magazine

犬 猫 物語
連載 / ブログ

2021.04.10

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.17

雨野さん家のたねとまめ|まめとさくらもち

吾輩はたねである。たねの後ろでうずうずしている黒いのはまめ。妹ちゃんが見てるものが気になる奴である。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第17話です。

桜舞い散るこの時期ならではの食べ物に、まめは興味津々のご様子?

ピンクのもにもにしたやつ

「桜もちだーー!」

まめが気になっているのはテーブルの上、お皿に置かれた桜もち。ピンクのもにもにしたやつを葉っぱで包んだ、たね目線ではどこが美味しそうなのかわからないそれを見て、妹ちゃんは嬉しそうに声を上げた。

今にも食べ始めそうな勢いの妹ちゃんを見て、お兄ちゃんがちょっと待って、と静止する。

「ひかり、ちゃんと手は洗った?」

「洗った!」

「お、えらいじゃん」

そう言ってお兄ちゃんは妹ちゃんの頭を撫でた。まめは桜もちが気になるみたいだけど、たねとしてはあのピンクのもにもによりもお兄ちゃんのなでなでの方が羨ましい。

羨ましそうな目

「でしょー? じゃあいただきます!」

「わふ」

まめは妹ちゃんの足元に寄って、なにを食べてるのかと首を傾げる。妹ちゃんはそんなまめを見て、一回桜もちを見てから申し訳なさそうに答えた。

「まめちゃんも食べたいの?まめちゃんは犬だから桜もちは食べれないよー、ごめんね?」

断るついでにまめの頭を撫でようとして、すぐに手を引っ込める。まめを撫でたらまた手を洗わないといけないから、妹ちゃんはあとでいっぱい遊んであげるからね?と、言って桜もちを食べ始めた。

ずるいぞまめ

「くぅん」

妹ちゃんの口の中にどんどん吸い込まれていく桜もち。まめはその様子を寂しそうに見てる。…多分。

お兄ちゃんもそう思ったのか、尻尾がたれるまめの頭を優しく撫でている。ずるい、ずるいぞまめ。たねもなでなでされたい。

「ごちそうさまでした!」

なんとなく腑に落ちないけど

妹ちゃんは、ぱん!っと元気に手を合わせて挨拶をした。そして食器を片付けると辺りを見回す。どうやらまめのボールを探していたようで、それを見付けるとさっき言った通りまめに声を掛けた。

「まめちゃん! 遊ぶよ!」

「わん!」

「そーれ!とっておいでー!」

嬉しそうに答えるまめ。妹ちゃんと一緒にばたばた遊んでいるまめはとても楽しそうだった。

そんな様子を眠気まなこで眺めていると、お兄ちゃんかたねの近くに来てたくさん撫でてくれた。さっき恨めしそうな目で見てたのに気付いてたのかもしれない。流石お兄ちゃん。たねのことよくわかってる。

「今度たねとまめにもおやつを買ってくるからなー」

……恨めしそうな目で見てたのはおやつだと思われてる?

でも、美味しいおやつが食べられるのは願ってもないことなので、反論せずなされるがまま撫でられる、たねなのであった。

  • 更新日:

    2021.04.10

いいなと思ったらシェア
ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。