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しつけ

2021.01.03

【獣医師監修】犬との主従関係はもう古い?信頼関係の作り方・チェック方法

昔から、犬との主従関係が大切といわれ長年常識として捉えられてきました。これは、犬と近いオオカミの習性を当てはめて考えられてきたことがひとつの要因です。 しかし、現在では研究が進み「犬との主従関係やリーダー論が必ずしも正しいとはいえない」という考えが広まってきています。
そこで今回は、犬との主従関係の必要性や信頼関係の作り方、チェック方法などを詳しく解説します。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:みゆき)

犬の頭の中に主従関係という概念はない

犬と主従関係のある飼い主が犬の頭を撫でている

近年では、実は犬には「主従関係」という概念自体がないと考えられています。

長年、犬には上下関係を構築する特性があると考えられてきました。そのため、犬が人間より優位に立とうとしないように「犬がリーダーにならないようにしっかりとしつけが必要」という考えが広まっていました。

しかし、近年の研究では人間が想像する「主従関係」や「上下関係」といった概念は犬にはないことが分かってきているのです。

犬に限らず、動物は生きるために必要な最低限の食べ物や寝床などを得られれば満足するので、それ以上多くを望むことはありません。

たとえば「目の前のごはんを取られそうになり唸る」といった犬の行動は、上に立とうとするためでなく、「飢餓に対する不安を感じやすい性格」や「小さなことにも敏感に反応してしまう警戒心の強さ」などが理由と考えられます。

大切なのは従わせるのではなく犬と信頼関係を築くこと

人間と犬との強い主従関係を築くことより大切なのは、信頼関係を結んで柔軟なコミュニケーションが取れる関係性を築くことです。
これまでは、「散歩では犬に飼い主の前を歩かせてはいけない」「飼い主より先に犬に食事をとらせない」といった上下関係の築き方が長年提唱されてきました。

しかし近年ではこういった主従関係の構築は少々やりすぎだと考えられるようになり、一部の行動を徹底したところで犬に対してリーダーシップが取れるというものでもありません。そのため、犬との主従関係や上下関係を築くのではなく犬とコミュニケーションをたくさん取り、信頼関係を築いて柔軟にやり取りを交わしていくことが大切だとされています。

犬と主従関係ではなく信頼関係が築けているかチェックしよう

犬が飼い主さんのことを見上げて散歩に行きたそうにしている

犬とは主従関係ではなく信頼関係を築くことが大切。どのくらい犬と飼い主とで信頼関係ができているかは犬の行動や態度を観察すると分かります。

そこで、ここでは愛犬にどのくらい信頼されているかのチェックポイントを紹介しますので、ぜひ確認してみてください。

仰向けになってお腹を見せてくれる

犬が目の前で仰向けになるしぐさは、信頼している相手にしか見せません。敵には絶対に見せない急所のお腹を見せるということは、飼い主に対して敵対心がなく安心感を抱いていることになります。寝ているときや撫でているときにひっくり返ってお腹を見せてくれるのであれば、犬はとてもリラックスしている証拠です。

飼い主がいない時間も一人の時間を落ち着いて過ごせる

飼い主が外出したり、少しの間犬の近くから離れる際に吠えたりせず落ち着いている場合は信頼関係が築けている証拠です。犬は本来群れで行動している動物なので、一人になると不安を感じます。そのため、飼い主の外出時に吠えたり騒いだりしてしまう場合は依存しすぎているなど犬と飼い主の関係の構築で改善点があるといえます。

一方、飼い主の外出時も犬が取り乱さずに静かにじっとしている場合は飼い主のことを信頼して家で落ち着ける自分の場所を築けていると言えます。

飼い主とアイコンタクトをとる

犬が飼い主とじっとアイコンタクトをとる行為も信頼関係ができている証拠です。犬が知らない犬や人間を敵と見なしてアイコンタクトを取っている場合は警戒していることをあらわしています。しかし飼い主は犬にとって知らない人ではないので、飼い主とアイコンタクトをとる場合は「仲間として認識し、信頼している」という気持ちを伝える行為となるのです。

主従関係はもう古い!犬と信頼関係の作り方

犬と信頼関係が築けている飼い主

犬と信頼関係ができていないと、飼い主の指示を無視したり問題行動をとってしまいます。
そこで、ここでは犬と主従関係ではなく信頼関係を作る方法を紹介します。

一貫性を持って犬と接する

犬と信頼関係を構築するには一貫性を持って接することが大切です。犬は社会性の強い動物なので一定のルールのない生活は安心できず、ストレスをためる原因になることも。

人間の気分や家族によって叱られたり叱られなかったりといったことが起こると犬は混乱して自信を失います。そのため、犬に何かを教えたり何かを止めさせたいときには、家族全員で一貫性を持って犬と接することが大切です。

犬を喜ばせてあげる

犬は飼い主からおいしいものを与えられればうれしい気持ちになり信頼度が高まります。むやみにおやつを与えるのではなく、「おすわり」などの指示ができたときやトイレが上手にできたときなどにしつけのごほうびとして与えましょう。

また、おやつだけでなく毎日優しく話しかけたり撫でることでも犬は飼い主からの愛情を感じられ信頼度がアップします。

犬を強く怒らない

信頼関係を作るには、犬が失敗しても大声を出したり叩いたりして感情的に怒らないことが大切です。犬は、飼い主に強く叱られても何に対して叱られているのか分からなかったり、恐怖や怒り、興奮でパニックになってしまい、冷静に何が悪いのかわからないこともあります。個体差はありますが、悪いことをしたら無視をする、冷静に低い声で一言叱るなど冷静な対応をし、逆に上手にできたらたくさんほめて伸ばしてあげることがとても大切です。

トイレなどのしつけは毎日コツコツと何度も教えてあげることで飼い主との信頼関係の構築につながります。

犬と主従関係ではなく信頼関係を築くことが大切

犬を撫でる飼い主の手と犬の顔

近年の研究によると、犬には主従関係という概念がないことが分かってきているため、飼い主が必ずリーダーになろうと無理矢理しつける必要はないと言えます。しつけの際は決して大声で叱ったり叩いたりせず根気よく続け、毎日愛情を持って接することが犬との信頼関係の構築につながります。

  • 公開日:

    2021.01.02

  • 更新日:

    2021.01.03

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。