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犬が不安そうな表情で飼い主さんを見上げている様子
健康管理 / 病気
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2021.01.12

【獣医師監修】犬の下痢がゼリー状のときに考えられる3つの原因・病気と対処法

犬が動物病院に来院する理由で最も多いものが下痢や軟便、嘔吐などの消化器のトラブルです。愛犬の便に透明・半透明のゼリー状のものがついてきて、驚いた経験のある飼い主さんは少なくないと思います。ここでは、犬の下痢がゼリー状の場合に考えられる原因や病気、必要な対処法についてご紹介します。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:江野 友紀)

犬の下痢がゼリー状の場合に考えられる3つの原因

犬が屋外でうんちをしそうな姿勢になっている様子

犬の下痢に透明や半透明のゼリー状のものが混じることがあります。これは炎症を起こした大腸の粘膜が剥がれ落ちたもので、大腸炎で見られることが多い症状です。ではなぜ、犬は大腸炎になるのでしょうか?

1.食べ慣れない食事

個体差はありますが犬にいつもは与えていない食べ物を与えたり人の食べ物を与えると、腸内環境の乱れにより大腸炎になることがあります。
また、ドッグフードの切り替えが原因で消化不良を起こすこともあります。急に変えると胃腸に負担がかかるので、ドッグフードを変えるときには今まで与えていたフードに少しずつ混ぜ、1週間から10日くらいかけて徐々に新しいフードの割合を増やして切り替えましょう。

2.ストレス

犬はストレスが原因で下痢になることが良くあります。犬に見られるストレスサインとしては、下痢や嘔吐などの消化器症状、身体を執拗に舐め続ける、しっぽを追ってくるくる回るといった行動が見られます。
ストレスの原因はその子によって異なりますが、長時間の留守番や運動不足、引っ越しや家族構成が変わるなどの環境の変化、体調不良などが挙げられます。できる限り原因を取り除いてあげましょう。

3.病気によるもの

犬は細菌やウイルス、寄生虫などの感染症やアレルギー、腫瘍など、様々な病気が原因で下痢になったり、ゼリー状の粘膜便が出ることがあります。病気が原因の場合の多くは食欲不振や嘔吐、発熱などの下痢以外の症状を伴うことが多いので、愛犬の様子を良く観察して早めに対処することが大切です。

犬の下痢がゼリー状の場合に考えられる病気

犬が不安そうに飼い主を見上げている

先述したように、犬の下痢がゼリー状の場合、その多くは大腸炎によるものです。大腸炎を起こす病気は様々ですが、ここでは3つの病気についてご紹介します。

慢性的な下痢や嘔吐、体重減少

下痢や嘔吐が長く続き、体重減少が見られるときには炎症性腸疾患の可能性があります。

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患(IBD)は、免疫の異常が関与していると疑われている原因不明の慢性消化器疾患です。2~3週間以上にわたりの慢性的な下痢や嘔吐、体重減少、食欲不振などの消化器症状が現れる病気で、確実に予防することは困難と言われています。一般的な治療をしても治らなかったり、一時的に改善した後すぐに再発するような場合は、様子を見ずに動物病院を受診しましょう。

下痢や嘔吐、血便が見られる

下痢や嘔吐、血便などが見られるときには消化管寄生虫感染の可能性もあります。

消化管内寄生虫感染症

犬の消化管に寄生する虫には回虫(かいちゅう)や鉤虫(こうちゅう)、鞭虫(べんちゅう)、瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)などがあります。
犬で最も多く見られるものは回虫です。回虫は成虫になると5~20㎝くらいになる白いひも状の虫で、母犬から母乳を介して子犬に感染したり、回虫の卵が含まれる感染犬の便を口から摂取することで感染します。寄生虫の疑いがあれば、動物病院で検便を受けましょう。

長期的な下痢や皮膚の痒みを伴う

長期的に下痢や軟便が続いたり、皮膚を痒がっている場合にはアレルギーの疑いがあります。

食物アレルギー

犬の食物アレルギーは、食べ物に対して身体が過敏な反応を起こす病気です。発症すると口や目の回りが痒くなる、脱毛するといった皮膚症状や、下痢、嘔吐などの消化器症状が見られます。
犬種としてはフレンチブルドッグや柴犬、ダックスフンドなどによく見られるようです。

犬の下痢がゼリー状のときに必要な対処法とは

犬がゼリー状の下痢をした後に動物病院から処方される薬のイメージ

食事の急変などによる一過性の下痢であったり、軟便に一時的にゼリー状の粘液が付着した場合はとりあえず様子を見ることも可能ですが、ゼリー状の粘液が混じった下痢をしているときは病気が潜んでいる可能性があります。まずは一度、動物病院で診察を受けるようにしましょう。

動物病院を受診する

犬がゼリー状の下痢をする原因は様々で、寄生虫が原因であれば駆虫薬の投与、食物アレルギーがあれば食事を療法食に変えるなど、原因に合った治療必要になります。まずはきちんと検査を受け、原因を特定することが大切です。
症状に対する治療としては、下痢止めや整腸剤を使用したり、脱水症状が見られる場合には輸液で脱水を改善することもあります。

自宅でできる対処法

獣医師から自宅でのケアについて指示があればそれに従いましょう。飼い主さんにできる自宅での対処法には次のようなものがあります。

食事の改善

状況にもよりますが、一般的に犬が消化不良で下痢を起こしているときは半日~1日程度食事の量を制限し、胃腸の回復を促します。その後はいつも与えているフードを少量ずつ増やしていくか、消化に良いフードを与えます。
消化器の健康を考えて作られた、専用の療法食への切り替えが推奨されることもあります。与えるフードについては、獣医師とよく相談しましょう。

生活環境の見直し

消化不良の原因としてストレスが疑われる場合は、生活環境を見直しましょう。
ストレスの原因となっている環境を改善することが効果的です。室内犬は、飼い主さんの構いすぎがストレスになることもあります。愛犬と適度な距離感を保つことも大切です。

乳酸菌などを取り入れる

乳酸菌製剤やオリゴ糖など、整腸作用が期待できる薬やサプリメントを日頃から取り入れることで、腸内環境が整いやすくなります。

犬の下痢がゼリー状のときには早めに動物病院へ

犬がゼリー状の下痢をした後に安静に眠っている様子

下痢がゼリー状のときは、単純な消化不良で起こっていることもあれば、細菌やウイルス、寄生虫などの感染症、消化管の腫瘍など重い病気が隠れている場合もあります。病気によっては治療が遅れることで治りにくくなったり重症化してしまうこともあるので、まずは動物病院を受診し、原因に合った治療を受けましょう。

  • 更新日:

    2021.01.12

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。