東洋医学と聞くと、中国の医療というイメージがありませんか?実は、私も犬の東洋医学生活管理士の資格を取得するまでは、そう思い込んでいたのです。詳しくは「犬に「東洋医学」は有効?注目の東洋医学について知っておこう」の記事で解説していますが、東洋医学は中国から伝来した医療が日本で独自発展したもの。漢方医学とも呼ばれ江戸時代までは、この医学が日本では主流だったのです。明治時代後期から、漢方医学が東洋医学と呼ばれるようになったとされています。
中国語で東洋は日本という意味があることから、東洋医学は日本の医学という意味なのです。つまり、東洋医学は日本古来の伝統的な民族医学なのですね。
最近では、体に良さそう、〇〇に効くなどのマスコミ情報から、特に女性の間で話題になることが多い薬膳。実は、薬膳は東洋医学に基づいたものではなく、一般に中医学と呼ばれている中国伝統医学の理論をベースに作られた食事療法のことを指します。
中国では、中医学を専門にする中医師の他に、薬膳を専門とする国際薬膳師という資格があります。この資格は、中国政府が認める公的機関から発行される資格で、この資格を持たずに薬膳の指導を行うことは認められていません。もちろん、薬膳料理などの指導も行うことは認められていないのです。
薬膳も多くの方が勘違いしている料理の一つ。中華料理お食べに行くと、杏仁豆腐にクコの実が入っていたり、薬っぽい匂いがすると、「これが薬膳ね」などと思いがちですが、実は本来の薬膳は全く違うものです。
薬膳では、どんな食材にもそれぞれ体に役立つ効能があると考えられています。そして、体質やその日の体調、季節に合わせた食材の組み合わせを考えることが基本の考え方なのです。
薬膳では、1日の時間の流れ、季節、自然界に存在している物質、内臓、食材の持つ本来の味などをすべて関連づけて考えていきます。そして、これらの考え方を組み合わせて食材を選び、食材の持つチカラで病気になりにくいカラダ作りをしていこうというのが、薬膳の基本理念なのです。
食材は、人それぞれの体質や体調に合わせて選ばれるので、レストランで薬膳カレーを食べたからといって体調が良くなるわけではありません。
最近では、私が取得したような犬のための東洋医学の講座や薬膳の講座などがあちこちで開催されています。薬膳に興味を持ったことから、さまざまな講座を調べてみると、驚くことに講師陣には国際資格を持つ薬膳師がいなかったのです。そこで分かったことが、日本の薬膳は中医学をベースにして発展した薬膳とは全く違うものだということ。
たとえば、本来の薬膳では「証」と言う問診に似たことや舌を見る「舌診」などが行われ、初めてその人に合う食材の組み合わせが決定されます。これは、一種の診断に当たるもので、誰もができるものではありません。中国政府が公認する国際資格があるのもこの診断が適切にできる必要があるからです。
ディロンは、手作り食で育てていることは、過去のブログを読んでくださっている読者の方にはお分かりだと思います。あらゆる犬のための薬膳講座を調べて分かったことは、ペット用として独自に作られた本来の薬膳とは異なるものだということ。
もちろん、人と犬は体の構造や体質が異なるので、それはそれで大切な知識だとは思いますが、私は少し不安を覚えたのです。同じお金をかけて勉強するのであれば、本来の薬膳をきちんと理解したい、それが私の出した結論でした。
そして、国際中医薬膳師の資格を発行している日本中医学院が認定する薬膳アドバイザーの資格を取得することにしました。
ディロンが健康診断で脾臓に小さな腫れが認められるが、今の段階では西洋医学では何もできないと言われたことは大きな衝撃でした。対処療法の西洋医学では、症状が出ないと治療はできないのです。でも、薬膳を勉強し資格を取得したことで、ディロンの食生活改善を行うことができました。
また、漢方薬も少しだけ使いましたが、なんと2週間後の検査では腫れが引いていたのです。これには、私もかかりつけの獣医師も驚きでした。
今までは手作り食レシピの食材選びを、その日の気分だったり、気温変化といった季節的な観点からしていましたが、ディロンの体調や体質のことを中心にした食材選びをしたことはありませんでした。それが、薬膳の勉強したことから、舌を見てその日の体調や気温などを考慮できるようになったのです。
このことは、私にとって大きな収穫です。皆さんも、愛犬の体調が気になったら是非薬膳の勉強をしてみてください。
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