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白い尻尾を持つ犬が石の上に立っている
犬の生態 / 気持ち
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2021.11.10

犬に尻尾がある意味は?尻尾で分かる気持ちやトラブル【獣医師監修】

犬は人間のように言葉は話せませんが、尻尾を使って様々な情報を伝えることが出来ます。犬が人に伝えたいことをしっかりと受け止めるには、犬の出すサインにどんな意味があるのかを知ることが大切です。
この記事では、犬の尻尾が持つ役割、犬の尻尾から分かる気持ち、尻尾から伝わる犬が抱えるトラブルについて紹介していきます。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:しろ/フリーライター)

犬の尻尾の役割は?尻尾の構造と働き

茶色の毛をした犬が尻尾を丸めながら白い小さい犬と向かい合っている

ふさふさとした尻尾や細く長い尻尾。犬の尻尾はいろいろな形がありますね。時には、ブンブンと激しく振ったり、ゆっくりと振ったりします。なぜ犬には尻尾があるのでしょうか?
まずは尻尾の構造とその機能・役割について見ていきましょう。

犬の尻尾の構造

犬の尻尾には「尾椎」という骨があります。尾椎は尻尾の先端にいけばいくほど小さくなるため、犬の尻尾は先細った形をしています。

尾椎の周りには筋肉が左右対称にあり、これらの筋肉が収縮することで尻尾の向きが変わります。
そのため、犬の尻尾の動きは犬自身が「右に振ろう」、「上に向けよう」と考えて動かしているわけではなく、収縮する筋肉の位置によって変化しているのです。

役割【1】体を温める

寒い季節になると、尻尾は体を温める役割をします。体を丸くし、尻尾の下に鼻を入れている光景をみたことがある方も多いのではないでしょうか。

実はあの姿勢は、体温を逃がさないようにしているだけではなく、尻尾の下に鼻を入れることによって冷たい空気を吸わないように工夫しているのです。犬にとっては尻尾がマフラーやスヌードのような役割を果たしているということですね。

役割【2】体のバランスをとる

犬の尻尾は、船の舵のように体のバランスをとるための重要な役割を持っています。
例えば、早く走ろうとする時、転ばないように下半身のバランスを取るというのも尻尾の大切な役割です。全速力で走りながら曲がる時にも、尻尾があるからこそ犬はバランスを崩すことなく走り続けられると言えるでしょう。

役割【3】コミュニケーションをとる

犬の尻尾には、相手に気持ちを伝えるための機能も備わっています。尻尾を動かすことで犬同士のコミュニケーションが取れるだけでなく、私たち人間にも尻尾で気持ちを伝えようとしてくれるのです。
一体、犬が伝えたい気持ちとはどのようなものでしょうか?

犬の尻尾から分かる気持ち!尻尾が示す感情とは?

茶色の柴犬が芝生の上を走り、もう1匹の柴犬がお尻を向けている

ある時にはブンブンと振り、ある時にはアンテナのようにピンと立てたり、尻尾の動きをみていると飽きることがありませんよね。

実は、それらの尻尾の動きには様々な気持ちが込められています。ここでは犬の気持ちを知ることができる尻尾の動きについて解説します。

尻尾を小刻みに振る

犬が尻尾を上げて小刻みに降っているときは「興奮」している時です。うれしくて興奮している、楽しくて興奮している、というように何に対して興奮しているかはその時の状況によって変わってきます。

もちろん前向きな興奮だけでなく、けんかをする時に興奮して尻尾を振ることもあります。
尻尾を振っているからといって撫でようとすると吠えられることがあります。小刻みに尻尾を振っている犬の気持ちは、「何か」に興奮している時なのです。

尻尾を後ろ足の間に隠す

犬が尻尾を後ろ脚の間に隠しているのは「強い恐怖」「不安な気持ち」を感じている時です。例えば、大きな音が苦手な犬なら、花火や雷の音を聞こえた時にこのような仕草をします。

何かを強く警戒している時にも同じような仕草をしますが、このような状態は犬のストレスになるので、早めに原因を取り除くようにしてあげましょう。

尻尾をだらりと垂らしている

尻尾をだらりと垂らしているのは「寂しい気持ち」「悲しい気持ち」の時です。叱られた時などに、寂し気な顔をしながらこのような仕草を見せることがあるでしょう。

ただし、体調が良くない時にも同じような仕草をするので、このような仕草を見たら犬をよく観察することが大切です。

犬の尻尾のトラブル!注意すべき行動と病気

砂浜の上にいる白い毛の犬が自分の尻尾を噛んでいる

犬の尻尾の動きをよくみていると、普段と違う動きをしていることがあります。中には健康面で注意が必要な動きもあり、思わぬトラブルが隠れていることも。

もし、犬の尻尾の動きに違和感を感じた場合は、何が原因なのか一度よく観察してみましょう。

自分の尻尾を追いかける・噛む

犬は自分の尻尾を追いかけたり、噛んだりして遊ぶことがあります。しかし、ずっと追いかけ続けているのであれば、遊びではなく、「ストレス」からくる問題行動の可能性もあるでしょう。

ストレスの原因は、運動不足や飼い主との関係、気温や環境など様々なものが考えられます。皮膚炎などのトラブルを抱えている場合もあるので、必要に応じて治療する必要があるでしょう。

尻尾の振り方に力がない・足取りがふらふら

嬉しそうなのに尻尾が下がっている、歩く時にふらふらしている、といった様子が見られる場合は、尻尾の筋肉や神経を痛めている可能性があります。

特に覚えがなくても、扉に挟んだり強く引っ張られることで負傷しているケースがあるので、尻尾に触っても犬が痛がらないかチェックしてみましょう。

それ以外にも、骨折やヘルニア、尻尾が麻痺して動かなくなる馬尾症候群などの病気の可能性もあるので、おかしいと思ったらまずは獣医師に診察してもらうことが大切です。

怪我をしたら治りにくい

様々な理由で犬が怪我をすることはありますが、犬の尻尾は他の部位に比べて治りにくいので、注意が必要です。怪我をしたら安静が基本ですが、尻尾の動きは止めることができないので、どうしても完治するまでに時間がかかってしまいます。

そのため、できるだけ普段から犬の尻尾の様子にも気を配り、トラブルを未然に防ぐようにしてあげましょう。

愛犬の尻尾の動きから気持ちや体のトラブルを知ろう!

茶色の毛の犬が芝生の上で走っている

犬は言葉が話せませんが、尻尾を通じて自分の気持ちや困っていることをしっかり伝えようとしています。犬との生活をより楽しむためにも、私たち飼い主は尻尾の動きの意味を知り、理解することが大切です。

もし尻尾の動きがおかしい時は放置せず、必ず動物病院で診察を受けるようにしましょう。

  • 公開日:

    2020.12.21

  • 更新日:

    2021.11.10

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。