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柴犬 小説
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2021.02.12

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと|vol.15

豆しば暮らし|お外の空気を吸いに行こう

全部のワクチンが終わっていないメロンは、まだお散歩に行くことができません。

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語の連載第15話です。

今日はとてもいい天気

窓の外には、真っ青な空が広がっていました。少しだけ窓を開けると、気持ちのいい風が部屋に入って来ます。

「あーあ、絶好のお散歩日和なのにねぇ」

ママが残念そうに言いました。

「ワクチンが終わるまでは、我慢しなきゃいけないよ」

パパが釘を刺します。

「ちょっとだけなら大丈夫、とか、そういうのナシだからね!」

「わかってるよー。だけどさ、こんなにいい天気なんだから、お日様に当ててあげたいじゃない。風もいい感じだし…」

そう言うとママは、空を見上げて考え事をしていました。
パパには、何か企んでいるようにしか見えません。

歩かなければいい?!

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お散歩はダメだよと繰り返し言って、パパは仕事に行きました。

今日、ママは仕事が入っておらず、朝からずっとメロンと一緒です。
また新しく考えついた遊びを試してみたいし、一緒にお昼寝もしたいし…。

やりたいことはたくさんあるのですが、それでも外への未練は残ります。

「そうだ! お散歩はダメなんだから、歩かなければいいんだよ!」

ママはパタパタと走ると、クローゼットの扉を開けました。
中から取り出したのは、小さなリュック。

それを、お腹側にかけて、リュックの位置を調節します。
その様子を、メロンは首をかしげて見ていました。

「メロン、気になるんでしょ? この中にタオルを敷いて、その上にトイレシートを敷いてね…」

それからメロンを抱き上げると、リュックの中にスポン。

「ほら、丁度いい!」

お座りをしたメロンが、リュックから顔を出していました。

「これで、お外の空気を吸いに行こう!」

たくさんの人に声をかけられ

リュックの中のメロンを揺らさないよう手を添えて、ママはゆっくりと歩きました。
メロンは、眩しそうに空を眺め、そよそよと吹いてくる優しい風を感じながら景色を眺め。

「もう少ししたら、お散歩ができるようになるからね。それまでは、これで我慢してね」

ママがメロンを外に連れ出したいと思ったのは、天気のよさだけではありませんでした。

柴犬は飼い主には忠実だけど、他人には塩対応。
そこに魅力を感じる人も多いのかもしれませんが、ママはメロンに、人が大好きで人懐っこくて、誰からも愛される子になってほしいと思っていたのです。

「あらぁ、かわいいこと!」

向こうから歩いてきたおばあさんが、声をかけてくれました。

「まだお散歩ができないので、せめて外の空気を吸わせてあげようと思って」

「今日はいいお天気だものね。おチビちゃん、よかったわねぇ」

ただでさえかわいい子犬が、リュックからちょこんと顔を出しているのです。素通りできる人など、いるはずがありません。
次から次へと温かい言葉をかけられ、笑顔を向けられ。
メロンも、とても嬉しそうでした。

「明日もこうやって、お外に行こう。いろんな人とお話ししようね」

メロンはママの顔を見上げると、パチンとウィンクを返しました。

  • 公開日:

    2021.02.07

  • 更新日:

    2021.02.12

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。