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犬が草原に横たわっている
健康管理 / 病気
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2020.12.16

【獣医師監修】犬のリンパ腫とは?症状・原因・治療法・予防法まとめ

悪性度が高いことが多いという腫瘍の一つ「リンパ腫」をご存知でしょうか?犬にできる腫瘍の中ではよく見られるもので、中高齢以降での発生率が高い傾向にあります。この記事では、犬のリンパ腫の原因や症状・治療法・予防法についてまとめてご紹介します。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:江野 友紀)

犬のリンパ腫ってどんな病気?

犬の血液細胞のイメージ

リンパ腫とは、血液中の白血球の一種である「リンパ球」が腫瘍化する病気で、一言で言うなら血液のがんです。
リンパ球は免疫反応に関与する細胞であり、発生する部位により「多中心型リンパ腫」「消化管型リンパ腫」「縦隔(じゅうかく)型リンパ腫」「皮膚型リンパ腫」などに分けられています。

無治療の場合、個体差はありますが1~2か月後に死亡することが多いと報告されています。

初期症状とチェック項目

犬がリンパ腫を患ったとしても、初期には目立った体調の変化は見られません。
リンパ腫で起こる症状は、症状を発生する部位によって異なります。

多中心型リンパ腫

多中心型リンパ腫はリンパ腫全体の80%を占めると言われています。
一般的には顎や脇の下、内股、膝の裏側などにある体表リンパ節にしこりができ、皮下に存在して触知できるリンパ節顎のリンパ節が腫れることで気づかれることが多いです。のどの近くのリンパ節の腫瘍の場合、そのせいでいびきをかくこともあります。

消化管型リンパ腫

消化管型リンパ腫では、腸やその近くにあるリンパ節などが腫れます。
下痢や嘔吐などの消化器症状の他、増殖した細胞により排便困難になることもあります。

縦隔型リンパ腫

縦隔とは、左右の肺の間に位置する部分のことです。
縦隔型リンパ腫になると咳や呼吸困難などの呼吸器症状、食べ物が飲み込みにくいなどの症状が見られます。

皮膚型リンパ腫

皮膚型リンパ腫は非常に稀なタイプです。
皮膚型リンパ腫になると湿疹や脱毛などの皮膚炎に似た症状が見られます。孤立してできることもあれば、全身に多発することもあります。

他の犬や人にうつる?

リンパ腫は犬の体内にもともと存在するリンパ腫が増殖する病気であり、感染症ではありません。他の犬や人にうつる心配は無いでしょう。

犬がリンパ腫になる原因とは?

子犬と成犬が並んで横たわっている様子

犬にはなぜリンパ腫ができてしまうのでしょうか?

原因は解明されていない

リンパ腫の原因は、未だはっきりとしていません。特定の犬種で多く見られることから、遺伝的な要因が考えられていたり、発がん物質の摂取が関与しているとも言われています。

かかりやすい犬種や年齢は?

どの犬種でも発生する可能性がありますが、ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバー、セント・バーナード、ブルドッグ、ボクサー、バセット・ハウンドなどが好発犬種として知られています。
多くは6歳以降の中~高年齢の犬に発生します。

犬のリンパ腫の治療法

犬のリンパ腫の治療薬・抗がん剤のイメージ

リンパ腫の治療の目的は根治ではなく、寛解(かんかい)という、がんを抑えられている状態にすることです。
主な治療は抗がん剤の投与です。リンパ腫は抗がん剤に対する反応が良好であることが分かっており、治療した犬の約半数が1年後も生存しているとも言われています。

犬のリンパ腫の治療にかかる費用

治療費はリンパ腫の状態や使用される抗がん剤の種類、治療する犬の体重などによって大きく異なり、月に数万円以上かかることも少なくありません。治療法やかかる費用については、獣医師によく相談しましょう。

犬のリンパ腫の予防法

飼い主さんとスキンシップをとる犬

犬のリンパ腫の原因は解明されていないため、予防することは困難です。定期的に動物病院を受診し、健康診断等の検査などをする習慣をつけること、日常的に犬とスキンシップを取りながらしこりが無いかチェックしたり、体調に異常が無いか観察し、早期発見・早期治療に努めることが大切になります。

再発する可能性

犬がリンパ腫を発症してしまうと根治することは難しく、治療によって改善されても再発してしまうことがとても多いです。
再発した場合には再度抗がん治療を開始しますが、当然ながら治療費はかさむことになります。獣医師とよく相談しながら、治療方針を決めていきましょう。

犬のリンパ腫との向き合い方

堂々とした犬がこちらを見ている様子

犬のリンパ腫は原因が解明されておらず、予防が難しい病気です。日頃から愛犬の身体を小まめに触って異常が無いかチェックしたり、定期的な健康診断を受け、病気の早期発見・早期治療に努めましょう。

  • 更新日:

    2020.12.16

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。