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2021.02.02

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.5

雨野さん家のたねとまめ|全部冬毛のせいだもん

吾輩はたねである。隣でうずくまってるの黒いのはまめ、お兄ちゃんから貰ったマフラーがお気に入りの奴である。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第5話です。

暴君妹ちゃん

お兄ちゃんのマフラー、あの日お兄ちゃんはたねが嫌がったらそのまま鞄に仕舞ってくれたけど、妹ちゃんはそれを見逃さなかった。

妹ちゃんはまめが着けてるマフラーを見て、可愛い! ってきゃっきゃしたと思ったら、たねの分はないの!? って大怒り。お兄ちゃんはたねは嫌がってたから着けてないって説明したけど、そんなんじゃ子供の妹ちゃんは納得しない。

妹ちゃんの勢いに負けて、仕方なくお兄ちゃんはたねの分のマフラーを出して妹ちゃんに渡す。

たねは必死に抵抗したけど、相手は元気盛りの妹ちゃん。走り回って疲れ果てたたねは捕まってしまった。

そして、くたくたのたねに黄緑色のマフラー着けようとした時事件は起きた……。

たねはまん丸

「あれ、あれれ」

「どうしたひかり」

「陽介お兄ちゃん〜たねちゃんのマフラーだけちっちゃいやつ買った?」

そう、お兄ちゃんはたねの分のマフラーのサイズを間違えていて、たねの首に巻けなかったのだ!

「いや? たねもまめも同じサイズのものを買ったはずだけど」

「…あ、でも、たねは丸いから同じやつじゃ小さかったのかな」

「なるほど…たねちゃんまん丸だもんね〜」

まめはちっちゃい

……。

そんなことないもん。たね、スマートで美形な猫だもん。すらっとした手足はすれ違う猫たちが振り向くくらいだもん。…たね、家猫だからすれ違う猫なんていないけど。

妹ちゃんがお兄ちゃんに話しかけてる隙に、たねはするりと妹ちゃんの手から抜け出した。ほら、こういうことができるのは細いからだよね!?

「わん!」

そこで、たねが着けられなかったマフラーを着けた、ちっちゃい黒いのことまめがたねに駆け寄って来る。

……確かに、たねはまめよりふにふにだし動きもゆっくりだけど…それは冬毛のせいでもっさりに見えるだけで…。

顔だってまめの方がしゅっとしてるような気がしなくもないけど…、たねはこういう顔立ちなんだから仕方ないんだもん。

上手くやれそう?

「くぅ」

たねが落ち込んでるのを察したのか、まめは丸まったたねに擦り寄って毛繕いを始める。

どうやら、たねのことを慰めてくれているらしい。

傷心中の今、このまめの優しさが身に染みる。

まめの下手っぴな毛繕いも、今日だけはすごく気持ちいいものに感じた。

まめのことただのやんちゃなちびっ子だと思ってたけど、ちょっとだけ見直してあげることにしよう。

なんとなく、まめと仲良くやれそうな気がしてきたたねなのであった。

  • 更新日:

    2021.02.02

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。