まずは紀州犬の被毛のタイプからご紹介します。
紀州犬は換毛期になると、大量の抜け毛が発生します。その理由は、紀州犬の被毛の構造にあります。
紀州犬の被毛は、日本犬共通の特徴であるストレートの短毛です。
紀州犬の被毛は長くて硬い「オーバーコート(上毛)」と、短くて柔らかい「アンダーコート(下毛)」から成ります。このような構造の被毛をダブルコートと言います。
オーバーコートには皮膚を保護する役割があり、アンダーコートには保温や保湿の役割があります。換毛期になるとアンダーコートは気温の変化に対応するため抜け替わり、大量の抜け毛が発生します。
紀州犬の代表的なカラーは白です。公式には赤と胡麻も認められていますが、繁殖を繰り返すうちに白い被毛の個体が大半を占めるようになりました。これは、猟に出る際に獲物と区別しやすくすることや、猟の際に背景に溶け込まないためと考えられています。
家庭でできる紀州犬のお手入れについてご紹介します。
抜け毛対策の基本はブラッシングです。抜け落ちて散乱する前に、ブラシで抜け毛を除去しましょう。外出先での抜け毛の散乱が気になる場合は、服を着用するのも一つの方法です。
紀州犬に毛玉ができることはほとんどありませんが、お手入れを怠ると毛が絡み合い毛玉になることがあります。もつれがひどくなったものが毛玉なので、もつれがあればブラッシングできちんとといておきましょう。
日々の基本的なお手入れはブラッシングと水気をよく絞ったタオルで拭くだけで十分ですが、定期的なシャンプーもおすすめです。頻度は月1回程度で十分です。
シャンプー前にはブラッシングし、被毛に付着したほこりを落としたり、無駄毛を除去しておきましょう。
日本犬はシャンプーが苦手な子が多く、紀州犬も例外ではありません。犬の様子を見ながら、少しずつ慣れさせるようにしましょう。
シャワーの水温は35~37度くらいが目安です。顔回りは嫌がることが多いので、足元やお尻から濡らしていきましょう。犬を不安にさせないよう水圧が弱い状態で始め、シャワーヘッドを身体に密着させるようにすると毛の根元まで上手に湿らせることができます。シャンプー剤はよく泡立て、指の腹で揉みこむように洗いましょう。
通常のブラッシングは週に1~2回、抜け毛が増える換毛期には2~3日に1回くらい行いましょう。
アンダーコートが密に生える紀州犬には、スリッカーブラシがおすすめです。スリッカーブラシはくの字型に曲がった細い針金がたくさん付いていて、効率的にもつれをといたり、抜け毛を除去します。手のひらで握るように持つと力が入りすぎて擦過傷(擦り傷)になることがあるので、柄の部分を鉛筆の持ち方で軽く持ちましょう。
大人しい子であれば、爪切りにチャレンジしてみましょう。お散歩で爪が十分削れていれば切る必要はありませんが、地面に付かない狼爪(ろうそう)に限っては伸びすぎると巻き爪になって肉球に刺さることがあります。
白い爪の子は血管が透けて見えます。血管を傷つけると出血してしまうので、血管の数ミリ手前まで切りましょう。嫌がって暴れてしまう場合は無理をせず、動物病院やトリミングサロンにお願いしましょう。
トリミングサロンでは、自宅では難しい爪切りや肛門腺などのケアを受けることができます。サロンによっては日本犬を受け付けていない所もあるので、予め確認しておきましょう。
紀州犬はカットを必要としないので、シャンプーコースがおすすめです。一般的にシャンプーコースには爪切りや足裏バリカン、耳掃除、肛門腺しぼりなどが含まれています。
トリミングサロンを利用する場合、頻度は月1回程度で十分です。皮膚病などで獣医師からシャンプーの頻度について指示があればそれに従い、トリマーさんにも説明しておきましょう。
シャンプーコースの料金の目安は4,500~6,000円くらいが相場です。料金表には記載されていないことも多いので、トリマーさんに問い合わせてみましょう。
カットが必要な犬種と比べると、紀州犬はお手入れが簡単な犬、と思われるかもしれません。しかし、換毛期には大量の抜け毛が発生し、放置すれば皮膚病の原因にもなります。自宅で十分ケアしてあげられないときは、トリミングサロンを上手に利用しましょう。
定期的なお手入れで、愛犬の健康を守ってあげて下さいね。