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夏に公園にいる犬
犬の生態 / 気持ち

2021.03.27

【獣医師監修】犬は汗をかかないって本当?人間の汗腺との違いを解説

気温が高い夏でも、犬が人間のように汗をかいている姿はほとんど見ることはありません。このことから「もしかして犬は汗をかかないの?」と疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では、犬と汗に関する基礎知識をご紹介していきます。夏の暑さ対策にも活かせる知識ですので、ぜひ最後まで読んでいってみてください。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:後藤 俊/ライター)

犬は汗をかかないって本当?

夏場に水辺にいる犬

結論から言うと、犬も汗をかきます。人間の体と同じ「エックリン汗腺」と呼ばれる、体温調節に必要な汗腺が犬にも存在します。しかし、全身ではなく、鼻の先や肉球の付近にしか存在しません。

したがって、気温が高い日にどれだけ激しく動いても、人間のように全身が汗で濡れるということがないのです。見た目には分かりづらいですが、体の一部分では犬も汗をかいているのだということを理解しておきましょう。

人間とは別の汗腺が多く存在している

犬の全身には「エックリン汗腺」とは別に、「アポクリン汗腺」という汗腺が存在しています。

アポクリン汗腺から出る汗は、体温調節としての役割ではなく、フェロモンのような役割を果たします。人間に例えると、脇汗のようなものです。

アポクリン汗腺から出る汗の量は個体差があるものの、被毛が少ししっとりしているかどうかで、汗が出ているかどうかを判断できます。

犬はどんなときに汗をかく?

犬が汗をかく場面は以下の通りです。

犬が汗をかく場面

  • 暑がっている
  • 運動後
  • 緊張している
  • ストレスを感じている

中でも、緊張やストレスで汗をかいている場合は、原因を突き止めてあげましょう。暑くもないのに、フローリングに足跡がついていたり、体が湿っていると感じたら注意が必要です。

犬が汗をかくことで引き起こされる体の異常

犬の足元

犬が汗をかくこと自体に問題はありませんが、汗によって引き起こされる体の異常があります。ここでは、汗をかきやすい夏場に注意すべき体の異常を2つ解説します。

1.犬の汗による肉球の皮膚炎

肉球には汗腺が多く集まっているため、汗によって雑菌が繁殖し、皮膚炎を引き起こしやすくなっています。皮膚炎には痒みが伴うため、犬が肉球の周りをしきりに舐めているようであれば、注意が必要です。

痒みを感じていなくても、肉球やその周りの皮膚が赤くなっていないどうかも観察しておきましょう。

2.犬の汗による体臭

アポクリン汗腺から出た汗は空気に触れるとニオイを放つ性質があるため、犬の体臭がきつくなることがあります。

また、雑菌が繁殖し、皮膚炎の発症にも繋がります。定期的にシャンプーで汗を流し、皮膚を清潔に保ってあげるようにしましょう。

暑い日でもできるだけ汗をかかないように、エアコンで室温を調整したり、日影を作ってあげるなどといった対策をとることをおすすめします。

犬が汗をかく代わりに行う体温調整方法

口を開けてパンティングする犬

人間は体温調整のために汗をかきます。しかし、人間ほど汗をかかない犬は、どうやって体温調整をしているのでしょうか。ここでは、犬が汗をかくこと以外で行っている体温調整方法について紹介していきます。

体温調整するための行動は暑がっているサインでもあるので、夏場は特に見逃さないようにしましょう。

冷たい場所・物に触れる

犬は暑いと感じると、冷たいフローリングに寝そべったり、涼しい場所に移動したりします。いつも過ごしている場所からいなくなっていたら、気温が高くなっていないかを確認しましょう。

部屋の気温を下げるのが難しい場合や、外で飼育している場合は、凍らせたペットボトルをタオルで巻いて渡してあげるのがおすすめです。

パンティングをする

パンティングとは、口を開けて「ハァハァ」と浅く速い呼吸をすることをいいます。細かい呼吸によって、唾液や喉の粘膜の水分を蒸発させ、その気化熱で体温を下げているのです。

気温が高いときや、運動をした直後に見られる行動ですが、いつまでたっても治まらない場合は熱中症になっていることもあります。

犬がパンティングをしているときは、いつもより息苦しそうにしていないかどうかもも観察しておきましょう。

水をたくさん飲む

人間と同じように、犬も暑いと感じているときは水をたくさん飲むことがあります。「いつも以上に水を飲んでいるな」と感じたときは、今一度気温が高くないかを確認してみましょう。

注意点として、冷たい水を与えると下痢や嘔吐を引き起こすことがあるため、暑さ対策で水を与える場合は、必ず常温で与えるようにしてください。

犬は汗をあまりかかない分、体温調節が苦手

大きく口を開けている小型犬

汗をたくさんかくことができない犬は、人間に比べて体温調節が苦手です。そのため、飼い主が適切に室温を管理してあげる必要があることを理解しておきましょう。熱放散のサインでもあるパンティングや水を飲むなどの行動にはより気をつけて観察してあげてください。

全く汗をかかないというわけでもないので、定期的に体の汗や汚れを洗い流してあげる必要があります。体臭や皮膚炎を防ぐ意味でも、月に1回程度を目安にシャンプーをしてあげるようにしましょう。犬と汗の関係を理解し、快適な生活のサポートをしてあげてください。

  • 更新日:

    2021.03.27

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。