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柴犬 小説
連載 / ブログ

2021.01.01

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと|vol.8

豆しば暮らし|え、豆しば?

今週末も、メロンとお出かけです。
今回は、ワクチンの接種に動物病院へ。

#柴犬,豆しば暮らし

Author :笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語の連載第8話です。

パパとママ、初めての動物病院にワクワク

ペットと暮らすのが初めてのパパとママは、動物病院に行くのも、もちろん初めてです。

「へぇー、オシャレだねぇ。居心地いい」

「色の組み合わせとか、センスいいよね」

小声で話しながら、二人はあたりをキョロキョロ。初めて訪れた動物病院に、興味はつきません。
興味津々なのはメロンも一緒。同じように、キョロキョロしています。

「あら、可愛い柴ちゃんねぇ」

ママのお隣に座ったおばあさんが、話しかけてくれました。
メロンはとても嬉しそうです。

「可愛いって言われたの、わかったみたいですね。やはり女子!」

「そう、人も犬も一緒!」

いざ、診療室へ

柴犬 小説

おばあさんとおしゃべりしているうちに、メロンの順番がきました。

「メロンちゃん、どうぞこちらへ」

優しそうな若い男の先生が、声をかけてくれます。

まずは体重を測ったり、聴診器を当てたり、体を触ったり。
メロンは、思ったほど嫌がりません。
若い男の先生だからでしょうか。やはり人も犬も一緒?

「では、ワクチンを接種しますね」

そう言うと先生は、メロンの首の後ろをつまんで、手早く注射を打ちました。

その後、メロンをしげしげと見つめて言います。

「メロンちゃん、柴犬って言われました?」

「ええ、そうですけど…」

何かおかしなところがあるのだろうか。
ママは、心配になってきました。

思いがけない事実!

「メロンちゃん、豆しばですね」

「え、豆しば?」

初めて聞く名前に、二人はキョトン。

「柴犬ではないってことですか?」

「全く別な犬種なんでしょうか?」

慌ててたずねる二人に、先生は微笑んで答えてくれました。

「小型の柴犬のことです。豆しばという犬種はありません」

そう言われても、全くピンときません。

「前脚の先の、手に当たる部分と肉球が小さい子は、あまり大きくならないことが多いんです。メロンちゃん、この部分が小さいでしょ?」

確かに、小ぢんまりとしています。

「標準よりひと回りは小さいサイズの成犬になると思います。そのくらいの柴犬を、豆しばと呼んでいるんですよ」

「それは、体に異常があるということでしょうか?」

パパが真面目な顔でたずねました。

「いいえ、体が小さいというだけで、健康には全く問題ありません。小さい両親から生まれた子だから小さい、そう考えていただければいいと思います」

先生の言うことが、どうにか飲み込めました。

さらに衝撃的な先生の一言

「でも、絶対に小さくなるわけではないので、豆しばですよって言われたのに、普通に大きくなることはあります」

「じゃあ、メロンは…?」

「その逆ですね。柴犬ですよって言われて、実は豆しばだったという」

メロンは、自分のことが話題になっているのがわかるのか、神妙な顔をしていました。その姿を見ながら、ママは思います。

子犬の今でさえ力が強くて活発なのに、成犬になったらどうなることか…。もしかしたら、体力負けしてしまうかも。
小さく育つことを望んでいるわけではないけれど、これはこれでラッキーだったのかな。
だけど…!

「豆しばは、小さくて可愛いからとても人気があって、柴犬の3倍くらいのお値段なんですよ」

「ええっ、た、高いっ!」

一瞬、羽の生えた札束が、バサバサと飛んで行く姿が見えたような気がしました。

「その意味でも、ラッキーでしたね」

  • 更新日:

    2021.01.01

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。