「〇〇!?」と名前を呼んでも、犬が目を合わせてくれない時があります。イヌ科の動物は、視線を使って仲間とコミュニケーションを取っている可能性が高いことが京都大学野生動物研究センターの研究から分かっています。犬にとって目を合わせないという行為は、人間同士が目を合わせないことよりも多くの理由があるのです。また、目を合わせない時に尻尾の状態も同時に観察することで、犬の心理状態を推察することができます。
動物園などに行った時に、動物の目を直接見てはいけないと言われたことはありませんか?犬に限らず多くの動物は、相手を威嚇する時に目を合わせます。目を見つめ合い、うなったり歯をむきだしたりした時は、喧嘩をする前触れです。また、年上の犬の前でも目を合わせないことがあります。このような時に犬が目を合わせないのは、相手に敵意がないと伝えている時です。飼い主と目を合わせない時は、「ママとは喧嘩したくないよ」と伝えている可能性があるのです。
目を合わせず、低い位置でゆっくり尻尾を振っている場合は、警戒している、不安を感じている時です。あまりの恐怖から反撃する可能性もあるため注意が必要です。
犬は、飼い主から叱られることが分かっている時や自分が悪いと分かっている時に目を合わせないようにします。お留守番中に散らかしてしまった時、いたずらしてしまった時、トイレを失敗した時など、自分の立場が不利な状況にある時に飼い主と目を合わさないようにします。物陰に隠れていたり、目をそらしてうつむいたりしていたら、飼い主に見つかりたくないことをした時。「ごめんなさい。怒らないで!」そんな心理から目を合わさないようにしていると言えます。
いたずらをした時など叱られると分かっている場合、目を合わせず尻尾を後ろ足の間に巻き込んでいることがあります。この時は、怖いといった恐怖感やごめんなさいという降参の気持ちを表しています。
犬が目をそらす理由の一つに、自分の興奮を収めようとしている時があります。また、これとは逆に飼い主がものすごく怒っていたり、興奮している時は目を合わせないことで、興奮しないでと伝えている可能性があるのです。
犬が興奮している時は、尻尾を上げフリフリ激しく振ります。もし、尻尾を思いっきり振りながら目を合わせずにいる場合は、犬が興奮する原因となることが周囲にないかチェックしてみましょう。また、尻尾を下げゆっくりと振っている時は、不安やストレスを感じ興奮している可能性があります。
犬がストレスを感じた時に目を合わせないことがあります。犬のストレスの原因は、緊張や不安を感じる時。嫌いな人に出会ったり、家族が大きな声で喧嘩をしている時などは犬がストレスを感じやすい状況です。また、厳しくしつけを行っている時も犬はストレスを感じ、目を合わせなくなります。このような時に犬が目を合わせなかったら、ストレスを感じていると考え、ストレスを取り除いてあげましょう。
犬が目を合わせないだけではなく、尻尾が下がり、ゆっくり振られていた場合は不安な時やストレスを感じている可能性があります。このような時は、まずはストレスの原因を探りましょう。
初対面の犬や知らない場所は、怖がりな犬にとって恐怖を感じるシチュエーションです。また、耳掃除や爪切りなど嫌なことをされるのは犬にとって恐怖となります。そのような場面では、名前を呼ばれても目を合わせないようにすることがあります。
犬は恐怖を感じると尻尾にもその感情が現れます。尻尾を下げゆっくり振っている時や後ろ足の間に巻き込んでいる時は、不安や不快感、許オウフを感じている時です。また、知らない場所で尻尾をピーンと高く上げている時は、遠くに「何か」を感じている時です。このような時は、遠くから犬が来る可能性も高いため注意しましょう。
言葉を話すことができない犬は、体の様々な部位を使って自分の感情を相手に伝えます。これをカーミングシグナルと呼び、眼、耳、尻尾、口、足などを使って犬が行うボディランゲージです。中でも、見ていてわかりやすいのが目と尻尾の動き。このような犬が伝えたい気持ちを理解するには、日常から行動をよく観察することが大切です。
犬が目を合わせない時は、必ず何かの感情を伝えている時です。もし、恐怖やストレスのサインとして目を合わせていないのであれば、その原因を取り除いてあげることも大切。特に、いつも以上に叱りすぎてしまったと感じている時に、犬が目を合わせないと「こっちを見て!」とさらに叱ってしまいがちですが、これでは犬に大きなストレスを与えてしまいます。なぜ、犬が目を合わせないのか、その原因を考え、読みとってあげることが大切です。