「おいしさ」の研究に特化した「味香り戦略研究所」の公式サイトでは、以下のような説明があります。
世界初の“味が測れる機械”「味覚センサー」によって味を「見える化」。
そして、多種多様な要素の組み合わせから生まれる"おいしさ”。この“おいしさのパズル”を解き明かし完成させる会社です。
味覚センサーで「美味しさ」のヒミツをひも解き、さらにそれらを「うま味」「苦味」「塩味」「酸味」「甘味」「渋味」などの構成要素ごとに数値化し、目に見えるかたちで表現できるとは興味深いですね。
味香り戦略研究所では、味覚センサー以外にも様々な感覚を数値化できる装置やセンサーでの分析がおこなわれています。
例えば、「におい」の強さや質を評価する装置や、物質単位で栄養や香りを分析する装置、そして「歯ごたえ」「歯触り」を決める硬さ・粘り気・弾力を測定する装置まで、美味しさを実に多角的に評価できるということが伺えます。
味香り戦略研究所が会員向けに発信している「T&A味トレンドレポート」をもとに、「犬の嗅覚」のヒミツに関する情報を、人間との違いにフォーカスして一部ご紹介します。
トレンドレポートによると、犬は人間と比べて匂いを感じる「嗅覚受容細胞・きゅうかくじゅようさいぼう」の数が多く、その感度は100万倍とも言われているのだとか。
嗅覚受容細胞が多いおかげで、犬は人間と比較するとにおいの“質”を嗅ぎ分けることに長けているのだということです。
においを感じる精度が高いだけでなく、犬は人間と比較すると「におい」が食べものの「美味しさ」に直結する傾向があるようです。
においには以下の2つの種類があり、どちらのにおいもひとつの「嗅覚受容細胞」が感知している点では人間も犬も同じです。
しかし、そのにおいの受容経路が人間と犬では異なるのだとか。
人間の場合、食べものの「美味しさ」を決めるのは「B:口中香」が大部分だとされており、犬よりも優れているとも言われています。
一方、犬においては「A:鼻先香」を嗅ぎ分けるのが優れており、それによって「美味しい」かどうかを判断するとされています。においを鼻で吸い込む回数や量が多いこと、そして咀嚼をほとんどしないことなどが理由として挙げられています。
※図:味香り戦略研究所のトレンドレポートをもとにドックドッグが作成
鼻から嗅ぐにおいが「美味しさ」をより直接的に左右する犬にとって、普段食べているドッグフードの香りは重要な要素だと推測できます。
それでは、味香り戦略研究所による各フードのにおいの強さに関する分析結果を見てみましょう。
味香り戦略研究所のドッグフードのにおいの強さに関する分析は、以下の9つの商品で比較されています。
臭気指数相当値は、数値が「3」変わると物質濃度差が約2倍の違いに相当し、これは大多数の人が「においの強さ」に明らかな違いを感じるレベルだとされています。ひとまとめにドッグフードと言っても、商品によってにおいの強さは実にさまざまであることが分かります。
数値が「30」前後というのは、トレンドレポートによると「十分強いにおいレベル」とのことなので、一部のドッグフードでは30後半の数値を記録していることから更に強いにおいであるということが言えそうです。
※グラフ:味香り戦略研究所のトレンドレポートをもとにドックドッグが作成
また、「ビタワン」と「愛犬元気」においては、開封後2週間後のデータについても触れられています。
ビタワンではにおいの変化がほとんどなかったのに対し、愛犬元気では開封後ににおいが弱くなったということです。
この理由について、味香り戦略研究所のトレンドレポートではこのように解説しています。
揮発しやすい低分子のにおい物質を含む食材を多くすることでイヌに対してキャッチなインパクトを与えることが考えられる。またにおいが飛びやすい対策として製品を小分け包装にすることにより、フレッシュなにおいのフードを提供できるようにしているのはこのためであると予測できる。
できるだけフードのにおいが飛ばないようにするためにも、小さめの容量で購入し短いスパンで食べきることや、大袋を購入した場合は小分けにして保存するなどの工夫ができると良いのかもしれませんね。
※グラフ:味香り戦略研究所のトレンドレポートをもとにドックドッグが作成
犬の嗅覚は私たち人間の感じ方とは異なり、犬にとっては「におい」が「美味しさ」に直結しやすいということが分かりました。
また、数ある中の一部のドッグフードに関する調査ではありましたが、ドッグフードは商品ごとににおいの強さもさまざま。おそらく犬によっても「好きなにおい」のドッグフードがあったりと、好みもそれぞれなことでしょう。
愛犬が「美味しい!」と感じて、よく食べてくれるドッグフードに出会うには、においをヒントのひとつにするのが良いことがわかりました。
しかし、実はそれだけでは十分ではないということは、もう皆さんお気づきのはず。
においがただ強いだけではなく、愛犬の体質に合うか、そして愛犬の健康にとって良いのかなど、飼い主にとって愛犬のドッグフード選びが難しい理由は、考慮しなければいけない項目が多岐にわたる点です。
ドックドッグでは、ドッグフード選びをサポートするための16のチェックリストを公開しています。愛犬に合うフードを選びたい!という飼い主さんは、是非チェックしてみてはいかがでしょうか?