magazine

犬 猫 物語
連載 / ブログ
鉛筆アイコン

2021.04.07

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.16

雨野さん家のたねとまめ|まめとたねと花粉症

吾輩はたねである。たねが先ほどから今か今かと警戒しているのは優一さん。雨野さん家のお父さんである。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第16話です。

今年も、たねの苦手な「あの時期」がやってきた−−!?

お父さんのあれ

春も中頃、この時期になると出来ることならなるべくお父さんから離れていたいんだけど、たねは入っていい部屋が限られているからそれが出来ない。逃げ場所がないのだ。

だからこうやって警戒するしかない。…お父さんの「あれ」を。

まめもたねが気を張っているのを察して落ち着かない様子でいる。気を付けろよ、いつ来るかわかんないんだからな。

そして、警戒すること数分…その時はやって来た。

「は、は…はっくしょん!」

あの時期とは

盛大なくしゃみの音に、たねめまめもびっくりして飛び上がる。まめなんて勢い余って台所の方まで走り去っていった。たねもなるべくお父さんから離れようとソファーの陰に隠れる。

お母さん曰く、どうやらお父さんは花粉症らしい。だから花粉の時期になると大きなくしゃみを何度も何度もする。

たねはそれが非常に苦手なのである。

大きなくしゃみの音はどうしてもびっくりするし、無理やり寝ようとしてもうるさくて寝れたもんじゃない。

くしゃみと鼻水ででろんでろんのお父さんの顔を見ると、お父さんもつらいのはよくわかるけど…嫌なのは嫌なんだもん。

大合唱

「ぶえっくしょん!」

「わん!わんわんわん!」

くしゃみの止まらないお父さん。それに驚いて吠えるまめ。今すぐここから逃げ出したいたね。

「ただいまー」

こう着状態を続けていると、玄関からお母さんの声が聞こえた。お母さんは小さなビニール袋を腕に提げていて、ぱたぱたと歩いてくるとそれをお父さんの前に置いた。

救世主お母さん

「はいお父さん薬、私手洗いうがいをしてくるから水は自分で用意してね」

「ああ…ありがとう」

お父さんはそのビニール袋から箱を取り出して、それを持って台所へと歩いていく。

それと入れ違いになってまめはたねの方に走って来て、たねの体にぴったりくっついた。

まあ、あの大きさのくしゃみだ。犬も耳がいいし怯えるのもわかる。わかるわかるとたねはまめの肩をぽんと叩いた。

「はあ…これで少しは落ち着くだろう」

そう言って台所から戻ってきたお父さんは、ソファーの陰で縮こまるたねたちを見て申し訳なさそうに頬を掻く。

「びっくりさせたよなあ。ごめんなたね、まめ」

なんて言いながらこっちに近寄ってきたけど、怯えきったまめはお父さんのが来るとぴゃーっと走って行ってしまった。

「あ……、もしかしてこれ…僕のせいかな?」

「にゃー」

まめの後ろ姿を見ながら困った様子のお父さん。そうだよって同意してそっぽ向くたねなのであった。

  • 更新日:

    2021.04.07

いいなと思ったらシェア
ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。