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柴犬 小説
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2021.05.07

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第2部】|vol.1

お座りと待てとコロリンと・前編

「今日のワクチンが終わったら、いよいよお散歩できるからね」
お出かけの支度をしながら、パパはメロンに話しかけます。

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第2部】の連載第1話です。

だって日本犬だもの

ワクチンの接種も今日が最終回。

パパもママも、ウキウキしながら支度をしていました。その様子に、メロンも何だか嬉しそうです。

「さぁ、病院に行こう。おいで、メロン!」

ママが屈んで腕を広げました。
洋犬なら、大喜びで駆け寄って腕の中に飛び込むところですが、メロンは豆しば。スタスタと歩いてきたと思ったら、ママの前で背筋を伸ばしてピシッとお座り。

「うん…やっぱり日本犬だね、このリアクション」

コマンドを覚えさせるのは

「メロンちゃん、どうぞー」

いつもの先生に呼ばれ、診察室へ。メロンはすっかり慣れた様子です。

「今年のワクチンの接種は、これで完了です。明日からでもお散歩できますよ」

優しそうに微笑んで言う先生に、ママはたずねました。

「先生、その前にコマンドを覚えさせた方がいいでしょうか?」

「そうですね。お座りとか待てとか、基本的なことは覚えさせておいた方がいいです。極端なことを言えば、リードが手から離れてメロンちゃんが走り出してしまった時に、メロンちゃんの命を守ることができますから」

二人のやりとりを聞いていたパパは、大きくうなずいていました。

「それは僕にお任せください。大丈夫、しっかりと予習済みです!」

「おお、頼もしいですねお父さん」

先生は笑っていますが、ママは若干不安。またケンカの火種にならなきゃいいけど…。

大丈夫かと思いきや、意外や意外

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家に帰ると、パパはメロンのごはんを用意し始めました。
もう離乳食は終わり、メロンはカリカリのフードを食べています。

「犬って、お座りをすると体の動きを止めた状態になるから、はしゃいで気持ちがたかぶっていたとしても、落ち着きを取り戻すことができるんだよ。犬同士のトラブルも防げるよね」

「本当に、ちゃんと勉強してたんだねぇ」

「お座りを教えて、それから待てを教えて…」

パパはフードを手に握り、メロンに近寄りました。
鼻先に近づけてニオイを嗅がせて…手をそのまま上に動かして…。つられて上を向いたメロンは、いつの間にかお座りの姿勢になっています。
それと同時に「お座り」と声をかけ。

「よくできたねぇ、いい子いい子」

ご褒美のフードを与えながら穏やかに褒めるパパを、メロンはじっと見つめています。その眼差しには、敬意があふれていました。

親バカ炸裂!

パパの教え方もなかなかでしたが、それ以上にメロンの学習能力には目を見張るものがありました。
何度も繰り返すうちに、ご褒美なしでもお座りができるように!

「すっごーい! もうできちゃったよ! メロンってさ、前世は学者さんだったんじゃない? 賢すぎるんですけどー!」

「それは僕の教え方が…」

「さすがはメロン、私の子! 賢いよねー、うんうん、世界一賢いよー!」

満面の笑みで褒めちぎるママに、メロンは照れ臭そうにモジモジしていました。

  • 公開日:

    2021.02.28

  • 更新日:

    2021.05.07

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。