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健康管理 / 病気

2021.03.28

【獣医師監修】犬がおしりを気にする原因とは?考えられる病気と対処法を解説

犬が頻繁におしりの匂いを嗅いでいたり、舐めたり、痒がっていると飼い主としては気になってしまいますよね。 今回は、犬がおしりを気にしているときの原因や考えられる病気、対処法について解説します。犬がしきりにおしりを気にするときは、ぜひ参考にしてみてください。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:みゆき/ライター)

犬がおしりを気にするときに考えられる3つの原因

犬 おしり 気にする

適切な対処を取るためには、まず犬がなぜおしりを気にしているのかを知ることが重要です。ここでは、犬がおしりを気にするときに考えられる3つの原因を紹介します。

考えられる原因1.セルフグルーミング

犬には、セルフグルーミングと呼ばれるお手入れの習慣があります。
これは、自分のおしりについた排泄時の汚れをこすりつけたり舐めたりしてきれいにしようとする行為です。なお、ほかの犬のおしりを気にして匂いを嗅ぐのは犬同士の挨拶なので、あまり気にしなくても大丈夫な行為です。

考えられる原因2.皮膚トラブル

人間がカミソリ負けをして皮膚が荒れたりするように、犬もカミソリ負けをしてしまいます。不適切なトリミングを受けるてしまうと肌に細かい傷がたくさんつき、その傷から痛みやかゆみなどの炎症が起きてしまいます。このようなカミソリ負けにより、おしりがヒリヒリして頻繁に舐めやり気にする仕草をすることがあります。

考えられる原因3.肛門周辺の病気

犬の肛門嚢(こうもんのう)が炎症起こしたり細菌感染してしまうと病気になることがあります。犬はそれに違和感を感じて、お尻を気にすることがあります。

こんな症状が併発している場合は注意!

犬 おしり 気にする

犬がおしりを気にしている際に次のような症状を併発している場合は病気の可能性があるので注意が必要です。

1.おしりを壁や床にこすりつける

犬がおしりに違和感を感じ、壁や床にこすりつけたりしている場合は「会陰(えいん)ヘルニア」に注意が必要です。

会陰(えいん)ヘルニア

犬の会陰(えいん)ヘルニアは、肛門の周りの会陰部から骨盤内の臓器が飛び出してしまう病気です。会陰ヘルニアは会陰部の筋力低下が原因とされていて、直腸がはみ出している場合は便秘や排便障害が起こります。また、膀胱がはみ出している場合は排尿障害がみられます。後ろから見た際に、お尻の形がいびつで飼い主さんが気付くケースもあります。

2.しっぽを追いかけてくるくる回る

犬がおしりを気にしてしっぽを追いかけてくるくる回っている場合は、「肛門嚢炎」の可能性が考えられます。

肛門嚢炎

肛門嚢炎(こうもんのうえん)は肛門腺に分泌液が溜まり過ぎて発症してしまいます。
特にトイプードルやチワワなどの小型犬の場合、便とともに分泌液を出すことが苦手な犬が多いので、肛門嚢炎を発症しやすい傾向があります。これは、小型犬に比べて大型犬の方が便が大きいので、分泌液を排出しやすいという理由があります。
また、小型犬は生まれつき大型犬や中型犬に比べて肛門周りの筋肉が弱く、本来自然に排出される分泌液を自分で押し出すことが難しいためです。

3.食欲低下・軟便・下痢

犬がおしりを気にする以外に、食欲低下や軟便、下痢の症状がある場合は「寄生虫の感染」のケースが考えられます。

寄生虫の感染

瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)などの寄生虫に感染すると、犬の肛門のまわりに寄生虫の一部が付着するため、しきりにおしりを気にすることがあります。
寄生虫に感染すると食欲低下や軟便、下痢などの症状が伴います。瓜実条虫症は、犬がグルーミングする際に瓜実条虫の幼虫が潜んでいるノミの成虫を取り込んでしまうことで感染することがあります。

犬がおしりを気にするときに必要な対処法とは

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ここでは、犬がおしりを気にする際に必要な対処法を2つご紹介します。

1.肛門腺絞りをする

肛門の両脇にひとつずつある肛門腺から出る分泌物は、肛門嚢(こうもんのう)という小さな袋に溜まります。「肛門腺絞り」は犬の肛門嚢にたまった分泌物を外に出すお手入れのことを言います。

小型犬や中型犬はフンと一緒に肛門嚢の分泌物が出にくいため、月に1度は肛門腺絞りをして分泌物を外に出してあげる必要があります。肛門腺の絞り方は、犬のしっぽを持ち上げて肛門が見える状態にし、ティッシュで抑えながら肛門から分泌液を押し出すように絞り出します。分泌物を絞った後はティッシュなどでおしりをふきとってあげてください。細菌が感染して肛門嚢炎などの炎症を予防するためにも、定期的な肛門腺絞りで犬のおしりを清潔に保ってあげましょう。

なお、自分で肛門腺絞りを行うのが難しい場合はトリミングサロンや動物病院に行った際に頼んでもかまいません。

対処法2.おしりの違和感が強い場合は動物病院へ

犬が肛門腺絞りを嫌がったり、肛門付近の痛みや違和感が強そうであれば、以下の点を確認してみてください。以下のような異常が見つかった場合は動物病院で速やかに診察を受けましょう。

チェック項目

  • 肛門嚢から膿のような液体が出ていないか
  • 肛門周囲の皮膚が破れていないか
  • 便に異物が混じっていないか

肛門周りをチェックして早めの対処を!

犬 おしり 気にする

「犬がおしりを気にしている」といったちょっとした仕草にも、実は病気が隠れている可能性があります。犬のお尻の変化は気付きにくいこともあるため、犬がしきりにおしりを気にする様子が見られたときは肛門周りをよくチェックし、異常がないか確かめてあげてください。また、対策をとっても変化がないようであれば早めに動物病院を受診しましょう。

  • 更新日:

    2021.03.28

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。