「犬たちをおくる日:この命、灰になるために生まれてきたんじゃない」
著:今西 乃子、写真:浜田 一男
この本は日々命の選択を迫られている愛媛県動物愛護センター職員の葛藤の日々を追ったドキュメント本です。殺処分という非情な作業を請け負っている動物愛護センターは、ともすれば悪業のように思われていますが、そこで働く職員達は決して殺処分を望んでいるわけではありません。
この本には人間のエゴで、様々な理由から犬を持ち込む人達の話がいくつも出てきます。またドリームボックスといわれるガス室や灰になった犬、処分される犬達のリアルでショッキングな写真もたくさん掲載されています。
それだけに、この本の主旨である「一匹でも多くの犬を救うのではなく、一匹でも多くの犬が捨てられないような社会に」という言葉が胸に深く突き刺さります。
こちらは、感動を呼ぶような犬の本では決してありません。読んでいるうちに胸が痛くなり、本を閉じたくなるかも知れません。それでも、目をそらさず最後まで読んでほしいと思います。
児童推薦図書に指定されているので、子どもたちにも読んでいただければ、座学で説く命の尊さではなく、より実感を持っての命の重さを知ることが出来る一冊です。
実験犬シロのねがい
著:井上 夕香、表紙・挿絵:葉 祥明
この本は、とある動物管理センターから1,300円という売値で国立病院に実験犬として売られたシロという犬のお話です。
シロは切られた神経がどう回復するかを調べるために、脊髄の神経を切る手術をされます。しかしその実験の結果は何処にも報告されず、シロは実験施設の檻の中で、足は曲がり、全身の毛は抜け落ち、抜糸もされず、傷口は膿だらけのまま放置されてしまいます。
その事実を知った動物保護団体がシロの救出に向けて動き出し、瀕死の状態で救い出されたシロは、保護団体の献身的な介護によって死から免れることができます。この事件は、東京都が動物の実験払い下げを禁止するきっかけになった実話です。
この本も児童推薦図書に指定されています。本の中では、シロの話だけではなく、サルやウサギを使った残酷な動物実験もリアルに描かれています。
子供には内容が残酷すぎるのではないか、と思われるかもしれませんが、事実を知ることは子どもたちにとって決して無意味なことではありません。
痛みや命の重さを感じる子たちが増えれば、いじめ問題などに対しても小さな明かりを見出すことが出来るような気がします。ぜひ子どもたちと一緒に読んで、命の重さについて話し合ってみてください。
この2冊の本は犬の美談でも感動物語でもありません。犬を愛する者には残酷で目を避けたくなる事実を描いた本です。それでも犬が好きだという人に読んでもらいたいと思っています。
犬が嫌いな人や、苦手という人が犬を飼うことはないでしょう。保護犬を作っているのは、犬を見て可愛いと思い、子犬を抱きしめている人たちなのだということを知ってください。
最後に「実験犬シロのねがい」の挿絵を描かれた画家の葉祥明さんの言葉で、今日のブログを終わりたいと思います。
人間が動物なら、動物も人間だ。我々と兄弟の動物たちを苦しみから救うこと、それこそが人類の愛である。
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