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2021.01.06

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.2

雨野さん家のたねとまめ|食べ物の恨みは怖いぞ

吾輩はたねである。ソファーの影からこっちを見てる黒いのはまめ、ついさっきたねに叱られて凹んでる奴である。

#たねとまめ

Author :篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第2話です。

朝からあばれんぼう

事の顛末はこうだ。

たねとまめは朝ごはんに呼ばれたので、ごはん置き場に向かっていた。勢いよく走って、たねよりも先にごはんにたどり着いたまめは、その勢いのまま手前にあったたねのごはんをひっくり返して着席した。

大きな音と共に飛び散ったたねのカリカリ。カリカリシャワーを浴びたたねは、びっくりした拍子に飛び跳ねて、椅子の脚に頭をぶつけた。これがすごく痛かった。

まめはそんなたねの様子を、どうしたのごはんだよ?と言わんばかりに首を傾げて見ている。勿論この惨状が自分のせいだなんて微塵も思ってないだろう。

びっくりしたのと痛いのとで腹が立ったたねはまめに唸り声を上げる。まめはたねが怒ってるのに気付いたのか、ちょっとだけ耳を動かして縮こまった。

簡単には許さないもん

「なんかおっきな音したけど…わ、どうしたのこれ!」

それから間もなくして音を聞きつけた妹ちゃんが戻って来たので、たねは唸るのをやめて渋々寝床に戻ることにした。

それがほんのちょっと前の話。自分だけ朝ごはんを食べたまめは、さっきからずっとソファーの影にいる。

時折ちらっと頭を出してこっちを伺ってくるけど、たねはお腹が空いて怒ってるからつん、とそっぽを向く。そうするとまめは耳をそっぽ向けてしょんぼりした顔をする。

やっと朝ごはん

「ありゃりゃ、たねちゃんまだ怒ってるの?」

そんなまめを見て妹ちゃんはわしゃわしゃと頭を撫でた。そうするとしょんぼりしていたまめも、くるんと丸まった尻尾が控えめに揺れ始める。

ひとしきりまめを撫でた後、妹ちゃんはたねの寝床にやって来て今度はたねの頭をぐしぐし撫でる。妹ちゃんの撫で方はいっつもちょっと乱暴だ。

「たねちゃーん、ご飯用意できたからたーべーて」

「たねちゃん食べないならひかりが食べちゃうよ?」

…人間ってカリカリ食べるの?

本当にごはんを取られたら困るので重たい腰をあげる。別にこれは太ってるってことじゃない。

しょうがないなあ

ごはん置き場に向かう途中、まんまるの目がじっとたねを見ていた。無視してごはんに向かったら、まんまるの目はたねの後ろをついてくる。

置き直されたごはんを、カリカリと小気味いい音で咀嚼する。その間もまめはたねの後ろをうろちょろしている。

そして、ごはんを食べ終わったのを見計らってまめはたねのお尻に突撃して来た。

ジト目で振り返ると、まめはたねの顔を舐め始める。多分だけど、機嫌を直してって言われてる気がする。たねはまだ許してなかったけど、ごはんの邪魔はしないで待ってたから、今回はこれに免じて許してやろうかなって思った。

まめのへたっぴな毛繕いが終わったら、今日はなにをしようかな。お腹がいっぱいで眠いからとりあえず昼寝かな。

ちなみにこの15分後、昼寝をするたねに遊んでくれとじゃれついたまめは、またたねに怒られることになるのであった。

  • 更新日:

    2021.01.06

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。