ペット保険のアニコム損保株式会社が発行した「家庭どうぶつ白書 2017」によると、犬の死因は腫瘍、循環器の病気、泌尿器の病気が最も多いという統計が出ています。
犬にできる腫瘍には良性と悪性がありますが、悪性のものは進行すると肺や肝臓などに転移し命をおびやかすことがあります。
犬にできる腫瘍は様々ですが、乳腺腫瘍やリンパ腫、肥満細胞腫、骨肉腫などがあります。
老犬は心臓病を患いやすく、動物病院を受診した際に聴診によって心雑音が聴取され、病気が発見されることが少なくありません。
心臓病には小型犬に多い僧帽弁閉鎖不全症や、心臓を構成する筋肉が異常を起こして心不全になる心筋症などがあります。
肥満や塩分の多い食事は心臓に負担をかけることで知られているので、適切な食事を与えることが大切です。
犬の死因になる泌尿器疾患は、主に腎臓病を指します。急性腎不全と慢性腎不全があり、老犬では何らかの原因により腎臓の機能が少しずつ時間をかけて低下していく慢性腎不全がよく見られます。
慢性腎不全は腎臓の機能が75%障害されるまで目立った症状を示しません。残念ながら治る病気ではないので、予防が大切になります。
犬が突然死することは少なく、多くの場合は何らかの予兆が見られます。
強い刺激には反応しますが、飼い主さんが目の前を通っても目で追わなくなったり、名前の呼びかけに対する反応が鈍くなります。
呼吸が浅くなる、呼吸が止まる時間があるなど、呼吸が不規則になります。亡くなる直前には深い呼吸をすることが多いようです。
死が近付くと、体温が低下します。犬が体温を維持するにはエネルギーが必要ですが、代謝が下がりエネルギーを作り出す力が無くなっているために低体温になります。
犬は亡くなる前に下痢をすることが良くあります。色は黒っぽくなることが多いようです。
肛門の筋肉も弛くなるため、横に寝たまま垂れ流してしまうこともあります。
意識レベルが低下し、昏睡状態になった後はけいれんを起こすことがあります。手足をバタバタと動かしたり、後ろにのけぞり四肢を突っ張るような様子が見られます。
老犬が最期を迎えるとき、飼い主さんは愛犬のために何が出来るのでしょうか?
身体の機能が衰えた老犬は、飼い主さんの介助を必要としているかもしれません。愛犬の様子をよく観察し、何を求めているのか、何が必要かを考えましょう。
老犬は身体の機能が衰え、飲み込む力が弱くなるので、食事や水を摂らなくなることがあります。フードを食べやすいようふやかしたり、シリンジ(注射器)やスポイトで水を与えましょう。
寝たきりになると床ずれになるので、体位を小まめに変えたり、床ずれ防止用のマットを敷きましょう。
寝たきりの老犬は下痢や嘔吐で身体を汚しやすいので、下にペットシーツを敷いたり、タオルなどで拭き取り清潔に保ちましょう。
老犬は反応が鈍くなっているかもしれませんが、飼い主さんの声はきちんと聞こえています。優しく声をかけたり、頭を撫でたり、マッサージするなどたくさんの愛情を伝えましょう。
愛犬が亡くなってから後悔することのないよう、家で看取るか、病院で看取るかを考えておきましょう。
老犬が慣れ親しんだ自宅で、家族で見送ってあげたいと思う飼い主さんは多いのではないでしょうか。
自宅であれば、亡くなる直前まで飼い主さんがケアすることができます。亡くなった後に遺体が痛まないよう、保冷剤やドライアイスを用意しておきましょう。
病院では、容態が悪化したときに適切に処置をしてもらえます。薬や点滴で、愛犬の身体が楽になることもあります。
ただし病院に預けた場合、容態が急変したときに側にいてあげられず、飼い主さんが最期を看取れない可能性があります。
老犬の多くは、亡くなる前に何らかの予兆を見せます。最期に寄り添ってあげられるよう、犬の変化を見逃さないようにしましょう。そして、飼い主さんが後悔しないためにも、愛犬を最期にどのように見送るのか考え、必要な準備を整えておきましょう。