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2021.03.17

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.13

雨野さん家のたねとまめ|まめのご機嫌取り

吾輩はたねである。隣におずおずと並んでる黒いのはまめ、ついさっきどうにか機嫌取りをした奴である。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第13話です。

ご機嫌取り

遡ること30分程前、たねの威嚇に怯えたまめはソファーの陰に引っ込んでしまった。流石のたねも、自分より何回りもちびっこのまめが縮こまっているのは放っておけず重たい腰を上げたのだった。

「にゃー」

おっきな声出してごめんって。そう言うと、まめはぴくりと耳を動かした。首を傾げてこちらを見てくる。一歩まめの方へ歩くと小さく身じろいだが、逃げる様子はなかったのでまめの目の前まで近寄った。

おずおずこっちを見るまめ。

たねの毛繕い

そんなまめの頭を、ぺろりと舐める。

まめは目をまん丸にして、また首を傾げた。どうやら驚いているらしい。

そのままぺろぺろってまめの体を毛繕いしていく。まめの毛はたねより一本一本がちょっと太くて、ざらざらした。なんとなくまめは気持ち良さげに見えた。

元通り

少しの間毛繕いを続けると、さっきまでしんなりしていたまめのしっぽがぱたぱたし出した。その辺りで一旦毛繕いをやめたら、まめの機嫌は元通りになったみたいだった。

たねと、たねの隣にまめ。そしてたねたちの目の前、テーブルの上にはすずめが一匹。

家に入り込んだすずめなんて、猫のたねが捕まえちゃえばいいって思うかもしれない。でも、家猫でまん丸のたねは他の猫よりちょっぴりどんくさ…じゃなかった、おしとやかなのだ。外から入ってきたすずめなんてとてもじゃないけど捕まえられない。

一応、そんなたねも頑張ってみた。まめはすずめが飛んだのがよっぽどびっくりしたのかすずめに近付こうとしないから、すずめを追い出すにはたねがやるしかなかった。

まめよりもずっとちっちゃいすずめに向かってたねは勢いよく飛び掛かる。すずめはたねの手が届く前に飛び上がった。空飛ぶすずめを見てたねはまた床を蹴る。しかしまたすんなりとかわされてしまう。

生まれてから一度も狩りをしたことがないたねに、すずめなんて捕まえられるはずがなかった。

テーブルの上からたねたちを見下ろすすずめ。すごく嫌な奴だ。

「ただいまー」

そしてすずめは

このままずっと見下されることになるのか…そう思っていた時、玄関からお母さんの声が聞こえた。お母さんの声に反応して、すずめはリビングを飛び回って玄関の方へ向かった。

「えっ、すずめ!?」

買い物袋を提げたお母さんは、玄関とリビングを交互に見る。どうやらすずめはお母さんと入れ違いに外に行ったらしい。

「まさかたねちゃん?…なわけないか」

不名誉なことを言われた気がするけど、雨野さん家に平穏が戻ったので全部よしとしたたねなのであった。

  • 更新日:

    2021.03.17

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。