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住まい / 生活

2020.11.01

ブリーダー崩壊の実態とは?子犬工場が行きつく先

犬のブリーダーには、きちんとした衛生管理のもと犬たちの健康管理をおこなって繁殖をする優良なブリーダーも多く存在しますが、その裏側で中には工場でモノを大量生産するかのように子犬をどんどん繁殖させる悪徳ブリーダーもいます。そして無謀な繁殖によって手に負えなくなり、過去には悲惨な多頭飼育崩壊が起きているケースがあります。
近年特に問題視されている悪徳ブリーダーの実態を知っておきましょう。

Author :新井 絵美子/動物ライター

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パピーミルと呼ばれる悪徳ブリーダー

ブリーダー 崩壊

犬の繁殖業を営むには動物取扱業の登録が必要ですが、中には悪徳なブリーダーも存在します。シリアスブリーダー(優良ブリーダー)と、パピーミルと呼ばれるような悪徳ブリーダーとでは、どのような違いがあるのか、きちんと理解しておきましょう。

シリアスブリーダーとパピーミル(子犬工場)の違い

シリアスブリーダーは1つの犬種専門、もしくはごく少数の種類の犬種を扱っています。施設の衛生管理が行き届いているのはもちろん、遺伝的な疾患や母犬の健康状態などを考慮して繁殖します。そして生まれた子犬を親犬からすぐに引き離さず、親犬や兄弟犬と過ごさせ子犬の社会化に関してもケアをしながら、健全な子犬を提供しています。

一方悪徳ブリーダーは、犬種を問わずたくさん集めて、利益追求のためだけに子犬をどんどん繁殖させるブリーダーを指します。それがまるで工場でモノを大量生産するかのようであるため、子犬工場を意味する「パピーミル」と呼ばれるようになりました。

施設に集められたたくさんの犬たちは、散歩もされないまま不衛生な狭いケージに閉じ込められていて、生き地獄のような環境で生きています。そんな環境下で母犬の体の負担のことを何も考えす、発情期がくるたびに子犬をどんどん繁殖させます。また、遺伝病の知識を持っていないので、遺伝性疾患を抱えた子犬や虚弱体質の子犬が生まれることも少なくありません。

5つの自由とは?

犬をモノのように扱い、劣悪な環境で繁殖を繰り返している悪徳ブリーダーは、動物福祉の基本理念である「5つの自由」を確保していないため問題視されています。「5つの自由」とは、国際的に認められている動物福祉の基準で、動物愛護管理法の第2条にも「5つの自由」の旨の一部が明記されています。

本来は、以下の5つの自由を確保して繁殖をする必要があります。

飢えと喉の渇きからの自由

・動物の種類に合った適切な食事を与える
・喉が渇いたときにいつでも新鮮な水が飲めるようにする

不快からの自由

・怪我をするような危険物がない環境にする
・清潔に保たれている ・炎天下や雨風、雪を避けられる休息場所がある

恐怖・抑圧からの自由

・恐怖や苦痛を与えない
・恐怖や苦痛を感じている兆候が見られたら、その原因を適切に取り除くことに努める

正常な行動が取れる自由

・その動物の生態や習性に合った、本来の行動ができるように配慮する

痛み・怪我・病気からの自由

・健康管理をして病気を予防する
・痛みや怪我、病気のときは治療を受けさせる

ブリーダー崩壊に関する過去の事件

ブリーダー 崩壊

悪徳ブリーダーでは、産まれる子犬が多ければ売上に繋がることから、親犬を増やしてより多くの利益を得ようとします。その結果、飼育のキャパシティを超え手に負えなくなり、多頭飼育崩壊を起こすこと事件が実際に起こっています。
過去には、以下のようなブリーダー崩壊の事件が起きています。

2020年東京都|犬猫計38匹を放置し死亡させ虐待容疑で逮捕

2020年、排泄物まみれの倉庫で犬を放置していたペットショップ経営者のブリーダーが虐待容疑で逮捕されています。前年には犬猫計38匹を熱中症で一斉に死亡させ、その死骸をごみ焼却施設に持ち込んだことで事件が発覚しました。食事や水は週1回しか与えていなかったと供述。都動物愛護センターから飼育環境が不適切だと繰り返し指導を受けていたそうです。

2018年福井県|過密状態による繁殖・飼育が行われ刑事告発

約400匹の犬猫を過密状態で飼育、繁殖し、虐待に当たるとして刑事告発されました。病気や怪我をしている個体に適切に治療を受けさせていないという疑いもありました。 しかし、食事や水は与えられており、やせ細って衰弱している状態ではなかったことから、虐待に値するとは言い切れないとして不起訴になっています。

後を絶たないブリーダー崩壊

ブリーダー 崩壊

繁殖業は免許制ではなく登録制で誰でもなれるので、悪徳ブリーダーも存在します。そして、利益のことだけしか考えずに子犬をどんどん産ませていることから、ブリーダー崩壊は後を絶ちません。悪徳ブリーダーによって犠牲になる犬を生み出さないようにするには、繁殖業やプリーダーに関する規制を強化するほかに、どんな取り組みが考えられるでしょうか。

  • 更新日:

    2020.11.01

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ライター・監修者プロフィール
  • ライター:新井 絵美子
  • 動物ライター
  • 2017年よりフリーランスライターとして、犬や動物関連の記事を中心に執筆活動をおこなう。 過去に、マルチーズと一緒に暮らしていた経験をもとに、犬との生活の魅力や育て方のコツなどを、わかりやすくお伝えします。