」

「お家に戻ったらまめちゃんのこと洗うから! ね?」

渋るお父さんにも妹ちゃんは負けない。ね? ね? と何度も聞いて、折れたお父さんが渋々、ほんとーに渋々了承する。妹ちゃんは嬉しそうにお父さんにお礼を言って、まめを外に連れ出したのだった。

元気いっぱいの1人と1匹

外の天気はぽかぽかでお昼寝日和だった。

妹ちゃんはリードの紐を庭に打ち付けてある棒にくくって、リードから手を離す。

するとまめは嬉しそうに走り出した。

「わんわん!」

「まめちゃん元気だねー!」

たねが欠伸をしている間もまめは先程のモンシロチョウを追っ掛けたり、土の中に頭を突っ込んだりと忙しい。

妹ちゃんも、まめの後ろを追いかけたり一緒に地面を覗き込んだりと忙しそうだ。

「ひかりもまめも、すごい元気だねえ…」

その様子を見ながらお父さんはしみじみと呟いた。/p>

「にゃあ」

妹ちゃんはたまに大人しい日があるけど、まめに対しては毎日毎日よくはしゃげるなあ、とたねも日頃から思っているのでお父さんに同意する。

「たねも思うかい?」

たねの鳴き声を聞いて、お父さんは嬉しそうに笑っていた。

まめとありんこ

「たっだいまー!」

「わん!」

それから数時間して、妹ちゃんとまめが家に帰ってきた。妹ちゃんは、そのまままめを洗いに行こうとまめを抱え上げて。

「あっ!」

とても大きな声をあげた。

「ねえ見て見て! まめちゃんの頭にありんこが乗ってる!」

抱えたまめをお父さんに向ける妹ちゃん。お父さんは見づらそうに目を細めて、ようやく妹ちゃんの言うありを見つけるとちょっとだけ笑った。

「外から連れてきちゃったんだねえ。ひかり、1人でありを外に返せる?」

「うん! ありんこは触れるよ!」

元気に答えた妹ちゃん。まめのでこの辺りをちょいっと摘むと玄関まで走っていった。

その間ずっと、なにが起きているのかわからない、と首を傾げているまめ。

そんなまめを見て、今日も平和だなあと思う、たねなのであった。

  • 更新日:

    2021.04.14

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。