犬の消化時間は年齢や食べた物などにより差がありますが、食べ物が口に入ってから便として体外に排泄されるまでおよそ12~24時間と言われています。一般的には胃袋での消化に2時間、小腸での消化に1時間ほどかかり、その後大腸でゆっくり水分が吸収され、排泄されます。
犬の体内で作られるエネルギーのうち60%以上が消化のために使われていると言われています。
犬の場合、食べ物が口に入ってから食道を通過し、胃に入るまでの時間は4~5秒です。
胃には主に食べ物の貯蔵と、消化の準備をする役割があります。胃で分泌された胃液により食べ物は少しずつドロドロな状態になり、小腸に送られます。
小腸は胃に近い側から十二指腸、空腸、回腸と言います。十二指腸には、食べ物を体内に吸収しやすい大きさに分解する「膵液」や、脂肪を小腸で吸収しやすくする「胆汁」などの消化液が流れ込み、本格的な消化・吸収が行われます。
小腸で栄養が吸収された後の不要物は大腸に送られ、水分が吸収された後、肛門から排出されます。
犬の消化時間は個体差があります。子犬や老犬の消化時間には、どのような違いがあるのでしょうか?
消化器官が未発達な子犬は、食後40分~2時間くらいで食べた物が便として排出されます。空腹時間が長いと胃液を吐いたり、低血糖になってしまう危険性があるので、食事は1日3~4回を目安に与えましょう。
また、1度に大量のフードを与えると消化不良を起こしてしまうので、決められた1日分の食事を分けて与えましょう。
老犬になると消化器官の機能が低下してくるため、消化に時間がかかるようになります。
消化できずに吐き戻してしまうような場合には、ドッグフードを消化しやすいようお湯でふやかしたり、一日分の食事を小分けにして与える回数を増やすなどして、消化器官にかかる負担を減らしましょう。
犬の消化時間に関する、飼い主さんが注意すべきことをご紹介します。
食べ物が胃の中にある状態で急に運動すると、胃が多量のガスで膨れ上がり、胃が捻れる「胃拡張・胃捻転症候群」を起こすことがあります。
胃拡張・胃捻転症候群を発症すると腹部が膨らみぐったりとし、頻繁なゲップや大量のよだれが出るようになります。その後、呼吸困難や脈圧の低下が起こり急激に状態が悪化して、ショックを起こし死に至ります。胸の深い大型犬に多い病気ですが、小型犬でも発症することがあります。
食後2時間ほどは散歩や運動を控えましょう。
食物繊維を多く含む食べ物は、適切な量を与えることで便通の改善効果が得られますが、犬は人と比べ食物繊維の消化が苦手なため、与え過ぎれば軟便や下痢の原因になるので注意しましょう。
犬は肉食寄りの雑食であるため、野菜や雑穀は消化しにくく、消化に時間がかかったり消化不良を起こし、下痢や軟便、嘔吐などの症状を引き起こしてしまうことがあります。
通常、食べた物は胃の中に2~3時間ほど残っています。犬が食べてはいけないものを口にしてしまった場合には、早急に吐かせるための催吐処置や内視鏡による摘出が必要になるので、様子を見ずに動物病院を受診しましょう。
食後すぐに散歩に出かければ胃拡張・胃捻転を起こすことがありますし、消化器官が未発達な子犬の空腹時間が長くなれば低血糖を引き起こすなどのトラブルも考えられます。
犬の消化時間は、年齢や食事内容やによって違いがあります。飼い主さんが知識をもって正しく健康管理し、愛犬を長生きさせてあげてくださいね。