犬が自分の体をなめるのにはいくつか理由があります。以下で詳しく解説していきます。
犬はストレスを感じると自分の体や足をなめてストレスから逃れようとします。特に体の異常がないのに犬がずっと足をなめている場合は、運動不足や寂しさなどからくるストレスが原因となっている可能性があります。
犬はグルーミング(毛づくろい)をするために自分の体の汚れなどをなめてきれいにします。犬は自分の足先をなめることが最も多いですが、おなかや尻尾でも見られます。また、おしっこをしたあとに陰部をなめる行為もグルーミングのひとつです。
犬がグルーミングの範囲をこえて頻繁に自分の体を舐めている場合は病気の可能性も考えられます。皮膚炎に感染している場合はかゆみがあるので、皮膚を気にしてなめるようになります。また、椎間板ヘルニアなど痛みや違和感の生じる病気にかかった場合も体を頻繁になめようとする場合がありますので注意が必要です。
犬は自分の体だけでなく飼い主の口元や足をなめることもよくあります。実は、犬が飼い主の体をなめるときは体の部位ごとに意味が違うのです。そこで、犬が飼い主の体をなめる理由を詳しく解説します。
犬がしっぽを振りながら飼い主の口元をペロペロなめる行為は、本能からくる飼い主への愛情表現です。犬は古来から相手への敬意や愛情を伝えるときに口をなめるという行動をとっていて、その名残が今も残っているのです。また、愛情表現以外に食べ物をねだっているという場合もあります。これは子犬が食べ物をおねだりしてきたときに、母犬が口から吐き出して与えていたことが影響しています。
犬が飼い主の手や足をなめる意味は、一緒に遊んでほしい気持ちを表しています。犬は飼い主の手をおもちゃで遊んでくれたり、なでてくれたりするものと認識しているようです。そのため、犬が飼い主の手足をなめたり、つついてきたりしたときは、「一緒に遊ぼうよ!」と誘っていることがあります。
犬が飼い主の体をなめるほかに、背中やおしりをピタッっとくっつけてきた経験がある人も多いのではないでしょうか。そこで、犬が飼い主に体をぴったりくっつけてくる理由を紹介します。
犬が自分の背中やおしりを飼い主にぴったりとくっつけて座るのは、飼い主への信頼感の表れです。その理由は、犬が自分の急所である背中やおしりをくっつけることで安心感が得られるためだといわれています。犬は、警戒している相手に対して無防備に背中は向けません。そのため、犬が飼い主に体の一部をぴったりとくっつけるのは、飼い主のぬくもりを感じてリラックスしたいという気持ちのあらわれです。
犬が自分のおしりや背中をくっつけるのは野生時代の防衛策の名残でもあります。犬が野生で群れをなして生活していたときは常に敵に対する警戒心を持って行動していました。そのため、犬は休む時や眠る時は群れになっておしりをくっつけ合い、外敵が来ていないかどうかの安全を団結して確認し合っていたのだといわれています。おしりをくっつけ合うことで死角をなくせるので、敵が近付いてきてもいち早く対応できていたのです。
犬が床や飼い主に体をこすりつけるのは、どういう意味があるのか疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。そこで、犬が飼い主や床に体をこすりつける理由として考えられるものをいくつか解説します。
犬が地面に体をこすりつける理由として、においを消すという本能があげられます。犬が昔野生で暮らしていた頃は、敵に見つからないように地面に体をこすりつけて自分のにおいを消す習慣がありました。そのため、人間と暮らすようになった今でもの防衛本能の名残で地面に体をこすりつける行為をするのです。
犬が地面ではなく飼い主に体をこすりつけることがありますが、この場合は飼い主に甘えたいという愛情表現の意味が強くなります。しかし、横になっている飼い主の頭や顔に犬が体をこすりつけてきた場合は自分よりも下に見ている可能性があるので注意してください。なぜなら、犬は自分より下に見ている相手の顔や頭に自分のにおいをつける習性があるためです。
犬が自分の体や飼い主の口元、手足をなめるのにはそれぞれ違う理由があります。なめる場所や飼い主へのスキンシップのやり方によって意味が違ってくるので、理由を知ることで犬の気持ちを理解しやすくなります。ただ、犬が必要以上に自分の体をなめているときは、痛みや違和感を感じているのかもしれません。負担を少しでも早く軽減してあげられるよう健康状態に異常がないかチェックしてあげることも大切です。