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2021.03.24

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.14

雨野さん家のたねとまめ|まめは赤ちゃん(?)

吾輩はたねである。目の前でなにもわからず首を傾げているまめを、タオルでぐるぐる巻きにしているのはひかりちゃん。雨野さん家の妹ちゃんである。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第14話です。

今から赤ちゃん

学校から元気よく帰ってきた妹ちゃんは、手洗いうがいを済ませると真っ先にまめのところまでやってきた。そして、まめの両手を掴んで、大きな声でこう言った。

「まめちゃんは今から赤ちゃんね!」

まめは勿論言葉の意味を理解していなかったし、たねも正直よくわからなかった。でも、そんなたねたちの気持ちなんて梅雨知らず、妹ちゃんはお風呂場からタオルを両手いっぱい抱えてやってきた。

「まめちゃん! まて、だよ!」

最近賢くなってきた

まめはとってもやんちゃで暴れんぼうだけど、お母さんがちょっとずつしつけをしているおかげで、つい最近「まて」ができるようになっていた。

ちゃんと言うことを聞いて大人しく待つまめ。それをいいことに、妹ちゃんは持って来たタオルでまめをぐるぐる巻き始めたのであった。

まめはまん丸の目で妹不思議そうにちゃんの顔を見ている。なにをしているのかわからない、まめの表情はそう言っていた。大丈夫、たねにもなにしてるのかよくわからない。

人間って難しい

確かにまめはまだちびっこだけど、生まれたての赤ちゃんとはまた違うのはたねにもわかる。だけど、妹ちゃんは今からまめが赤ちゃんだって言っていた。

…そもそも、今から赤ちゃんってなんだ?大きくなったら今からもなにもなくにゃいか。人間には突然赤ちゃんになる時があるのかな?たねも首を傾げた。

タオルで包まれたまめはちゃんと「まて」をしている。妹ちゃんはまめの頭をいいこいいこしてから、まめのタオル包みを抱え上げた。

「よーしよし、まめちゃんいいこですねー!」

「あらあら、一体どうしたのひかり。まめちゃんのことタオルでそんな丸めて」

ご機嫌な様子の妹ちゃんの声を聞いて、お母さんが台所からリビングにやってきた。そして、ぐるぐる巻きのまめを見て驚いて目をまん丸にさせる。妹ちゃんは、そんなお母さんに向かってまめを見せびらかすみたいに持ち上げてみせた。

「おかーさん!今日ね、学校の帰りに赤ちゃんを抱っこしたお母さんに会ったの!」

「うんうん、それでそれで?」

「それでねひかりもね、赤ちゃんを抱っこしたくなって…まめちゃんに赤ちゃんになってもらったの!」

「なるほどねえ、使ったタオルは後でちゃんと洗濯機に入れるのよ?」

「はーい!」

置いてけぼりのたねとまめ

なるほどね?今のなるほどねってなる説明だった??

お母さんはよくわからないけど納得したみたいで妹ちゃんの頭を撫でて台所へ戻って行く。 撫でられた妹ちゃんは満足嬉しそうに笑った。

そんな中、完全に置いてけぼりのたねとまめ。

そろそろまても限界でうずうずしているまめに、ほんのちょっぴり同情するたねなのであった。

  • 更新日:

    2021.03.24

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。