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健康管理 / 病気
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2021.03.31

犬にあせもはできない?皮膚にあせものような症状から考えられる病気4つ

高温多湿の夏、愛犬の皮膚がポツポツと赤くなったり、かゆがったりしていると「これってあせも?」と思われるかもしれません。しかし、人と犬では汗をかく仕組みが異なり、犬にあせもができることはありません。では、あせものような症状はなぜ起こるのでしょうか。
ここでは、犬にあせもができない理由や考えられる原因、あせものような症状が見られたときの対処法についてご紹介します。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:江野 友紀/認定動物看護士)

犬にあせもができない理由

犬 あせも

人と違い、犬にあせもができることはありません。まずはその理由からご紹介します。

そもそも、あせもとは?

あせもは、大量の発汗に伴い一時的に汗を排出する汗管(かんかん)が詰まり、汗の正常な排出が妨げられることで起こる発疹です。医学用語では汗疹(かんしん)と言います。
汗をかきやすい場所に赤くポツポツした湿疹ができ、強いかゆみを伴ったり、ちくちくした感じや熱感を覚えることもあります。

犬はほとんど汗をかかない

皮膚に分布する汗腺には、主に体温調節のために汗を出す「エクリン汗腺」と性フェロモンの役割を果たしていると言われる「アポクリン汗腺」の2種類があります。
人の場合、エクリン腺は体中に分布しており、汗は暑い時や運動した時に全身から汗をかいて体温を調節できますが、犬は足の裏の肉球などわずかな場所にしか存在しません。犬が体温調節するときは、ハーハーと口を開けて呼吸するパンティングの回数を増やして熱を逃しています。

犬にあせものような症状が見られたときに考えられる原因

犬 あせも

犬があせもになることはありませんが、皮膚が炎症を起こしてあせものように赤くなったり、ポツポツしたものができたり、かゆがることがあります。このような症状が見られた場合に考えられる原因や、考えられる病気についてご紹介します。

皮膚・被毛のお手入れ不足や、間違えたケア

犬の皮膚や被毛の健康維持のために、定期的なお手入れは必要不可欠です。もつれた被毛や毛玉をそのままにしておくと、蒸れたりして皮膚が炎症を起こす原因になります。
また、間違えたケアをすることによって皮膚トラブルを起こすこともあります。強い力でブラッシングして皮膚を傷付けたり、シャンプーのときにシャンプー剤をすすぎ残したり、ドライヤーのかけすぎで皮膚が乾燥すると皮膚炎の原因になるので注意しましょう。

病気によるもの

犬にあせものような症状が見られたときは、次のような病気の疑いがあります。

アレルギー性皮膚炎

犬のアレルギー性皮膚炎とは、体を守る免疫がアレルゲン(アレルギー症状を起こす原因物質)に過剰に反応するために生じる皮膚炎のことです。患部の発赤としてみられることが多いです。ハウスダストや花粉、ノミの唾液中に含まれるタンパク質がアレルゲンになることもあれば、肉類や牛乳などのタンパク質が原因になることもあります。
発症すると口や目の周り、耳、脇の下、内股、足先などにかゆみが出ることが多く、頻繁に身体を掻いたり舐める様子が見られます。

膿皮症

犬の皮膚にいる常在菌の一種であるブドウ球菌が、皮膚の抵抗力が下がったときなどに異常に増殖してしまうことが原因で、皮膚に湿疹ができる病気です。発症すると赤い発疹や膿を持った発疹、かゆみ、脱毛などの症状が現れます。

ニキビダニ症

ニキビダニは毛包内(毛穴)に寄生するダニの一種で「毛包虫」や「アカラス」などとも呼ばれます。健康な犬でも常に皮膚に存在しますが、何らかの理由により過剰増殖することで、発症します。一般的には顔や四肢の先にフケや脱毛などの症状が見られることが多く、二次感染を起こすと出血したり、化膿することもあります。

マラセチア性皮膚炎

皮膚に存在するマラセチア菌(真菌の一種)が過剰に増殖し、外耳炎や皮膚炎を起こします。皮膚のべたつきや赤み、かゆみ、フケが多くみられ、独特の臭いがしたり、慢性化すると皮膚が厚くなる、黒く色素沈着するといった様子も見られます。

犬にあせものような症状が見られたときの対処法

犬 あせも

犬の皮膚が赤くなったり、ポツポツしたものができたときの対処法をご紹介します。

動物病院を受診する

犬にあせものような症状が現れた場合は皮膚が炎症を起こしていると考えられます。その原因はアレルギーやニキビダニ症など様々ですが、複数の原因によって皮膚の状態が悪化していることも珍しくありません。皮膚炎の治療方法は原因や症状の程度によって異なるので、動物病院で診察を受け、適切に治療を受けることをおすすめします。

皮膚や被毛を清潔に

炎症のある皮膚のスキンケアの基本は、清潔にすることです。定期的なシャンプーで身体を衛生的に保ちましょう。患部だけでも被毛を短くカットしておくと、お手入れしやすくなります。
また、炎症の原因や皮膚の状態によっては薬用シャンプーの使用が望ましいこともあります。獣医師に相談したうえで正しく使用しましょう。

犬にあせものような症状がみられたら

犬 あせも

もし愛犬にあせものような症状がみられたら、何らかの理由で皮膚が炎症を起こしていると考えられます。一時的なもので自然に治る場合もありますが、症状が長引けば慢性化したり、悪化してしまうことも考えられます。愛犬に辛い思いをさせないためにも、早めに動物病院を受診しましょう。

  • 更新日:

    2021.03.31

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。