犬の後ろ足に力が入らない場合に考えられる原因を見ていきましょう。
犬の散歩中や遊んでいるときに、何かに足をぶつけたり転んだりしてしまうと、一時的に痛みが出て足に力が入らなくなることがあります。時間が経って元通りになれば心配いりませんが、もし症状が長引くようなら動物病院を受診しましょう。
後ろ足の筋力低下から始まると言われている犬の老化。散歩中すぐに立ち止まる、ゆっくりとしか歩けなくなったなどの場合は、加齢による筋力の低下が考えられます。思うように歩けず寝たきりにならないよう、愛犬のペースに合わせてゆっくり歩いたり、マッサージしたりしてあげてくださいね。
犬の脳や脊髄などの神経系に腫瘍や炎症などの異常が起こった場合も、後ろ足に力が入らなくなることがあります。歩き方がおかしいだけでなく、ふらつきやよろけるなどの他の症状も見られる場合は、すぐに診察を受けましょう。
犬の後ろ足に力が入らないだけでなく他の症状も併発している場合には、何か深刻な病気が潜んでいる可能性も考えられます。気になる症状があったら、すぐに動物病院を受診しましょう。
触ると痛がる、よろけてしまうなどこんな症状が併発している場合は要注意です。どのような病気が考えられるのでしょうか。
椎間板とは、背骨の間にあるゼリー状の組織のことで、骨と骨の間でクッションの役割をしています。なんらかの原因で椎間板が本来あるべき位置からずれてしまい、脊髄を圧迫して起こる病気が椎間板ヘルニアです。
ヘルニアになった部分の痛みから始まり、後ろ足や四肢の麻痺、自力での排尿や排便が困難になることもあります。
椎間板ヘルニアが起こる原因は、激しい運動や加齢や肥満、遺伝的なものなどさまざまですが、ミニチュアダックスフンドやコーギーなどの軟骨異栄養犬種は若年齢期に発症しやすいようです。
治療方法としては、ステロイドなどの内服薬を使って炎症を抑える方法や、場合によっては外科手術をすることもあります。外科手術をしても軽度の麻痺が残る可能性もあり、その場合にはリハビリが必要になります。
普段の生活で愛犬に上記の症状が見られたら、早急に獣医師さんに相談しましょう。
これらの症状が起こる場合には、以下のような病気の可能性が考えられます。
できた部位や大きさ、種類によってさまざまな神経症状を引き起こす可能性がある脳腫瘍は、一般的に老犬に起こりやすいと言われている病気です。
脳腫瘍は早期発見が難しく、多くの場合よだれを多量に垂らす、口をくちゃくちゃ噛むなどのてんかん発作が原因で見つかります。
脳腫瘍の治療法は、ステロイド剤や脳圧降下剤の投与などを行う対症療法、抗がん剤を用いた化学療法、放射線治療などがあります。また外科的に腫瘍を取り除く外科療法もあり、疑われる腫瘍の種類や場所によって最適な治療法を行います。
病状が一気に悪化して命を落とす危険性もあるので、何かおかしいと感じたらすぐに動物病院へ行きましょう。
後ろ足に力が入らないだけでなく、こんな症状が併発している場合はよく見られるものではありませんが、こんな病気にも要注意です。これらの症状から考えられる病気を見ていきましょう。
頸椎の奇形や、頸椎が不安定なことが原因で起こる頸椎すべり症は、頸部の脊髄が圧迫されることによって複数の症状が発症します。
ドーベルマンやシェパードなどの中大型犬が発症しやすいと言われており、後ろ足の開脚やふらつきといった初期症状から始まり、数カ月から数年かけて徐々に進行していくこともあるようです。
症状が軽度の場合は、内科的治療での経過観察を行う場合もありますが、症状が重度または進行が見られる場合には、手術による外科的治療も検討されます。
症状の程度によっては、手術をしても改善が見られない可能性があるので、歩き方や愛犬の様子に異常が見られたら、すぐに病院へ連れていきましょう。
ここからは、犬の後ろ足のトラブルや症状の悪化を防ぐ対処法をご紹介します。
愛犬を抱っこするときに、縦抱きをしたり2本足で立たせたりすると、負担がかかってしまいます。抱っこするときにはお尻を支えてあげて、なるべく負担がかからないように意識しましょう。
また、肥満になると関節を痛めやすくなってしまうので、バランスのいい食事や適度な運動を心掛けましょう。
後ろ足に力が入らない状態で無理に動くと、症状が悪化したり、倒れてほかの部位を痛めてしまったりする可能性があります。愛犬にふらつきやよろけるなどの症状が見られたら、ケージに入れて動き回れないようにしましょう。
後ろ足に力が入らないなど愛犬に異常が見られた場合、深刻な病気の可能性も高く、放っておくとどんどん症状が悪化して手遅れになってしまうこともあります。
早期発見・早期治療が大切なので、何かおかしいなと感じたら、早めに獣医師さんに相談しましょう。
愛犬の後ろ足に力が入らない場合に考えられる原因や病気などをご紹介しました。病気自体を予防するのは難しいかもしれませんが、愛犬の異変にいち早く気付けるのは飼い主だけです。普段からできる対処法を参考にしながら、愛犬が元気に過ごせるように見守ってあげてくださいね。