歯や噛む力を鍛えるにはどうしたら良いかと考えるとき、一番に思いつくのは「硬いものを噛むこと」ではないでしょうか?
確かに、ボーロのようなサクサクしたものよりは、鹿の骨や馬のヒヅメの方が、がんばって噛んでいる印象がありますよね。
でも本当に、それが歯を鍛える近道なのでしょうか?
人間の歯医者さんの中には、硬いものを噛み続けることで「歯を傷めてしまう」と言う方もいらっしゃいます。 ガリガリと歯を硬いものに当てて力ずくで噛み砕こうとすることで、歯を鍛えるよりも傷めてしまう可能性の方が高いのです。
犬は人間よりも噛む力が強いので、私たちが硬いと感じるものも無理なく噛み砕くことができます。しかし、だからといって「硬すぎるもの」を与え続けることで歯を傷めてしまうのかもしれません。
丸飲みが基本の犬には少し難しいかもしれませんが、歯や顎を鍛えることに最も適しているのは「よく噛むこと」です。
人間では「一口30回咀嚼しましょう」という言葉を耳にしますよね。犬も同じで、よく噛むことで唾液がたくさん出ます。その唾液から歯はミネラル分などを吸収して健康を保つことができます。 硬いものをがんばって噛むのではなく、適度な硬さのものを長く噛み続けることが、歯を丈夫にする一番の方法です。
歯磨き用のおやつを集めてみました。
どれも素材そのもので、添加物のない安全なものを基準に集めたので、素材そのものの硬さがはっきりと表れています。
歯磨きおやつたち(写真の右から順に)
それぞれ、どのような硬さかを見てみましょう。
先ほどのおやつの硬さを触って確かめてみました。
豚耳、馬のアキレス腱は、粘りのある硬さで、私の力で小さくちぎるのは不可能でした。 一方で、牛皮と馬の胃は軽い力で小さくできました。
サメの軟骨は太さにバラつきがあり、細い骨なら折れますが、太くなるとビクともしない硬さでした。
でもずっと私の横に待機していたうちのコは、サメの軟骨をバリバリ食べていましたね。人間の感じる硬さと、犬の感じる硬さはやはり違いがあるようです。
では、これらの歯磨き効果がありそうなおやつを与えたとき、それほどがんばらずに長く噛んでいられるものはどれになるでしょうか?
豚耳や馬のアキレス腱の場合は、少し苦戦するようですが、右と左の両方を使って噛んでいるので、バランス良く噛み続けることができるようです。長いので倍速でご覧ください。
歯より硬いわけではないので、長く噛み続けられる点では、こうしたものが優れているように思いました。
牛皮も触った感じはかなりカチカチなのですが、意外に折れやすく、犬には全く問題のない硬さです。豚耳との比較のため、こちらも倍速でご覧ください。
実際には、食べきるのに40秒前後かかったところを見ると、こちらは軽い歯ごたえで比較的長く噛めるということになります。 普段食事の後に与えるには最適ではないでしょうか?
食べるのに時間がかかるものは、唾液をたくさん出してくれるけれど、歯に負担もありそうです。
一方で、サクサク食べられるものは、歯ごたえが良いので力は要りませんが、あっという間に食べ終わってしまいます。
この2種類をうまく活用するして歯の健康を促進する方法を考えてみました。
例えば休日にいつもより多くのものをあげることが多いので、そんな日には豚耳や馬のアキレス腱、ヨシキリザメの細い部分の骨をあげるようにしてみました。
サメの骨は太さで硬さが大きく変わるので、うちのコのように歯があまり丈夫ではない小型犬の子には負担がかかりそうです。
でも豚耳や馬のアキレス腱は噛んで柔らかくして食べているので、唾液がたくさん出ているように見えます。ストレス解消も兼ねて、硬めのものは特別な日の歯磨きおやつにしてみました。
牛皮や馬の胃は、適度な歯ごたえで負担も少ないようなので、普段使いに与えることにしました。毎食後、デザート代わりに食べさせています。うちのコはこの歯磨きガムをもらうと「たべるものはおわり」と思うらしく、それ以上食べ物を欲しがることはありません。我が家では「ごはん終わり」の合図になりつつあります。
硬い物をガリガリ噛むようにすることが、歯の健康維持には欠かせないと思っていました。しかし本当に歯のことを考えるなら、無理のない力で長く噛めるという方が効果的なようです。唾液をたくさん出し、その唾液が歯に栄養を与え、咀嚼がアゴを鍛える。これこそが歯を鍛える正しいやり方なのではないかと思いました。
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