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柴犬 小説
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2021.03.02

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと|vol.6

豆しば暮らし|シャンプー指導

「いつもお留守番してもらってるからね…」
休日だというのに普段より早起きしたパパが、メロンに話かけています。

#シャンプー / #柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語の連載第6話です。

ほんのちょっとの距離だけど、初めてのお出かけ!

「今日はみんなでお出かけだよ!」

まだ薄暗いうちから起きてしまったママが、後を続けました。

メロンを購入したペットショップの本店では、初めて犬を飼う人のために、シャンプー指導のサービスがあります。二人は、この日、午前10時に予約をしていました。

まだワクチンの接種が終わっていないので、寄り道もお散歩もできませんが、それでもメロンとの初めてのお出かけが嬉しくて嬉しくて。
パパもママも、ゆっくり寝てなどいられませんでした。

初めて見る光景は驚くことばかり

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お店に着くと、トリマーさんが笑顔で迎えてくれました。

「初めに、よくブラッシングしてください。肌を引っかかないように気をつけて」

二人は感心して、軽やかにブラッシングをするトリマーさんの手元を見つめていました。

「お腹や脚の内側も」

そう言って、さっとメロンを仰向けに。
ビックリして起き上がろうとするメロンを、トリマーさんは左手で押さえます。
優しく触れているようにしか見えませんが、メロンがどんなにイヤイヤをしても暴れても、その手から逃れることはできませんでした。

「メ、メロン!大丈夫、大丈夫だからね!」

ママは、思わず声をかけてしまいました。

「心配性だなぁ。しっかり見て勉強しなさい」

パパがたしなめます。

「次に、耳のお掃除です」

ブラッシングを終えたトリマーさんは、メロンの耳をクルン。

「ええっ?!」

殊勝なことを言ったばかりのパパが、大きな声を出しました。

「しーっ、声大きい!」

「だって、耳…!」

トリマーさんが、クスクス笑います。

「なんか怖いですよね、耳がひっくり返るの。私も、初めて見た時はビックリしました」

「ですよね…。えへへ」

優しいフォローに、パパは照れ笑い。

もう驚いたり大きな声を出したりするのは止めよう。二人は、アイコンタクトで誓い合います。
その直後の肛門絞りは、いきなりの難関でしたが、何とかこらえることができました。

いよいよシャンプー開始

「お湯は35℃くらい。地肌までしっかり濡らしてください」

お湯をかけられたメロンはジタバタしますが、またもやしっかりと押さえられ、逃げることはできません。
トリマーさんはシャンプーを手に取り、メロンをきれいに洗い始めました。

かなり強めにイヤイヤをするメロンに、パパもママもはらはら。握り締めた手に、汗がにじみます。

「すすぎ忘れのないように、気をつけてくださいね」

メロンはまだイヤイヤを続行中ですが、トリマーさんは全く動じません。
その抵抗を軽くかわしながらリンスをし、またきれいにすすぎ…。

プロってすごい!

すすぎ終わった頃には、メロンはすっかりおとなしくなっていました。
タオルドライの間も、ドライヤーをかけている間も、じっとしています。

「はい、以上で終了です」

トリマーさんから手渡されたメロンは、とても満足そうな顔をしていました。

「ありがとうございました!」

フワフワしていい香りのするメロンを抱っこして、二人は駐車場へと向かいます。

「抵抗されても動じないし、手際はいいし。プロってすごいね。しかも、あんなに抵抗していたメロンを、すっかり満足させちゃうんだから」

「それに比べてウチらは、ずっとおろおろして…。初心者だねぇ」

上手にできるようになるまで、一体どのくらいかかるのかな。せめて、大騒ぎはしないようにしよう。

初めてのお出かけは、とても有意義なひと時となりました。

  • 公開日:

    2020.12.18

  • 更新日:

    2021.03.02

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。