犬が癌になる原因として、ホルモンの異常や遺伝子によるもの、環境によることが考えられています。しかしまだはっきりと特定できないのが現状です。犬の癌の発症には次のようなことが関係していると言われています。
統計的にみると、特定の犬種が癌にかかりやすい傾向があるといわれています。特にシェトランドシープドッグやラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、バーニーズ・マウンテンなどの犬種は、発症率が高い傾向にあります。
しかし、癌の種類によっても大きく異なるため、一概に癌にかかりやすい犬種を列挙するのは難しいです。
犬の寿命は30年ほど前と比べるとおよそ1.5~2倍に延びました。その理由には、主食となるフードの栄養バランスが向上したことや医療技術の向上、住環境の向上などです。
しかし寿命が延びた分、病気にかかるリスクをも高くなりました。特に中~高齢犬の腫瘍性疾患は、年々増えてきています。
犬の癌は、なるべく早くに治療を受けることが重要になります。日頃から愛犬の身体を触り、変わったことがないかをチェックしましょう。以下に早期発見に繋がるチェックポイントをご紹介します。なお、このような症状があれば、癌だけでなく何らかの病気の可能性がありますので、なるべく早く受診をするようにしましょう。
チェック項目
癌の疑いがあるときは、麻酔をかけてその部分の組織を切り検査する「組織検査」をおこないます。この検査は、組織そのものを検査することができるため、腫瘍が良性か悪性かだけでなく種類まで知ることができます。麻酔をかけることで体にかかる負担が心配な場合、「針生検」と呼ばれる麻酔をかけない状態で針を癌にさしての検査もあります。
その他にも必要であればレントゲンやMRI、超音波、CTといった検査をおこないます。また定期的な健康診断によって早期の癌を発見できる可能性ありますので、最低でも年1回は動物病院で診断してもらうといいでしょう。
犬の腫瘍が悪性であった場合は、外科療法・放射線療法・免疫療法凍結療法といった治療法があります。これらの治療法についてご紹介します。
外科療法とは、手術で癌を取り除くことです。腫瘍の種類によって適した治療法があり、外科療法が向いている腫瘍の種類があります。さらに早期の段階や転位がない場合は、有効的な治療法です。しかし、手術する場所によっては、犬の容姿が変わってしまう、歩行や食べるといった機能が損なわれてしまう場合があります。
また犬の状態によっては、全身麻酔のリスクについても考える必要があります。
抗ガン剤によって癌の転移や増殖を抑える治療法です。外科療法の際と同様、化学療法だと大きな効果が期待できる種類の腫瘍には向いている治療法です。
ただし抗がん剤の副作用として下痢や嘔吐、食欲不振になることがあります。また場合によっては、脱毛してしまうこともあります。
中には癌細胞の増殖するスピードが早いといった理由や、抗がん剤の副作用がひどく治療が続けられないという場合があります。犬の状態にもよりますが、手術や化学療法をすることで犬の「生活の質」についても考えてみましょう。
残りの時間が少ないなら、なおさら病院に行く時間より、大好きな家族と一緒にいたいと感じる方も多いですよね。
痛みの緩和ケアだけをおこない、後はゆっくり自宅で過ごすというのも選択肢のひとつです。
癌になると体力を消耗してしまうためことが多く、以前と比べると、寝ている時間が増えてしまった、というお話をよく聞きます。飼い主としては、そんな愛犬をみているのはとてもつらいものです。
しかし嘆いてばかりはいられません。愛犬をしっかりサポートして、少しでも心地よく過ごせるようにすることができるのは、飼い主だけです。
同じ格好で寝ていると体重を支える部分の血流がわるくなり「床ずれ(褥瘡)」の原因になってしまいます。硬すぎないベッドを用意してあげましょう。汚れたらすぐに洗えるようタオルなどを敷いておくとよいでしょう。
ベッドは、愛犬から家族の姿見える場所においてあげましょう。
ずっと同じ体制でいると手や足がこってしまいます。ゆっくりと関節を伸ばしてあげましょう。また優しく声を変えながら、体を撫でてあげるのも愛犬にとっては、うれしいことです。
犬が癌になったときは、何をしてあげればいいかと考えてしまいます。最後まで治療をするべきか、犬との時間を優先するか…。しかし正解・不正解はなく、飼い主と愛犬の数だけ答えがあるといってもよいでしょう。しっかりと愛犬と向き合い、時間を大切に過ごしましょう。