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柴犬 小説
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2021.03.14

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第2部】|vol.3

白ばらの香り

「本当に、そんなに覚えたの?!」
パパはびっくりして、聞き返しました。

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第2部】の連載第3話です。

すごいなメロン!

パパがお座りを教え、ママが待てと伏せとコロリンを教え。
メロンは早々に、4つのコマンドを覚えてしまいました。

「奇跡の学習能力だよ。完璧ではないかもしれないけど、それにしたって、ここまでできるとは誰が想像し得ただろうか」

「どれどれ、やってみましょう」

パパの合図で、メロンは、お座りからコロリンまでの一連の流れに反応しました。

「すごいなメロン!これなら、お散歩の途中で何かあっても大丈夫だね!」 

女の子はオシャレしなきゃ

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満足そうに微笑んだパパは、カバンを抱えて言いました。

「お散歩が始まったら、いろんなワンちゃんと出会うでしょ?」

「そうだね。お友達、たくさんできるといいな」

「もしかしたら、ステキな男の子と出会うかもしれないよね。そんな時、彼のハートを射止めるのが…はい、こちら!」

怪しげな通信販売のようなセリフと共に、パパはカバンから小さな包みを取り出しました。

「何それ?」

包みを受け取りながら、ママは大笑い。

「だから、女の子はオシャレしないとねって話。開けてみて」

「何だろうね、メロン」

メロンも興味津々といった様子で、ママの手元を覗き込んでいます。
包装紙をはずし、箱を開けると、小さなアトマイザーが入っていました。

何と、犬用の香水と書いてあります。

白ばらって…

「ええーっ、香水?!」

思いっきり漢字で「香水」。あまりお目にかからない表示です。

「え、おかしいかな…?」

「いや、普通はフレグランスって書いてあるんじゃない?それにオシャレで「香水」って発想にも驚き。」

ママは裏側もよく見てみました。

「白ばらの香り…? 白ばら、かぁ…」

白ばら。何度も繰り返します。
こういうのって、ホワイトローズって書きそうなものなのに。あえて日本語で書くなら白薔薇とか?なのに、白ばら…。

「どんな香りがするのか、試してみようよ」

「…うん、そうだね」

何となく、パパがやらかしてしまったような予感をおぼえながら、ママの手にシュッとひと吹き。
白ばらの香りが漂います。

「う…」

「これって…」 

顔を見合わせた二人は、大爆笑!

「ばあちゃんの化粧品の匂いだ!」

近くにいたメロンもくしゃみを繰り返し、全力で走って逃げて行きました。
そして、ラグマットの上に寝転がり、体をこすりつけています。

体を包み込む白ばらの香りを、何とかして取り除こうとしているのでしょう。
パパとママは、それをみてさらに大笑い。

モテアイテムとなるはずだった白ばらの香りの香水に、活躍する機会が訪れることは、残念ながらありませんでした。

  • 更新日:

    2021.03.14

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。