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2021.03.03

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.10

雨野さん家のたねとまめ|たね、お風呂に入りたくないの巻

吾輩はたねである。笑顔でたねのことをがっしり捕獲してるひとは陽世子さん。雨野さん家のお母さんである。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第10話です。

地獄のお風呂

呑気にどろんこまめのお風呂を眺めていたたねは、流れるようにお母さんに捕まってしまいお風呂に入ることになった。

なったとは言ったけど逃げ出せるなら今すぐにでも逃げ出したい。たねは濡れるのがとっても嫌いである。

「にゃあ」

たねは、お風呂やだ。とお母さんに訴える。

「うんうん、たねちゃんはお湯嫌いだもんね。でもほら、まめちゃんはあんなにいい子にお風呂したし、お兄ちゃんのたねちゃんも頑張ろうね」

悪あがき

でもお母さんはそう言ってたねの体を優しく、でもがっしり掴んで離さない。こうなったらもう逃げられない。しっかり洗って乾かされるまで心を無にする他ない。

「んにゃあああ…」

「うんうん、でもたねちゃんも最近体洗ってなかったからごめんねー」

泣き言を言ってもお母さんは許してくれない。そうしているうちに、ついにたねの体にシャワーがかけられてしまった。

たねはシャワーにびっくりして思わずちょっと飛び跳ねる。だけどお母さんは小慣れた手付きでたねの体を流していく。

まめは変?

お湯は確かに熱くも冷たくもなくて丁度いい。でも、まめはあんなに気持ち良さそうにしてたけど、たねはやっぱりお風呂は苦手だ。毛がびたびたになって体が重たくなるの、すごく気持ち悪い。

お母さんが泡立てた泡をたねの体に揉み込んでくる。これもやっぱり気持ち良さはわからない。

と言うか、気持ち良さそうにしてたまめってもしかしてちょっと変なのかな? それかすっごい鈍感とか?

こんなに今にも逃げ出したくなるのに、あんな顔でいられるなんてたねには理解ができない。

お母さんの洗い方はたねにも丁寧で、まめの洗い方が違うわけでもないし…。

最近ちょっとまめのことがわかってきたと思ったけど、全然そんなことなかったみたい。

そんなことを考えているうちにいつの間にか体の泡はほとんど流されていた。

納得はできなかったけど、いつもより早く終わった気がするからまあいいか。

そんな時。

お風呂好き

「わん!」

「あっ、まめ!」

廊下からまめとお父さんの声がした。ばたばたとした足音と一緒に、ほぼ体の乾いたまめがお風呂場に飛び込んでくる。

「えっ!?」

まめの登場に驚いたお母さんの肩が跳ねて、シャワーのお湯がまめにかかりまめの体はまた水浸しになる。

「あらまあ、まめちゃんお風呂気に入ったの?」

「わん!」

お風呂なんて全然いいものじゃないのに、肯定するみたいに元気よく返事をするまめを、全く理解できないたねなのであった

  • 更新日:

    2021.03.03

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。