タンパク質を摂取することは、犬の健康を守る上でも大切ですが、人用に作られたサプリメントには犬が必要としない成分が入っていたり、犬にとって害になる成分が含まれている可能性もあります。そのため、人用のプロテインはおすすめできません。
犬用のプロテインのサプリメントであれば問題はありませんが、与えすぎると悪影響が出る可能性もあるので、サプリメントの必要性や与え方については獣医師に相談することをおすすめします。
犬に人用のプロテインを与えることはおすすめできません。その理由には次のようなものが挙げられます。
ドッグフードには大きく分けて「総合栄養食」と「間食(副食)」がありますが、一般的に主食として与えるべきドッグフードは「総合栄養食」です。総合栄養食は、そのフードと水を与えていれば必要とされる栄養素がきちんと摂取できるように作られています。
そのため、敢えてプロテインのサプリメントを与えるとタンパク質の摂りすぎになり、栄養バランスが悪くなる可能性があります。
人用のプロテインのサプリメントは一般的に牛乳を材料とする「ホエイプロテイン」と「カゼインプロテイン」、大豆を原料とする「ソイプロテイン」の3種類があります。
ホエイやカゼインには「乳糖(ラクトース)」という成分が含まれていますが、犬はこの成分を分解する「ラクターゼ」という消化酵素が少ないため、摂取すると下痢してしまうことが良くあります。これを乳糖不耐性と言います。また、犬に与えてはいけないカカオが配合された製品も注意が必要です。
犬の体質によっては、プロテインのサプリメントに使用されているタンパク質に対してアレルギー反応を示すことがあります。
犬の食物アレルギーの主な症状は皮膚炎です。また、腸が過敏に反応し下痢や軟便などの消化器症状が現れることもあります。
犬が人用のプロテインを摂取してしまった場合は、次のように対処しましょう。
プロテインのサプリメントには様々な種類があり、含まれる成分も製品によって異なります。また、与える子によって体質も違うので、体調に何らかの変化が現れる子がいれば、全く問題の無い子もいます。まずは愛犬の様子を観察し、いつもと違う様子が見られたら動物病院を受診しましょう。
動物病院で診察を受ける際には愛犬の症状に加え、いつ、どのくらいの量のプロテインを摂取したのか説明することが大切です。サプリメントが入っていた袋などを持参すると良いでしょう。
治療は下痢していれば下痢止めや整腸剤、アレルギー症状があれば抗アレルギー薬など、その子の症状に合った治療が施されます。
犬がプロテインのサプリメントを摂取すると、下痢や嘔吐、皮膚の痒みなどの症状が現れることがあります。
先述したように、乳糖不耐性の犬が牛乳から作られた人用のプロテインを摂取すると下痢や軟便、嘔吐などの消化器症状が現れます。
プロテインの成分に使用されるたんぱく質がアレルゲンとなり、口周りや目の周り、耳、足先などに強い痒みや赤みを生じることがあります。
プロテインを長期的、または多量に摂取した場合、腎臓に負担をかけてしまうことがあります。腎臓には、タンパク質を分解した際に発生する老廃物を含んだ血液をろ過する重要な役割があります。
犬の腎臓の機能が低下すると飲水量の増加、尿量の増加、食欲低下、嘔吐、口臭が強くなるなどの症状が現れます。慢性腎臓病の場合は腎臓の機能の4分の3以上が損傷を受けないと目立った症状を呈さないという特性があります。症状が現れたときには病気がかなり進行していることも珍しくありません。
タンパク質は犬の身体を作るために必要不可欠な栄養素です。しかし、プロテインの過剰摂取は消化不良を起こす原因になったり、内臓に負担をかけることがあります。
また、人用のプロテインのサプリメントにはバニラやココアなどの犬の興味を引く味が付いているものもたくさんあります。飼い主さんが与えなくても、犬がいたずらして食べてしまうことも考えられるので、犬から届かない場所にきちんと保管しましょう。