その日は、急にいつもの元気や食欲もなく、体を触るといつもより熱く感じたためラムを病院へ連れて行きました。検査をしてもらうと「子宮蓄膿症」との診断。病気については知ってはいましたが、いざ愛犬がそう診断されると頭が真っ白になりました。
子宮蓄膿症とは、子宮の中に膿が溜まる病気です。避妊手術をしていない高齢犬に多いと言われています。しかし、避妊手術をしていれば100%予防できる病気でもあります。子宮蓄膿症は、膿が陰部から出る開放性と膿が排出されない閉鎖性があります。ラムは閉鎖性だったようで、症状があっても膿は出てきませんでした。
子宮蓄膿症を完治させるためには手術で子宮を取り出すしかありません。薬での治療もありますが、再発の可能性があります。年齢的なところや体調が悪い状態での手術に不安があり悩んだ末、薬で様子をみることにしました。
若く体力があれば、すぐに手術をしてもらっていたと思います。ただ、この時ラムは16歳目前で人の年齢にすると約80歳。手術に耐えられるのか、目が覚めなかったらどうしよう・・・ということばかり考えていました。
薬を飲んでいる間、オシッコと一緒に膿のようなものがたくさん出て、食欲も戻り元気になりました。しかし、1週間ほどでまた体調が悪くなりまた動物病院へ。今回は、手術・薬の他に、このまま最期を看取るという選択肢を出されました。
このときも「前回は内服薬で回復したから今回も大丈夫」という思いから手術を決められずにいました。しかし、ラムの姿を見ているうちに元気になる可能性があるのは手術だけと考え、手術をしてもらう決意ができたのです。そして、翌日手術をしてもらうことになりました。
手術までずっとラムの傍にいました。・・・というか傍にいることしかできなかった、というのが本当のところですね。飼い主ができることは限られているんだなぁと実感しました。あとは、信頼している獣医さんにお願いするだけです。
手術が終わると手術室へ呼ばれ、まだ麻酔から目が覚めないラムと対面。そして、取り出した子宮を見せてくれました。本来の大きさの標本とラムの子宮の大きさは全然違います。ラムの子宮はパンパンに膨れていて、メスを入れると膿が大量に出てきました。小さな体にこんなに大量の膿を持っていたなんて、もっと早く手術してもらえばよかった、と思いました。
診察時間内であれば面会OKとのことで、毎日会いに行きました。どんどん元気になり、帰りたいと吠えるほどです。5日間入院し、お家に帰ってきました。退院のときには、看護師さんからラムは16歳の割に若いと言ってもらえたんですよ。お家に帰ってきて、たくさんご飯をたべて、走り回って、といつものラムになりました。
このたび高齢犬の手術を実際に経験しましたが、やはり高齢犬ともなるとリスクも高く、なかなか決断することが難しく感じました。優柔不断な性格なためか、悩んでいる間はラムに辛い思いをさせてしまいました。特に、子宮蓄膿症は避妊手術をすることで防ぐことができる病気なので、出産の予定がないのであれば早めに避妊手術をしてあげるといいかもしれません。