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2021.03.31

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.15

雨野さん家のたねとまめ|たねとまめの大喧嘩

吾輩はたねである。少し離れたところでそっぽを向いてる黒いのは、まめ。今朝喧嘩した奴である。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第15話です。

あさイチの出来事

事の顛末を説明すると、朝ごはんだと言われて優雅に起床したたねの元へ走って来たイノシシもといまめが、勢い余って起き上がる寸前のたねの尻尾を踏んだのだ。

まめは人間と違ってちっちゃくて軽いから、そこまで痛くはなかった。でもまだ寝ぼけてたたねにはその衝撃は大地震と変わらないくらいびっくりして、こちらもこの間まめを威嚇した時に軽率にはしない約束した(まめが理解してるかはわからないが)のにも関わらず、勢い余って思い切り威嚇してしまった。

たねの威嚇にびっくりして飛び跳ねるまめ。でも、今回は前と違って威嚇に怯えるだけじゃなくて、ちょっぴり顔をしかめてからそっぽを向き始めた。

確かに、軽率に威嚇しないって約束したのはたねだけど、そもそも最初にたねの尻尾を踏んだのはそっちじゃないの!? だからたねが全部悪いわけじゃなくない!?

そう思ったたねも、まめからぷいっと顔を逸らした。これが、今朝の出来事である。

お休みのお兄ちゃん

それから、お互いにお互いから顔を見ないようにしている。

「あれまめ、今日はたねと遊ばないの?」

今日はお休みのお兄ちゃん。リビングに降りて来て、まめがたねの周りをうろちょろしてないのを不思議に思ったのか、まめに声を掛けた。

お兄ちゃんに声を掛けられたまめは、お兄ちゃんの顔を見て目をきらきらさせた。でも、視界にたねが入るとまた明後日のを方を向く。

そんなまめの行動を不思議に思ったお兄ちゃん、振り向いた先にたねがいるのを確認すると、驚いた様な声を上げた。

たねはいつも怒ってる??

「…え、まさかお前ら喧嘩したの? 珍しいね? たねが怒ってるのはいつものことだけどまめも怒ってるなんて」

誰が怒ってるのがいつものことだって??

反論したい気持ちでいっぱいだったけど、お兄ちゃんは宥めるみたいにまめを撫でてから、たねのことも撫でてくれたので飲み込むことにした。

「なんで喧嘩したのか知らないけど、ちゃんと仲直りするんだよ」

ちゃんと仲直り

そう言って、お兄ちゃんは台所へと入っていった。

仲直り…。

実はたねも、すごくくだらないことで喧嘩してるってことはわかってる。

まめも多分、完全にたねから離れていかない辺りそんなに本気で怒ってるわけでもないんだろう。

だったら、こうやって変にぴりぴりしてるのも疲れるだけで…。

もにょもにょと考えた結果、たねはまめのところへ行くことにした。

「にゃ」

もうお昼になるから仲直りしようよ。

ちゃんと伝わるか自信なかったけど、おずおずちっちゃい体を擦り寄せてくるまめを見て、まめも同じこと考えてたのかなあなんて思う、たねなのであった。

  • 更新日:

    2021.03.31

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。