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2021.03.06

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.11

雨野さん家のたねとまめ|元気すぎるのも考えもの

吾輩はたねである。お父さんに駆け寄りながら、ちらちらこっちを見ている黒いのはまめ。朝から猛烈な遊ぼうアピールを無視した奴である。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第11話です。

まだまだちびっこ

たねの周りを駆け回る。おもちゃを持って来る。今日もまめはたねと遊ぶために尽力してたけど、それでもたねは今日はお昼寝の日って起きた時に決めていた。

ずっとそっぽを向いていたらついにまめは諦めて、その時丁度帰って来たお父さんのところへ駆け寄ったのだった。

これでようやくゆっくりお昼寝ができる…。そう思ったたねだったけど。

なにを勘違いしたのかまめはお父さんの脚に飛び付きながら、それでもたねにアピールしてくる。

いや、別にまめと遊ぶのが嫌とかおもちゃで遊ぶのが嫌とかじゃないから、お父さんいるよ! って言われても気持ちは変わらないんだけどにゃあ。

たねのことはほっといて

「なんだなんだ、まめはたねと遊びたいのか?」

「わんわん!」

あー待ってお父さん、余計なこと言わないで!

たねは別にまめと遊びたくないから!

返事するみたいに吠えるまめを見て、お父さんはたねの方へ目を向けて来る。

でも、たねは気分じゃないからぷいっとそっぽを向いた。

気を取り直して

「おやおや…もしかして、まめはもうたねに振られたのかい?」

「わふっ」

まめはまた返事するみたいに鳴いた。

お父さんはまめの頭を撫でて、床に転がっていたまめのお気に入りの青いボールを拾い上げる。

「ほーらまめ」

そして、リビングのひらけた所に軽く放り投げた。

まめは耳をピンと立てて一目散に転がったボールを追い掛けて行く。ボールをくわえると、お父さんところへ戻って来てお父さんの前に座った。

「ボール取って来るのも上手になったなあまめ」

ボールを受け取ったお父さんがまめの頭を撫でる。まめはどこか誇らしげに吠えた。

「ほら、もう一回!」

もう一度、お父さんが投げたボールをまめが追い掛ける。簡単に追い付いたボールをくわえたまめは、今度はなぜかたねの隣で立ち止まった。

ちびっこの相手も楽じゃない

「おや、まめ?」

そして、たねの体にボールを押し付けて来る。

…多分だけど、遊ぼうって言われてる気がする。

一回知らんぷりしてみる。まめはボールをなぜか丸まって寝てるたねの体の真ん中に置いて、ぐりぐりと鼻先を押し付けて来た。

なんだかすごいデジャヴだ。

頭の向こうからお父さんの声が聞こえた。寝ぼけまなこで顔を上げると、まん丸の目のまめと目が合う。そのまま見つめ合うこと数秒くらい、ついに根負けして立ち上がるたねなのであった。

  • 更新日:

    2021.03.06

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。