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柴犬 小説
連載 / ブログ

2021.04.04

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第2部】|vol.7

豆しば暮らし|仲間もできた!

「え…もう朝…?」
そっと起き出したママの背中に、パパが寝ぼけまなこで声をかけます。

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第2部】の連載第7話です。

何事もメロンのため!

「ごめんごめん、まだ夜。ゆっくり寝てて」

そう答えるとママは、ふらつく足取りで洗面所に向かいました。
午前3時半に起きたのは、これが初めて。

「いやぁ、しんどいわぁ…。徹夜の方がずっと楽…」

歯を磨きながら、ママはぼんやりと思います。
ですが、犬嫌いだったメロンにやっと友達ができて、もしかしたら、さらに仲間ができるかもしれないのです。こんなことで弱音を吐いてはいられません。

「何事もメロンのためだ。がんばろう!」

顔を洗った後、ママは両手で頬をパーンと張りました。眠気も勢いよく飛んでいきます。

今度はまさかの…

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「おはようございます!」

公園にはもう、ミカンちゃんのお母さんが来ていました。

「おはようございます! よかった、来てくれて!」

「だってホラ、見てくださいよ」

ミカンちゃんとメロンは、しっぽを振りながら早速じゃれあっています。その仲睦まじい様子に、ママは、目頭が熱くなるのを感じました。

「おはようございまーす!」

何人かのお母さんたちが、賑やかにやって来ました。ミカンちゃんのお友達も、元気一杯です。

「おはようございます。メロンです、よろしくお願いします」

いや、私の名前はメロンではないけれども。
心の中で自分にツッコミながら、ママはご挨拶。

「えーっ、メロンちゃんっていうの?! うちはタラコだよ!」

「うちはナッツ!」

チワワのタラコちゃん、レトリバーのナッツくん、マルチーズのチョコちゃん、ハスキーのキャビアくん。
まさかの全員食べ物つながりです。

「すごーい、奇遇ですねぇ!」

「みんな、色気より食い気ってことなのよ!」

最年長と思われるチョコちゃんのお母さんが、豪快に笑いながら言いました。

なぜキャビア?

広い公園の中を、みんなでお散歩。初めはミカンちゃんの隣でツンツンしていたメロンも、次第に打ち解けてゆきました。
ナッツくんのようにグイグイくる子には、ひき気味ではありましたが。

「キャビアくんのお母さん、聞いてもいいですか?」

歩きながらママは、ずっと疑問に思っていたことをたずねてみました。

「なぜにキャビアなのでしょう? ハスキーって、ロシアとあまり関係なさそうな…。まぁ、うちも、日本犬にメロンと名付けましたけど」

「ああ、それね。よく聞かれるのよー!」

キャビアくんのお母さんは、楽しそうに笑います。

「うちのダンナがね、息子に、チョウザメってどんなサメって聞かれて。真面目に、キャビアを産むヤツだって答えたの。それが面白すぎて、この子の名前にしちゃった」

真相を知り、ママは大笑い。

「ダンナさん、ナイスー! キャビアを産むヤツって、その発想はなかったわぁ」

メロンもママも、お散歩仲間ができました。
早朝の日差しの輝きは、もう夏。爽やかな風が吹き抜けます。

  • 更新日:

    2021.04.04

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。