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2021.02.03

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.6

雨野さん家のたねとまめ|まめとお気に入り

吾輩はたねである。たねの周りをけたたましく走り回っている黒いのはまめ。今日も今日とて元気はつらつな奴である。

#たねとまめ

Author :篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第6話です。

ちょこっと元気な日

いつもだったら全力で見ないふりをしてお昼寝をするところだけど、今日のたねはいつもよりちょこっとだけ元気だから、まめの遊びに付き合ってあげることもできなくはない。

でも、たねがご飯を食べたり陽向に行ったりしてる間も後ろをわたわたとついて来るまめを見てると、今日はちょこっと元気なたねとは言えまめが満足するまで遊ぶのは難しい気がする。

一回遊び相手をしてしまうと、たねが怒るかまめがもういいよってなるまで遊ばなくちゃならないのだ。

まだちっちゃいまめにはちょっとだけ遊ぶって言っても伝わらないし……。

意思疎通が取れないのって本当に難しい。

おいしくないカリカリ

「わふわふ」

たねが悩んでる間も、まめは遊んで遊んでとたねの体を鼻先でつついている。ぱたぱた振ってる尻尾も相変わらず元気だ。

うーん…ここは意を決して遊び相手になるべきか…。でもくたくたになるのを想像すると、いくらちょこっと元気なたねでも腰が重たくなる。

あ、これは決して太ってるとかじゃないから!この間よりはちょっと痩せたんだから!!

…そういえば、これ以上たねが太ったら痩せる用の美味しくないカリカリにするってお母さんが言ってた気がする…。

美味しくないカリカリ。それはご飯タイムが楽しみじゃなくなる魔の食べ物。前に一時期ご飯がそれになった時があるけど、あの時は本当につらかった。

たねは家猫だから外を駆け回ったりもしないし、このままだとまたあのつらい日々を送ることになるかもしれない…。

構って欲しい

そんなことを考えていると、まめはたねの側から離れて遠くに走っていった。

もしかしてついに構ってってするのに飽きたのかな? なんて思ったけど、それから10秒もしないうちにまめはまたたねのところまで走ってきた。

まめの口には青いボール。

雨野さん家の人が遊んでくれる時によく持ってくる、まめのお気に入りのおもちゃだ。

「わん!」

これで遊ぼう

「わん!」

これで遊ぼう。そう言ってる気がする。というか多分、そう言ってる。

いつもよりちょこっとだけ元気なたね、そしてそろそろ痩せなきゃいけないたね。そして遊ぼうって言ってくるまめ。

「にゃあ」

たねはほんの少しだけ迷って、まめと遊ぶことにした。起き上がってまめの側に寄ると、まめの尻尾はさっきよりも嬉しそうにぱたぱたした。

あの美味しくないカリカリ生活に比べたら、まめと遊んでくたびれる方が断然いい。そう思うたねなのであった。

  • 更新日:

    2021.02.03

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。