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住まい / 生活

2020.11.02

犬に美容整形をする目的って何?諸外国の法規制やみんなの認識

生後間もない子犬の尾や耳を、整形することがあります。なぜわざわざ健康な身体を傷つけて整形するのか、知らない飼い主さんも少なくないのではないでしょうか。ここでは、犬の整形の箇所と目的、犬の整形に関する問題点、断尾や断耳に対する飼い主さんの認識についてご紹介します。

Author :江野 友紀/認定動物看護士

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犬に整形を施す箇所とその目的

犬 整形

犬を整形する箇所と、目的についてご紹介します。

美容整形する箇所

犬の美容整形には主に尾を整形する「断尾」、耳を整形する「断耳」、狼爪(前足の内側の高い所に生えている爪)を整形する「狼爪切除」があります。

犬の整形の目的

犬を整形する目的には次のようなものがあります。

かつての整形の目的

狩猟犬や牧畜犬は、外敵との争いの中で尾や耳の損傷を防ぐために整形されていました。
また、ヨーロッパでは断尾が狂犬病を予防すると広く信じられていたために整形されたり、1700年代のイギリスにおいては尾のついている犬を所有していると課税されていたため、節税のために断尾が施されていました。

現代の整形の目的

狩猟犬の怪我を防ぐために行われたり、排泄物で尾が汚れて不衛生になることを防ぐために整形されることもありますが、近年の整形の主な目的は美容を目的とした整形です。
犬種による理想的な姿を定めた「犬種標準(スタンダード)」に合致させるために行われています。

犬の整形に関する問題点|欧米諸国の考え方

犬 整形

犬の整形に対する、欧米諸国の考え方をご紹介します。

ヨーロッパの考え方

断尾や断耳を禁止とする国はイギリスやドイツ、オーストリア、オランダ、スイスなどで、特にイギリスでは美容目的での整形を厳しく制限しています。
狩猟犬など例外もありますが、ヨーロッパの多くの国は整形を動物虐待と考えており「ペット動物の保護に関する欧州協定」によって断尾や断耳の廃絶が推奨されています。

アメリカの考え方

アメリカで犬種標準を定めている「アメリカンケネルクラブ」では、断尾や断耳、狼爪切除は犬種標準に合致させるために容認しうる慣習と考えています。しかし一方で、動物福祉の観点から整形を禁止しようという動きも活発になっています。
全米獣医師協会(AVMA)は、美容目的の整形に異を唱え、犬種標準から断尾や断耳の技術の削除を求める公式声明文を発表しています。

断耳や断尾に対する飼い主の認識

犬 整形

飼い主さんは、断尾や断耳についてどのような認識をもっているのでしょうか。

チャンピオン犬の子犬に対する認識について

ドッグショーでは出陳された犬が各犬種に定められた理想(スタンダード)にどれほど近いかを審査されますが、良い成績を残すために断耳や断尾を施される犬種があります。
ショーにおいて優秀な成績を修めた犬は「チャンピオン」と呼ばれ、その子犬は「チャンピオン直子」と呼ばれます。
そして、このチャンピオン直子という表示がどのようなものか、消費者に対して行われたアンケートの調査結果があります。

調査結果から見えてくること

平成20年6月23日に公正取引委員会事務総局が公表した「ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査報告書」によると、消費者のうち53.2%が「容姿等がスタンダードに近くなる可能性の高い犬・猫」と認識する一方、23.9%が「分からない」、8.6%が「可愛らしくなる可能性の高い犬・猫」と認識しているという結果が出ました。
このようなデータから、購入者のおよそ1/4は、犬種標準や血統書の正確な意味を理解できておらず、意味もなく整形が繰り返されていることがわかります。

迎えた子犬が断尾・断耳されていることを知らない飼い主も多い

ペットショップやブリーダーから犬を迎えるときに、多くは既に断尾や断耳が施されています。
そのため、迎えた子が整形されていると知らなかった、そもそも尾や耳を整形することがあるという事実も知らなかったという飼い主さんも多く存在します。

犬の美容整形についてご紹介しました

犬 整形

生後間もない子犬のは痛覚が未発達であり、断尾や断耳は痛くないという説もありますが、確かな証拠はありません。一般的には生後2~5日ほどで整形されてしまうので、これからブリーダーから仔犬を迎える予定の飼い主さんは、整形が必要ないと感じるのであれば、整形を希望しない旨を早めにブリーダーに伝えておきましょう。

参考サイト
  • 更新日:

    2020.11.02

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ライター・監修者プロフィール
  • ライター:江野 友紀
  • 認定動物看護士
  • 地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。 ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。 普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。 ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。