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犬 お尻歩き 理由 肛門嚢炎
健康管理 / 病気

2021.04.21

【獣医師監修】犬のお尻歩きには3つの理由がある!原因や症状、対処方法まで詳しく解説

犬が床や地面にお尻を擦りつけながら歩くような行動(スターティング)を見たことがあるでしょうか?お尻歩きの理由はさまざまですが、病院での適切な治療やしつけが必要な場合もあります。今回は、犬がお尻歩きをする3つの理由と、考えられる病気のリスクやその対処法などをご紹介していきます。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:桜井 あゆみ)

犬がお尻歩きをする理由3つ

口のまわりが黒く茶色い毛をもった犬が地面にお尻をつけた状態で座って物憂げな表情でベロを出している

犬がお尻歩きをしていると、ストレスや病気があるのではないか、と心配になりますよね。犬のお尻歩き(スターティング)にはさまざまな理由があり、すぐに適切な対処が必要な場合もあるため注意が必要です。まずは犬がお尻歩きをしているときに考えられる理由を3つ見ていきましょう。

1.肛門腺液が排出できていない

肛門腺とは、肛門の横左右にある臭いを分泌する腺のことです。通常、この分泌液は興奮した時や排便時に排出されますが、小型犬や、肛門の力が弱い犬の場合、上手に排出できないことがあります。そして分泌液が肛門嚢(こうもんのう)という袋に溜まると肛門に違和感を感じるため、お尻を床に擦りつけてしまうのです。お尻歩き以外にも、肛門をしきりに気にして舐めたり、自分の尾を追いかけてぐるぐる回るなどの症状が現れます。

2.寄生虫によるかゆみ

条虫などの寄生虫に感染すると、肛門周辺に卵虫が付着することなどが原因で、肛門にかゆみを伴うことがあります。この場合、症状が悪化するとかゆみ以外にも下痢や嘔吐などの症状が現れることがあります。寄生虫は人にも感染する恐れがあるため注意が必要です。

3.皮膚炎によるかゆみ

アレルギーなどが原因で、皮膚に強いかゆみと赤みを引き起こすことがあります。アトピーや、食物性のアレルギーなどの皮膚炎では肛門周辺にかゆみが現れることもあります。お尻歩きに加え、体の他の部位にもかゆみの症状が出ている場合、アレルギーなどの皮膚炎が原因である可能性も考えられるため、犬の様子をしっかりと観察しておきましょう。

犬がお尻歩きをしていたら肛門嚢炎に注意!

耳のたれた茶色い犬が診察台にのって獣医師から診察を受けている

犬のお尻歩きは、病気のサインかもしれません。放っておくと悪化して治療が必要になることもあるため、愛犬の様子をしっかりと観察し、適切な対処をしてあげる必要があります。

肛門嚢炎はひどくなると危険!

犬がお尻歩きをする理由の一つに、肛門嚢に分泌液が溜まることが挙げられますが、症状がひどくなると肛門嚢炎を発症する恐れがあります。肛門嚢炎とは、分泌液が溜まりすぎることで細菌が発生し、肛門が赤くかぶれたり化膿を起こしたりする症状です。また、炎症がひどくなると肛門嚢が破裂し、お尻の皮膚に穴が空いてしまうこともあるため大変危険です。肛門嚢炎の疑いがある場合は、早期に病院を受診しましょう。

肛門嚢炎を防ぐためには?

肛門嚢炎を起こしている可能性のある場合、抗生剤の投与で炎症がおさまることもあります。また、肛門嚢に分泌液が溜まっていることが考えられる際は、肛門腺を絞ってあげましょう。何度も炎症が起きてしまったり、発症の心配がある場合は、肛門嚢の摘出手術をおこなうこともあります。

肛門腺の絞り方

肛門嚢に分泌液が溜まりやすい場合、月に1回程度、肛門腺を絞ってあげる必要があります。片手で尻尾を持ち上げ、肛門腺を時計に見立てて4時と8時の位置にあるふくらみを、親指と人差し指でつまみ優しく押し上げます。臭いがとてもきつく、勢いよく飛び出す場合もあるため、服や周囲を汚さないようにティッシュを当てながらおこないましょう。

肛門を触られるのは犬にとってもストレスになるため、分泌液が溜まりにくい犬や、排便と一緒に自然に排出できる犬の場合は、無理に肛門腺を絞る必要はありません。

犬のお尻歩きをやめさせるためのしつけ方

公園で茶色い毛の犬がお座りをして飼い主の指示を待っている

お尻を擦り付ける習慣がついてしまうと、室内に臭いが残ってしまって大変です。病気の心配が見られないのにお尻歩きをやめられないコの場合には、的確なしつけが必要になります。

お尻を気にしたら注意をそらす

犬が一度気になりお尻歩きをするようであれば、声をかけたり音を出すなどして注意をそらしてあげましょう。気になったままずっとお尻をこすり続けてしまう可能性があります。

お尻のケアをしてあげる

排泄後の便の付着や肛門腺を定期的にケアしていないと犬がお尻を気にしてお尻歩きをするきっかけを作ってしまうことになります。お尻歩きの原因になることは少しでもなくしてあげましょう。

においを取り除いてあげる

犬はお尻歩きの行動が習慣になってしまうと、連想されるにおいで誘発されてしまう可能性があります。お尻歩きの際に残した肛門腺のにおいや飛び散った肛門腺液などはしっかり除去しましょう。

良いことだと勘違いさせない

犬がお尻歩きをしたことで飼い主が優しい声をかけたりすると、自分のお尻歩きの行動で注目をしてもらえたと勘違いしてしまうことがあります。注意を惹きたくてするようになることもあるので、優しい声をかけたり、笑ったりというような過度な反応は控えましょう。

犬がお尻歩きをしていたら適切に対処する

耳のたれた白い犬がお座りをして飼い主に撫でられながら気持ち良さそうな表情で飼い主を見つめている

犬がお尻歩きをする理由はさまざまですが、場合によっては肛門嚢炎などといった病気のリスクも考えられます。そのため、犬をしっかり観察してあげることで原因を突き止め、正しく対処・しつけをしましょう。

  • 公開日:

    2020.11.22

  • 更新日:

    2021.04.21

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。