よく比較される牛乳とヤギミルクは、みなさんご存知のとおり、牛乳は牛の乳、ヤギミルクはヤギの乳です。そして、体格の違いはありますが、牛もヤギもウシ科の草食動物です。
それぞれのお母さんから出る乳は、それを飲む子牛や子ヤギにとってなくてはならない大切な栄養源です。一見、共通点の多い牛とヤギですが、その乳の内容はどのようになっているのでしょうか?
100g当たりの牛乳とヤギミルクのカロリー、炭水化物、タンパク質、脂肪、カルシウム、リンを比較してみました。
牛乳
ヤギミルク
一見すると牛乳とヤギミルクでは大きな差はないようです。強いて言えば、カルシウムとリンのバランスは牛乳の方が良いように見えます。一方で、脂肪分が若干少ないせいか、ヤギミルクの方がカロリーは低めです。
5大栄養素ではあまり差のなかった牛乳とヤギミルクですが、「αS1カゼイン」「乳糖(ラクトース)」の含有量には大きな違いがあります。
牛乳を飲むとお腹を壊す、アレルギー反応が出るというのは、この2つの成分が牛乳の方には多く含まれており、逆にヤギミルクには少ないということに理由がありそうです。
タンパク質の一種で、アレルゲンのひとつになると言われています。牛乳のタンパク質のほとんどはカゼインが占めており、さらにαS1カゼインを含むαカゼインがその中の半分以上に当たることから、体質によりアレルギーを起こす場合が考えられます。
小腸で分泌されるラクターゼは、乳糖を消化する消化酵素です。このラクターゼの分泌量が少ない体質である場合、消化不良が起こり下痢を起こしやすくなることがあります。また、牛乳はヤギミルクより脂肪分が少し多めであることも、お腹を壊しやすくする原因になると言われています。
アレルギーが出にくい、お腹を壊しにくいという点で、ヤギミルクは牛乳よりも摂りやすい食材です。でもそのほかにもヤギミルクには大きな魅力が2つあります。
一般的な「ミルク」のイメージとは違う特長が、ヤギミルクに存在します。
スタミナドリンクのイメージが強いタウリンですが、実はこんな健康効果があると言われています。
タウリンの健康効果
犬は猫とは違い、体内でタウリンを作ることができますが、その際に使われるのが「シスチン」という成分です。
ヤギミルクには、このシスチンが牛乳の約1.5倍も含まれていることが分かっています。まだタウリンの生成が未発達の子犬や、体力が衰えがちなシニア犬のサポートとして、ヤギミルクは効果的な食材かもしれませんね。
もうひとつ、牛乳よりもヤギミルクに多く含まれる成分に「中鎖脂肪酸」があります。
中鎖脂肪酸は子犬がすぐにエネルギーとして使えるように、消化しやすい形で体内に摂りこむことのできる栄養素です。また、脂肪の燃焼を促す効果もあり、ダイエット中に摂ることで痩せる効果も期待できます。
これは私の勝手な憶測なのですが、平原で生活する牛に対して、ヤギは断崖絶壁のような場所を無理なく移動して生活できる動物です。このような性質から、脂肪燃焼効果が高く筋肉質な体が必要なのかもしれませんね。
まだ寒い日が続いています。今回はヤギミルクで温かいシチューを作ってみました。脂肪燃焼効果を狙うなら、カルニチンを多く含むラム肉や牛肉の赤身がおすすめですが、子犬やシニア犬なら、消化しやすく代謝アップ効果もある豚のヒレ肉などがおすすめです。今回は豚ヒレ肉のシチューにしてみたいと思います。
ヤギミルクシチューの材料と作り方です。
【材料】
【作り方】
我が家にあったヤギミルクはカボチャ入りだったので、黄色いシチューになりました。 今回は粉末のヤギミルクを使いましたが、もちろん液体でも作れます。その場合は野菜と豚ヒレ肉をレンジで加熱すると早く簡単にできそうですね。
何となくおやつのひとつとして与えることの多いヤギミルクですが、心臓への働きかけや脂肪燃焼の効果が期待できる健康食材です。
初めて与える時は、愛犬の様子を見ながら、少しずつ量を増やしていくことをおすすめします。アレルギー反応やお腹の様子をよく見てあげてくださいね。
体に合えば、ヤギミルクはとても良い食材です。上手に利用して、愛犬を喜ばせてあげてくださいね!
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