犬の寿命は犬種や体の大きさによっても異なりますが、平均で13~14歳と言われています。長年連れ添ってきた犬が高齢になってくると、どうしても心配になるのはお別れがいつ来てしまうのか、ということですよね。
どんなに健康な犬でも老衰は避ける事が出来ません。普段から愛犬の体調の変化に気を配り、突然の事態に慌てないための心構えはしておきたいところ。
今回は「犬が老衰で亡くなる前の前兆」と「犬のために家族が出来ること」、「犬を看取る時にしてあげられること」についてお話ししていきます。
犬の老衰が進むと普段とは違った様子を見せる事があります。全ての犬に当てはまるわけではなく、昨日まで元気にしていたのに突然別れが訪れることも残念ながらあるでしょう。
ですが、犬の最期に見せる様子を前もって知っておけば慌てることなく落ち着いて対処する事が可能です。
ここでは前兆としてよく見られる症状をいくつかご紹介します。
犬の最期が近づくと段々と体温が下がっていきます。老衰が進むと代謝能力が低下し体温調節が難しくなるものなので、温めてあげながら様子を見守ってあげましょう。
突然手足や体を痙攣させる場合もあります。驚くかもしれませんが、無理に体を押さえつけたりはせず毛布でくるむなどして怪我をしないように注意してあげましょう。
肛門の筋肉が緩んで下痢が漏れてしまうこともあるので、その時は体を拭いて綺麗にしてあげてください。
犬の最期が近づくと、食べる量が減ったり食事自体を拒むようになる場合があります。水も飲めなくなるので、他の食べ物は食べられるか等よく様子を観察しましょう。
寝ているように見えて、呼びかけても反応を示さなくなる場合は意識レベルが下がっている可能性があります。目も開けられないこともあり、対応に困ったら動物病院に相談してみてもいいでしょう。
浅い呼吸、深い呼吸、短時間の呼吸の停止を繰り返して息が乱れることもあります。肺に上手く酸素が送れず意識が薄れている状態なので、出来るだけ犬の傍に寄り添っていてあげましょう。
高齢の犬は老衰と共に体の機能が弱ってくるものです。毎日傍にいる存在だからこそ、いざという時に後悔がないようにしてあげたいですよね。
犬の飼い主として亡くなる前までにしてあげられることはたくさんあります。
別れが近づいているからこそ、犬の事を一番に考えて一緒に過ごす時間を大切にしてあげましょう。
老衰で体が弱ってきて不安なのは飼い主だけでなく犬も同じです。
犬にとって飼い主と一緒にいる事は何よりも安心出来ることなので、いつも以上に声かけをしながら頭を撫でたりマッサージしてあげたりと触れ合う時間を増やしてあげましょう。
老衰で亡くなる前は体を動かせなくなる犬も多いので、床ずれ防止のために体の向きをこまめに変えてあげることも大切です。
動けないせいで体が汚れてしまうこともあるので、濡れタオル等で体を拭いて常に清潔な状態を保てるようにしてあげましょう。
少しでも適切な処置で延命させたいと考えるなら病院に入院させるというのも一つの手でしょう。ただし、病院で突然容体が悪化した場合は亡くなるタイミングに間に合わず、犬の最期に立ち会えない可能性もあります。
犬が落ち着ける家で看取るのであれば、出来るだけ安心させてあげるために一緒にいられる時間を作ってあげましょう。
犬との別れの後、最も心配なのは飼い主がペットロスになってしまうことです。老衰した犬のために後悔のない選択をして、前もって気持ちを整理しておく必要があるでしょう。
犬が亡くなることは出来るだけ考えたくありませんが、笑顔で見送るためにも、気持ちの切り替えをするためにも、いざという時の心構えをしておくことが大切です。
最後に、犬を看取る時に出来ることについてお話しします。
悲しいですが、老衰が末期症状まで進んでいれば犬との別れは必ずやって来ます。突然の事で何も手がつかないかもしれませんが、最期を看取る事は犬の家族である飼い主にしか出来ない大切なことです。
本当のお別れの時まで傍に寄り添って、感謝の気持ちを持って送り出してあげましょう。
亡くなってすぐはつらい気持ちが強いかもしれませんが、犬を看取った直後は是非前向きな言葉をかけてあげてください。ここまで頑張ってくれた事、一緒に過ごした楽しい思い出等、「ありがとう」の気持ちをいっぱい伝えてあげればきっと犬にも伝わるはずです。
死後硬直が始まる前に出来るだけ早く体の向きを整えてあげましょう。目や口が開いていたらゆっくり閉じて、体は綺麗に拭いてブラッシングで毛並みを整えます。
体液が漏れる場合もあるのでペットシーツを敷いたりするか、難しければ病院で処置してもらいましょう。
段ボールや犬用の棺を用意して、お気に入りのおもちゃやお花等と一緒に入れてあげましょう。送り出すまでは体が傷まないように、涼しい部屋に棺を安置して保冷剤等で体を冷やしてあげる必要があります。
近場にあるペットの葬儀会社に連絡を入れるか、分からなければ動物病院に相談の電話をしてみましょう。
犬を見送るためのプランは個別葬や合同葬等色々あるので、事前にどのような形で供養したいのか頭の片隅で考えておくといいかもしれません。
「老衰」は避けることが出来ませんが、事前にその症状を理解して最期の瞬間を後悔なく迎えることは出来るでしょう。
大好きな飼い主さんが傍にいてくれることは、体が弱って不安を抱えている犬にとってこれ以上なく幸せなことです。突然の別れでも慌てることのないように、日頃からたっぷりの愛情を注いで犬と一緒に過ごす時間を大切にしてあげてくださいね。