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海辺でゴールデンレトリーバーアンディの顔アップ
健康管理 / 病気

2021.03.09

君たちは私の太陽〜海辺でゴールデンレトリバーと暮らす日々〜

【体験談】愛犬が胃捻転になったときのこと|命にかかわる病気

元気印がトレードマークだったアンディ。若い頃は、散歩ができないほどの引っ張り。風に舞う葉っぱはもちろんのこと、飛び立つカモメの大群にまで勝負を仕掛けたアンディ。9歳の頃にディロンがやってきても子犬パワーに押されることなく、堂々と渡り合うことが出来たパワフルさが取り柄でした。そんなアンディが突然倒れました。そして、それは命にも関わる重大な病気でした。

西村 百合子/ホリスティックケアカウンセラー、愛玩動物救命士

いつもと同じ夏のある日のこと

2頭のゴールデンレトリバーが海辺を歩く

とても暑い8月のある日、それは起きました。アンディが11歳10ヶ月の頃のことです。夏の夕方のお散歩は日が暮れてからの19時近く、いつもと何も変わらないのんびりしたお散歩でした。帰宅後しばらくはハァハァしているディロンのために安静にします。そして、ハァハァが収まった1時間後ぐらいが晩ごはんタイム。

メニューは、消化の良い馬肉生肉をメインに野菜のトッピングといつもと同じごはんです。食後は、横になってリラックスタイム。ここまでは、何も変わらない日常でした。

アンディに異変が

食後1時間ほどした頃から、所在なげにウロウロ歩き回り始めたアンディ。明らかにいつもとは違います。立ったり座ったり、とにかくじっとしていられないそんな感じが見て取れました。「どうしたの?」声をかけても、いつものアンディのような反応が返ってきません。庭に出して欲しいというので、庭に出すと庭と家の中を行ったり来たり。そのうち、吐きたそうなそぶりをし始めました。

「ゲーしたいならしちゃいなさい!」声をかけても、何も吐けないのです。そして、「ゲー」と何度も何度も繰り返すのです。そこで、無理にでも吐かせた方がいいかと思い、口の中に手を入れてみると唾液が異常に少ないことに気がついたのです。

アンディ、どうしたの?

吐きたくても吐けない、そんな状態が1時間ほど続きました。そして、お腹が膨れてきていることに気がついたのです。「え?これってもしかして胃拡張?」あわてて24時間対応のかかりつけの動物病院に電話しました。先生に状況を説明しているわずかな時間にも、どんどんお腹が膨らんできているのです。よく見ると、いつもの倍ぐらいにまでお腹が膨れていたのです。

胃捻転と診断されて緊急手術を決断!

2頭のゴールデンレトリバーが元気に笑う

かかりつけの動物病院までは車で10分ほどなのに、これほど遠く感じたことはありません。病院に到着すると、獣医師が準備をして待っていました。

予想をしていたのか、胃の中は既にガスでパンパンの状態で捻転している可能性があると説明されたのです。さっきまでは想像もしていなかった「胃捻転」の可能性を示唆されたのでした。そして、口から管を入れガス抜きを試みましたが、何度やっても胃にたまっているガスは抜けきりません。同時に行った血液検査の数値は正常。しかし、獣医師の勧めもあり緊急で開腹手術をすることを決断しました。

すでに脾臓の壊死が始まっていた

開腹してみると、胃は捻転し、脾臓と血管の一部に壊死が始まっていることが分かったのです。この状態で、これ以上時間が経過すると、捻転した胃に血液が行かなくなるために壊死してしまい死に至ります。胃捻転は、発症後4時間までが勝負だそうです。アンディの場合は、壊死した脾臓を全摘、胃が捻転しないように固定する手術を行いました。

1週間の入院予定だったけれど

11歳という高齢で、胃捻転の手術をしたアンディ。最低でも1週間は入院が必要と言われていましたが、なんと4日で退院。これも元気印のアンディマジックかもしれません。しかし、胃固定手術をしても胃捻転は再発する可能性があるとのこと。結果としてアンディは再発することはありませんでしたが、胃捻転の怖さを忘れることはできません。

犬の胃捻転の原因って?

海辺で過ごすゴールデンレトリバーのアンディ

この時、獣医師と「胃捻転はなぜ発症するのか」について話をし、またさまざまな文献を読み漁りました。そして、いくつかの原因が見えてきました。中でも、一番大きな原因だと言われているのが、筋肉の老化です。

胃捻転という言葉から、胃がねじれるように思われがちですが、実は「胃をつっている筋肉」がねじれるのです。歳を取ると、筋肉がゆるくなりねじれやすくなります。この筋肉がねじれることにより、一緒に血管がねじれ、血液が通わなくなるために胃が壊死するというのが、胃捻転の本当の症状です。

胃捻転を起こしやすい骨格がある!

胸が深い体型をしている犬種が胃捻転の好発犬種と言われています。「胸が深い」とは、首からお腹にかけての落ち込みが大きい体型です。実は、アンディも胸が深い体型でした。

そして、アンディが胃捻転を発症した後、兄弟犬も次々と胃拡張や胃捻転を発症していきました。特に、レトリバー種、アイリッシュ・セター、ワイマラナー、グレートデンなどが後発犬種と言われています。また、骨格は親犬から受け継ぐため、胃捻転は遺伝する可能性があります。

ストレスによって発症する可能性も

長距離ドライブや過度のストレスを受けたあとなどにも、実は捻転しやすい傾向にあることが分かってきました。アンディのように普段とても元気に見えても、大型犬は8歳を過ぎればシニアの仲間入り。若い頃と同じように、旅行に連れて行ったり、過度に興奮させてしまうなどのストレスを受けると胃捻転を起こしやすくなると言われています。

実は、アンディはこの2か月ほど前に、長距離ドライブに行っていました。もしかするとこのことが原因だったのかもしれません。

残念ながら胃捻転の確実な予防法はない

海辺で水分補給をするゴールデンレトリバーのアンディ

そして、アンディを通して出た結論が、胃捻転に予防法はないということ。胃捻転予防のために「水をがぶ飲みさせない」「早食いさせない」「激しい運動のあとは、水や食餌を与えない」などと言われています。しかし残念ながら、これらの対策は絶対に胃捻転を起こさないという確実な予防法ではないのです。胃捻転は、ある日突然アンディのように発症することも多くあります。アンディは、食後に起こしましたが、場合によっては寝ている間に胃が捻転してしまうこともあるのです。特に、身動きが取れないケージなどで寝ている場合は、気がつかない間に死に至ってしまうこともあります。もし、愛犬が胸の深い体型をしている犬種でしたら、親犬や兄弟犬が胃捻転を起こしたことがないか調べてみることがおすすめです。

  • 更新日:

    2021.03.09

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ライター・専門家プロフィール
  • 西村 百合子
  • ホリスティックケアカウンセラー、愛玩動物救命士
  • ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。 現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。