犬が吠えるときには何らかの理由があるので、基本的な考え方としては実は「無駄吠え」というのは存在しません。 そこで、ここでは犬が夜に吠える理由をいくつか紹介します。
高齢犬が夜中に吠えている場合は認知症の症状のひとつの可能性があります。認知症で吠えている場合は、認知症特有の叫ぶような声が特徴です。認知症の場合は特に吠えている理由はなく、認知症の症状が出ているときに吠えるため昼間や真夜中関係なく鳴いたり吠えてしまいます。
また、認知症の場合は夜中に同じところをぐるぐるまわって徘徊したりおもらしをするといった症状も見られます。
犬が夜に吠える場合、飼い主さんと離れていることで寂しくなりかまってほしくて吠えていることもあります。この場合は、ある程度決まった時間に吠えるケースが多くなります。 特に新しく迎え入れたばかりの子犬はほとんどの場合で夜に吠える傾向があります。子犬の場合の夜吠えは寂しさや不安から吠えるので、環境に慣れてくれば改善がみられることがほとんどです。
犬が夜になると吠える場合は、生活リズムが崩れてストレスがたまっている可能性も考えられます。生活リズムが崩れている場合は昼間の運動不足や昼寝のしすぎが原因になっていることもあります。犬の体内時計がおかしくなって日中に寝続けてしまうと運動不足になり、夜になかなか寝付けなくなってしまい、吠えてしまうことがあります。
犬が夜に吠えてしまうときは、無視し続けたり一方的に叱りつけるのではなく、犬が夜に吠える理由を理解してあげて適切な対処をしてあげる必要があります。ここでは、犬が夜に吠えるときの対処法を紹介します。
犬の体内時計が狂い生活リズムが崩れて夜に寝付けなくなって吠えてしまう場合は、生活リズムを正常に戻してあげる必要があります。運動不足の場合は夜寝る前に散歩に行って疲れさせるのもひとつの方法です。寝る前に外出するのが難しい場合は室内で眠る前に犬と一緒に遊んであげるのも効果的です。
また、日中の長すぎるお昼寝は夜に眠れなくなって夜鳴きの原因になるので、できれば日中に外に出して運動量を増やしてあげましょう。日中にお散歩することで日光浴になり体内時計がリセットできるだけでなく、気分転換にもなることでリラックスして夜の安眠につながります。
子犬が夜に寂しさや不安で吠えている場合は、まず犬の不安を解消してあげることが大切です。 犬の不安や寂しさを解消する方法は以下のようなものが挙げられます。
・飼い主さんの寝室の扉を開けたりケージの位置を変えるなどして、飼い主の姿が見えるようにしてあげる
・犬の寂しさを紛らわすためにテレビを小さな音でつけておいたり、薄明かりを点けた状態で犬を寝かせる
これらの方法を犬の様子を見ながら試してみてください。
犬が落ち着かずに夜に吠えてしまう場合は、ゲージを布などで覆い光を遮断して暗い中で落ち着かせてあげましょう。また、トイレの位置が近すぎることがストレスになっている犬もいますので、ゲージやサークルの中に入れるときはトイレと寝床が近すぎないか確認してあげてください。
さまざまな対処をしてみても犬が夜に吠えるのを辞めない場合や認知症が原因と考えられる際は動物病院に相談するのもひとつの方法です。
犬が過度に不安を感じている場合や自律神経の失調よって夜に吠えている場合は薬物療法の適応になります。ほかにも完全な薬での治療でなくても漢方やサプリメントを使って認知症の症状を改善したり、進行を遅らせたりすることも期待できると言われています。
また、認知症の場合は犬の夜鳴きによって飼い主さんも寝られなくなり体調を崩してしまうこともあります。そのため、犬が夜に吠える症状が治まらない場合は老犬ホームなどの施設利用を検討するのもひとつの方法です。
犬が夜に吠えてしまうときに原因を考えずに必要以上に叱ったり無視するしたり、おさまるまで放置するといった対処は避けた方が良いでしょう。犬が吠えているには理由があることが多いので、なぜ吠えているのかをまず知るために、泣き出すタイミングや状況などを見直してみましょう。特に高齢犬が夜に吠えるようになったら体調不良がないか、認知症の可能性はないかを探ることが解決への第一歩です。
犬が夜に吠えてしまうのがなかなかおさまらないと、飼い主さんの心の余裕がなくなったり睡眠不足になる原因になります。そのため、犬の夜鳴きが解決しない場合は一人で抱え込まずに症状をよく観察して動物病院で相談することも大切です。