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2021.02.17

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.8

雨野さん家のたねとまめ|まめの初雪体験

吾輩はたねである。窓側で外の白い世界を眺めてる黒いのはまめ。多分生まれて初めて雪を見る奴である。

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第8話です。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

初雪

「雪だー!!」

妹ちゃんのそれはそれはおっきな声で目が覚めた。カーテンを掴んで外を眺める妹ちゃんの向こうは真っ白で、あれがなにか知っているたねはぶる、と体を震わせた。

雪が積もったらしい。通りで寒いわけだ。たねは寒さで身を縮こませる。

そんなたねとは対称に、妹ちゃんの声に耳を揺らして起き上がったまめは妹ちゃんの隣に駆け寄っていった。たねの位置からは見えないけど、多分今頃あのきらきらしたまん丸の目で外を眺めていることだろう。雪に興味があるのはすごく都合がいい。

たねは寒いから雪が嫌いだ。前に雪が降った時は妹ちゃんに雪を振りかけられて大変だった。なので今回も絶対に窓に近寄るつもりはない。妹ちゃんの相手をまめに任せて丸くなった。

興味津々

「まめちゃん雪好き?」

「わん!」

「えへへ、ひかりも大好き!」

妹ちゃん、多分そいつ雪がなにかわかってないよ。

そう思うたねを他所に妹ちゃんはまめをわしゃわしゃと撫で回す。

「お母さーん、まめちゃん外に出してもいいー?」

「いいけど、庭の中だけにするのよー」

「はーい!」

「ちゃんとまめちゃんに首輪とリード付けてね」

「はーい!」

初雪体験

元気な返事をした妹ちゃんは、暖かい格好をして手袋をしてしっかり帽子を被った。準備万端な格好をお母さんに見せて褒められると、珍しく首輪とリードをつけたまめを抱えて庭へ飛び出していった。

窓の向こうに妹ちゃんとまめが見える。まめは雪が冷たいのか、おっかなびっくり雪の上を歩いている。それも少し歩き回ると冷たさに慣れて、妹ちゃんと一緒に走り回り始めた。

ひかりちゃんが丸めた雪玉をまめの前に置く。まめが雪玉を足先でちょんちょんと触ると、雪玉はゆっくり転がった。

雪玉が転がり始めるとまめはぴくりと耳を動かした、ゆっくりゆっくり転がる雪玉をまめもゆっくり追い掛ける。

まめは雪玉が余程気になっているのか、今度は前足で強く押してみた。

さっきよりも早く転がり始めた雪玉を、尻尾を振って追い掛ける。

羨ましくなんてないんだからね

…転がる雪玉が獲物に見えて、傍目から見てもちょっと楽しそうに見えなくもない。

思わず少しうずうずしてしまったたねだが、あの白い悪魔がどれほど冷たいかを思い出して思い留まることにした。

だって、寒いのは嫌だし…。

せっかくひかりちゃんに捕まらずに済んだんだもん、今日は大人しくお家にいることにしよう。

たまに聞こえるまめの鳴き声を聞きながら、もうひと眠りしようと目を閉じるたねなのであった。

  • 更新日:

    2021.02.17

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。