magazine

柴犬 小説
連載 / ブログ
鉛筆アイコン

2021.03.02

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと|vol.7

豆しば暮らし|お帰り!

メロンとの暮らしも2週間近くになり、何とか落ち着いてきました。
とは言え、お留守番だけは気がかりでなりません。

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語の連載第7話です。

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

ただいまの後は、うがい・手洗い・メロン!

「メロン、もう慣れたかな?」

「たぶんね。お留守番の後で一緒に遊ぶことが、楽しみになってきたみたいだし」

二人とも、帰宅後は”うがい・手洗い・メロン”
お留守番の後は楽しいことが待っている!と、学習させてきました。
実際には、二人の方が、メロンとの遊びを心待ちにしているのですが。

二人が暮らす北国にも春が訪れ、もう暖房は必要ありません。部屋を閉め切ることが好きではないママは、ドアを開け放すようになりました。
メロンの行動範囲も広がります。

「ただいまぁ!」

ママが仕事を終え、帰って来ました。その声を聞きつけ、メロンが駆け寄ってきます。

「わぁー、お迎えありがとう!」

迎えに来てくれたメロンを、ママがうんと撫でて褒めました。
メロンも小さなしっぽを振っています。

メロン、いつからそこに?

柴犬 小説

「ただい…あれ?」

玄関のドアを開けながら、いつものように元気よく「ただいま」を言おうとしたママは、待ち構えていたメロンの姿に驚きました。

「メロン、もう来てたの?鍵を開ける音が聞こえたのかな?」

うがい・手洗いをし、メロンと遊び始めたママ。でも、何だか腑に落ちません。

「それにしては、玄関まで来るの早くない?」

鍵を開ける音を聞いてから玄関に駆けつけたにしては、余裕がありすぎなのです。

「と、言うことは」

ママは、メロンに人差し指を突き付けました。

「トリックを使ったね!」

メロンは、キョトンとしています。

手がかりは「音」

「よし、きみのトリックを解き明かそう!音が手がかりだ!」

立ち上がって、声高らかに宣言するママを、メロンは首をかしげて見つめていました。

その翌日。

足音を忍ばせ、玄関の前へ。音をたてないように、慎重に鍵を開けます。
そっとドアを開けると…そこには、すでにメロンの姿が。

「やっぱり、鍵を開ける音じゃないんだ!」

靴を脱ぎながら、ママは考えました。

「窓から私の姿は見えないし、足音も聞こえなかったと思うし…もちろんドアを開ける音でもない」

謎は深まります。

「まさか匂い?でも、香水とかつけてないからなぁ」

考え込むママに、メロンは早く遊ぼうと催促。

「音に反応してるはずなんだ。それは間違いない」

謎は全て解けた!

今日は、パパの帰りが遅い日です。ママは、メロンと一緒にのんびりテレビを観ていました。

『!』

何かに気づいたメロンが、ソファから飛び降り玄関に駆けて行きます。

「どうしたの?」

ママも後をついて行きました。

すると、鍵を開ける音がして、パパが帰ってきました。

「ただいま」

「わかった!」

「えっ、何が?!」

北国では、車はほぼ必需品です。
たくさんの機材を積み込むパパは大きな車。
あちこち飛び回るママは小回りのきく小さな車。

「エンジンの音だよ!」

いつの間にかメロンは、二人の車のエンジンの音を覚えていたのです。

『エンジンの音、鍵を開ける音、ただいまの声、一緒に遊ぶ、楽しい!』
さらに、ドアが解放されるようになり、 
『エンジンの音、玄関に行く、褒められる、嬉しい! 一緒に遊ぶ、もっと楽しい!』

「すごいぞメロン!おまえはお利口さんでちゅねー!」

ママの推理に感動したパパは、メロンをいっぱい褒めます。

それからもメロンは、毎日玄関で『お帰り!』と二人を迎えてくれました。

  • 公開日:

    2020.12.25

  • 更新日:

    2021.03.02

いいなと思ったらシェア
ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。