まずは、日本で犬を神として崇められている神社を紹介していきます。
宝登山神社は埼玉県秩父郡の宝登山山麓にある神社です。秩父神社や三峯神社とともに、秩父三社の一社で、宝登山山頂には奥宮が鎮座しています。火災盗難よけや諸難よけの守護神としての御神徳が高く、地元だけでなく関東一円から年間100万人もの参拝者が訪れます。
今から約1900年前、第12代景行天皇の皇子、日本武尊が東国平定後に秩父に入り禊を済ませて山頂へと向かいました。
ところが突然の山火事が起こり、行く手を阻まれてしまいます。そのとき山犬たちが突如あらわれ、瞬く間に火を消し止めてくれました。
しかし、山犬たちは尊一行を頂上まで案内すると姿を隠してしまうのでした。この不思議に、日本武尊は山の神が山犬を遣って自分たちを救ってくれたと悟り、山頂に神籬をしつらえました。
東京都青梅市の御岳山の頂にある武蔵御嶽神社は、山岳信仰の霊場として名高く、神の眷属とされる山犬を祀っています。都心からアクセスしやすく、四季折々の自然や山頂からの絶景を楽しめるハイキングの人気スポットです。
また、参詣道の手前まではケーブルカーで行けるので初日の出を見にいくのもおすすめですよ。
武蔵御嶽神社では、犬の祖先であり神の眷属ともされる狼(山犬)を祀っています。
埼玉県秩父市にある三峰神社は、標高1102mの山奥にたたずむ古社です。境内一面に靄がかかる様子は神秘的で、別世界に迷い込んだような気分になると話題を呼んでいます。
山奥の大変な場所にありますが、非常に厳かな雰囲気があるため、関東の有名なパワースポットとわれていて、遥拝殿からの展望が素晴らしいのも特徴のひとつです。
三峰神社は、昔日本武尊が霧の山中で迷ったところ、山犬の先導に助けられたことから祠を建てたとされています。
それ以来日本を代表するお犬様信仰の聖地として、全国から参拝者が集結し、毎月1日に配られるお守りの「白い氣守」は、元フィギュアスケート選手の浅田舞さんが妹である真央さんに贈ったことで話題となりました。
愛知県名古屋市の豊かな水に恵まれた稲生町にある伊奴神社では、安産と子授けの祭神の伊奴姫神を祀っています。
その昔、犬の王と書かれた御幣が川の氾濫から村を救い、稲の豊作をもたらしたという伝説が残ったことから厄除招福の神として犬を崇めるようになりました。
伊奴神社の境内にある犬の石像は、「犬はお産が軽い」=「安産」というゆえんで奉献されました。
エジプトでは古くから崇拝されてきたミイラづくりの神「アヌビス」がいます。
アヌビスは、犬(もしくはジャッカル)の頭部を持つ姿で描かれ、古代エジプトにおいて「墓場の周囲を徘徊する犬の様子が者を守ってくれている」と考えられたことに由来します。
また、姿かたちはジャッカルや犬と似ていてるアヌビスですが、実はすでに絶滅してしまったイヌ科の動物や想像上の動物がモデルだとするする説もあります。
アヌビスの体は、防腐処理のためミイラ製造時に遺体にタールを塗りこんで黒くなることに由来し、真っ黒だったとされています。
スイスのことわざでは、バーニーズマウンテンに関して神様の贈り物という記述があります。
ここでは、スイスのことわざについて紹介します。
バーニーズマウンテンドッグはスイスげ原産のおだやかな犬種です。2000年以上も前からアルプスで人間の手伝いをし、牧畜犬や護衛犬として運搬用の荷車を牽引する仕事をこなしていました。
黒、茶、白のトライカラーで垂れ耳のどっしりとした体型をしているため、家族にやさしく人間とも犬とも仲良くなれます。
スイス出身のため暑さには非常に弱く、口でハァハァと息をして口の中からの水分の蒸発で体温調節を行う「パンティング」が欠かせません。パンティングすると多くのヨダレが出るため、バーニーズマウンテンドッグと暮らす飼い主さんはタオルが必需品となります。
バーニーズマウンテンドッグに関するスイスのことわざには、こんな記述があります。
生後3年で若犬、3年経ったら良犬、その後3年で老犬になり、それから先は神からの贈り物
こんな風に言い伝えられるほど、バーニーズマウンテンドッグの寿命は短く、一緒にいられる時間がいかに大切であるかを改めて実感させてくれることわざです。
犬は昔から人間と共存し、お互いに助け合って生きてきました。
犬を大切に思う気持ちは長い歴史で受け継がれ、現在では家族の一員として、信頼できる大切なパートナーとして犬と一緒に暮らしている人がたくさんいるのです。