犬がお尻を振っていたり、飼い主にくっつけてきたりした際に「これってどういう心理?」と疑問に思うことはないでしょうか?
これらの行動は、お尻を使った愛情表現とも受けとれますが、実は病気の症状を訴えている可能性もあるのです。
本記事では、犬のお尻に関する愛情表現と、病気の可能性についてを解説していきます。犬のお尻が示すサインを見逃さないようにしましょう。
犬は飼い主や他の犬に対して、おしりを使った愛情表現をすることがあります。ここでは、それぞれの仕草に合わせた意味を紹介していきます。
よく「しっぽを振っているのは嬉しい証拠」と言われたりもしますが、お尻を高く上げて振るのも「嬉しい」という感情表現のひとつです。
餌を食べているときや、飼い主さんと遊んでいるときにお尻を振っていたら、喜びを感じているのだと理解してあげましょう。
お尻を振っているからといって、必ず喜んでいるとも限りません。犬は警戒を示す際にもお尻を振ることがあるからです。 知らない人や他の犬がいる場所でお尻を振っている場合、「もしかしたら警戒しているかも」と感じることも大切です。
警戒の際には耳を立てていることも多いので、お尻と一緒に観察しておきましょう。
他の犬とお尻のニオイを嗅ぎ合っている場合は、コミュニケーションをとっているだけです。肛門にある「肛門腺」は、犬によってニオイが異なります。そのため、相手のことを知るためにニオイを嗅いでいるのです。
汚いと思ってすぐに引き離したりせず、犬にとっての挨拶のようなものだということを理解しておきましょう。
犬がお尻をくっつけてくる場合に注目すべきなのは、「背中を向けている」という状況です。犬が背中を向けてくれるということは、「飼い主を信頼している」ということになります。
犬にとって、下半身は本能的に警戒を示す部分です。ある意味弱点ともいえる背中やお尻をくっつけてくるという状況は、信頼関係が築けている証拠なので、飼い主として素直に喜びましょう。
犬のお尻に関して不審な行動が見られたら、病気を疑ってみるのも大切です。以下の行動に当てはまっていたら注意しましょう。
注意したい行動
これらの行動がどんな病気に発展する恐れがあるのかを解説していきます。
肛門のう炎とは、犬がマーキングのため使う分泌液を蓄えている「肛門のう」という部分に炎症が起きる病気です。痒みや痛みが伴うため、お尻を舐めたり擦ったりするようになります。
放っておくと肛門のうが破裂し、皮膚に穴が空くこともあるので、注意が必要です。
肛門のう炎の予防には、月に1回程度「肛門腺絞り」をしてあげるといいでしょう。肛門腺絞りとは、犬の肛門腺から分泌液を絞り出す方法です。年齢と共に分泌液が溜まりやすくなっていくので、定期的なケアが必要です。難しかったら動物病院やトリミングサロンで絞ってもらいましょう。
股関節形成不全とは、成長の過程で股関節に異常が起き、関節が上手くかみ合わなくなってしまう病気です。原因は遺伝に関係していることが多く、子犬と成犬のどちらでも発症します。
中でも大型犬が発症しやすいとされており、おしり振って歩くような行動が見られたら注意が必要です。
犬がお尻を気にしている場合、肛門近くの皮膚で炎症が起き、痒みや痛みを感じている可能性も考えられます。皮膚炎の原因は、主に以下の通りです。
・アレルギー性
・アトピー性
・脂漏性
皮膚が赤くなっていたり、脱毛のような症状が見られたら、その原因を突き止めて正しい処置をする必要があります。市販の薬だけで治そうとせず、動物病院へ連れて行ってあげるようにしましょう。
犬のお尻に関する愛情表現や病気についてお伝えしてきましたが、これら以外の理由について解説していきます。
犬がお尻を気にするのは、ただの習性という場合もあります。お尻についたウンチや汚れを、自分で綺麗にしようとしているということです。その際は、お尻を代わりに拭いてあげるなど、清掃の補助をしてあげるといいでしょう。
犬がトリミングをした直後にお尻を気にしているようであれば、原因はバリカン負けかもしれません。痒みや赤みが出ているようであれば、犬用の軟膏を塗ってあげることで改善します。あまりにも治らない場合は、動物病院へ受診しましょう。
バリカン負けを防ぐためには、プロのトリマーにトリミングを任せるのが安心です。
犬は飼い主への愛情をお尻で表わすことがあります。お尻に注目し、安心や信頼のサインを見逃さずに、コミュニケーションを深めていってください。
また、お尻を気にしていたり、痒がっている行動が見れられる場合は、病気を発症している可能性も考えられます。お尻付近に異常がないかを確認し、異常があればすぐに動物病院へ連れて行くようにしましょう。犬のお尻から、心と体の状態を感じ取れるよう意識してみてください。