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柴犬 小説
連載 / ブログ

2021.04.18

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第2部】|vol.9

豆しば暮らし|駿足の女王

「ドッグラン、いよいよ完成したって!」
早朝の公園に着くや否や、待ち構えていたタラコちゃんのお母さんが、最新情報を教えてくれました。

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第2部】の連載第9話です。

いざ、出陣!

すっかり舞い上がってしまったママは、家に帰ると、まだ眠っていたパパを起こします。
まだ6時過ぎじゃないかと不機嫌だったパパも、ドッグラン完成の知らせに、眠気が吹き飛びました。

「本当?! じゃあ、今度の日曜日に行こうぜ!」

「うん!」

そして、待ちに待った日曜日。タラコちゃんのお母さんが調べてくれた住所を頼りに、新しいドッグランにむかいます。
思ったよりもずっと広いドッグランに到着すると、すでにたくさんの人と犬とが訪れていました。

「すっごーい! こんなに広いんだね! メロン、ここでは全力で走っていいんだよ」

ママは、メロンのリードを外しました。

「よし、行ってこい!」

もしかして、楽しくないの?

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いよいよ、メロンのドッグランデビュー!
ですがメロンは、端の方をゆっくりと歩きながら匂いを嗅いでいます。

「メロン、走っていいんだよ?」

「あれじゃあ、お散歩と変わらないね」

パパもママも、何だか心配になってきました。

「まだ1歳になってないからかなぁ」

「いや、1歳になってなくても、走ることはできるでしょ。そうじゃなくて、走ることに興味がないって感じ?」

「うーん…。もしかして、楽しくないんだろうか…」

思いっきり盛り上がって、楽しみで楽しみで仕方なくて、この日を待ちわびていたのは、私達だけ?
ママは、ちょっぴり悲しくなってきました。そんなママの気持ちをよそに、メロンは匂いを嗅いだ後にオシッコをしています。
リードがあってもなくても、外を歩いて匂いを嗅いでオシッコができれば、それで満足なのかな…。

スイッチ・オン!

その時でした。
メロンのスイッチが入り、いきなり走り出したのは。

「あ、あれ? メロン?!」

「マジ?! すっげー速いんだけど!」

頭を低く下げ、風を切って走るメロンは、信じられない速さでした。
流石に、グレーハウンドの時速70キロメートルには遠く及びませんが、あちらこちらから歓声が上がっています。

「うわー、速い!」

「あんなに小っちゃいのに、すごいねぇ!」

褐色の弾丸。
そんな表現がピッタリなほどです。

少し休んだメロンは、一列になって追いかけっこをして遊んでいる大型犬に近づいてゆきました。
そして、再び猛ダッシュ!
最後尾から、大型犬6頭をごぼう抜き!
あまりのことに、パパもママも、口をあんぐりと開けて見ているだけです。

もちろん、遊んでいた大型犬は、本気で走っていた訳ではありません。それでも、こんなチビ助にごぼう抜きされたことにカチンときたのか、メロンを追いかけ始めました。

「あっ、メロン!」

危険を察したパパとママは、メロンを守ろうとかけ出します。

ところが、そのタイミングで、メロンはくるりと仰向けになり、ザザザーっとスライディング。
迫り来る大型犬に、お腹を見せました。

そのポーズを取られては、大型犬もそれ以上メロンを追い詰めることもできず…。背を向けて去ってゆきました。

「さすが日本犬、空気読むねぇ…」

「うん…。ジャパニーズ・ジャンピング土下座だねぇ…」

  • 更新日:

    2021.04.18

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。