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2020.12.30

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.1

雨野さん家のたねとまめ|たねとまめ

吾輩は猫である、名前はたねだ。ふさふさの白と黒の毛に、真っ黒な靴下足。世界一可愛くてキュートで愛らしい見た目をしている。全部同じ意味だけど、一つじゃ足りないくらい、ってことである。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第1話です。

雨野さん家の「たね」

たねは雨野さんのお家で暮らしている。雨野さんの家はお父さんとお母さん、それとお兄ちゃんとお姉ちゃん、妹ちゃんの五人家族である。

たねは小さい頃の見た目が、ちっちゃい"種"みたいだったからたねって言うらしい。雨野さんのお家で大きくなってねって意味らしい。実はよくわかっていない。

雨野さん家の「まめ」

最近、そんな雨野さんとたねのお家に侵入してきた騒がしい奴がいる。

黒くて変な模様で毛が短い。歩き回るとどたどたばたばたうるさい奴。

何回も威嚇したのに、たねを見るとまんまるの目を見開いて、すごい勢いで匂いを嗅いでくるからもう諦めた。何回猫パンチしても全くめげない。めげるどころか反応が返って来るのを面白がってる気がする。こんにゃろう。

「その子まめって言うのよ。新しく一緒に暮らすことになったから、たねちゃん、仲良くしてあげてね」

頭の上からお母さんの声がした。お母さんの方に顔を向けたら、よくわからないけどにっこり笑ってた。

こいつの名前はまめって言うらしい。

ちっちゃなあばれんぼう

たねが上向いてる隙に、まめはたねのお腹にあたまを突っ込んできた。ふんすふんす、って荒い鼻息でたねのお腹の毛がぐしゃぐしゃにされている。

「わん!」

「あらあら、まめちゃんはたねちゃんが気に入ったみたいねえ」

すごくびっくりした。お腹の辺りからとてつもなく大きな音がした。なんでかご機嫌なこいつがたねのお腹の前で吠えたらしい。あんなおっきな声で吠えた癖に、嬉しそうにたねにすりすりしてるのは一体なんでだ。怒ってるわけじゃないのになんのわん!なんだ。

「んにゃあ」

「たねちゃんそんな顔してどうしたの、まめちゃんは怖くないわよ」

思わずお母さんに助けを求める。お母さんはにこにこしながらたねの頭を撫でた。だってこいつなに考えてるのかわかんないんだもん、ってもうひと鳴きしても、人間のお母さんには伝わらない。

先行き不安

渋々お腹すりすり野郎を見ると、またまんまるの目でこっちを見てきた。そして今度は人の、じゃなくて猫の顔をべろんって舐めた。たねの顔はみるみるうちにびたびたにされる。

「こらこらまめちゃん、そこら辺にしてあげてね」

たねの顔がよだれ浸しになるのを見兼ねて、お母さんが止めに入ってくれた。お母さんに撫でられたまめは嬉しそうに尻尾を振る。やっと解放されたたねは迷惑そうに毛繕いする。

けれどお母さんが構ってくれなくなると、まめはまたたねに擦り寄ってきた。たねが寝てるお気に入りのクッションに顔を乗せて、そのまま眠たそうに目を閉じる。

って、え? ここで寝るの? ここたねの寝床なんだけど!

何回頭を叩いても、余程騒ぎ疲れたのかそれからすぐ寝息が聞こえてきたので、諦めてたねも目を閉じた。

たね、こいつとうまくやっていけるのだろうか…。

たねも眠かったので、今後のことは寝て起きてから考えることにした。

  • 更新日:

    2020.12.30

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。